異世界へ召喚された女子高生の話-07-
▼そしてとうとう
美咲は樹木に縛り付けられ、ゲシャックにボタンをすべて外され、セーラーのブレザーとブラウスの前面が開かれた状態で、冷たい夜風を感じていた。彼女の胸元にピンクのキャミソールが露わになり、ゲシャックの手がスカートに伸びていく。美咲の心臓は早鐘のように打ち、恐怖が彼女を締め付けた。
「やめて、誰か助けて……」
美咲の声は震え、彼女の心は絶望の淵に追い詰められていた。ゲシャックの手がスカートを脱がせ、足元から抜き取ると、キャミソールがかかる股下までが露わになった。彼女の滑らかな脚が露出し、ゲシャックはそれを見つめたが、思ったほど発育していない胸元や子供っぽいキャミソールの姿に戸惑いを感じた。
ゲシャックは迷った末、ノボケアの指示に従おうと振り返る。しかし、ノボケアとタンフェイは白けた顔をしていた。美咲のあまりの子供っぽさに興味を失い、彼らは「未成熟な子供相手では興醒めだ」と顔をしかめていた。
「魔法使いに謝礼をもらいに明日出向くか……」
「さーんせーい。」
ノボケアが呟くと、他の二人も同意して、美咲をそのまま放置した。
「勝手に見ておいて、勝手にガッカリしないでよ……!」
美咲は屈辱と怒りで複雑な気持ちになり、顔が赤く染まった。涙が溢れそうになったが、彼女は必死にこらえた。服を戻してもらえないままで、彼女の体は寒さと恐怖に震えていたが、今はこれ以上の酷いことをされなかっただけでも良かったと思うしかなかった。
夜が更け、男たちが寝静まった頃、美咲は体力が限界に達し、眠気が襲ってきた。しかし、突然、腕にかけられていた縄が緩んだ。彼女は急に対応できず、そのまま膝が崩れ、倒れそうになった。
「えっ……?」
その瞬間、強い腕が彼女の体を支えた。驚いて顔を上げると、公園の管理事務所で会った山田剛が目の前にいた。
「あ……あーっ!やま――」
美咲が声を上げようとした瞬間、もう一人の鎧を着た戦士が彼女の口を素早く塞いだ。彼はゼルギウスと名乗り、落ち着いた低音の声で彼女に囁いた。
「静かにしろ、奴らが起きると面倒だ。殺すことになるぞ。」
その言葉にゾクッとした美咲は、恐怖と興奮が入り混じった感情に襲われながらも、静かに頷いた。
「さあ、お嬢さん、早くこの場を退散しましょう。」
山田は優しく彼女に言ったが、美咲はまだボタンの外れたブラウスとキャミソール姿で、スカートがないままだった。彼女は山田に頼んで、せめてスカートだけでも履かせてもらうようお願いした。
「待って、スカートだけは……」
山田はその場でスカートを手に取り、美咲に手渡した。美咲は急いでそれを履き、その場を離れようとした。
「まさか、こんな所で山田さんに会うなんて……」
美咲は山田に再会した驚きと喜びを感じながら、目の前のゼルギウスを見つめた。彼がどれだけ頼りになるのか、彼女はまだ知らなかったが、彼の存在が今後の戦いにおいて重要な役割を果たすことを直感していた。
一方、山田剛もまた、この異世界に突然召喚され、リリス・ヴァレンティーヌと出会ったばかりだった。リリスは当初、彼を見て「失敗した」と嘆いていたが、山田が徐々にこの世界の情報を引き出し、彼女との対話を楽しみながら異世界の知識を吸収する姿に感心していた。
「この世界には様々な魔物や危険が存在するわ。そして、今は一人の勇者が近くの森で魔物と戦っているはずよ。」
「勇者……?もしかして、その勇者って、黒い長い髪の細身の女の子じゃないかな?」
山田はその勇者が美咲である可能性に気づき、リリスに尋ねた。リリスは少し考え込み、山田の言葉に答えた。
「よくは知らないけど、私の元師匠であるロウェンが召喚したらしいわ。あまり頼りになる者ではなかったとは聞いているけど……」
「そうか、やっぱり美咲ちゃんだ……彼女がそんな危険な場所にいるなんて、無茶だ!すぐに助けに行かなきゃ!」
山田は急に焦り、リリスの小屋の中を見回し始めた。そして、使えそうなものを勝手に見繕って持ち出そうとした。リリスはその抜け目ない行動に、彼をますます気に入り、微笑んだ。
「待ちなさい。良い案内役がいるわ。この人なら、あなたが彼女を助ける手助けになるはず。」
リリスはそう言って、山田に鎧を着込んだ初老の戦士を紹介した。彼はゼルギウスと名乗り、大剣を持った威厳ある姿が印象的だった。山田は彼に大いに期待し、彼と共に美咲の救出に向かうことを決意した。
「このゼルギウスさんが一緒なら、きっと美咲ちゃんを助けられる!」
しかし、ゼルギウスは一方で山田を見て、ため息をついた。
「なんだこの男は……本当に戦えるのか?」
ゼルギウスは疑問を抱きながらも、リリスの命令に従い、山田と共に森へと向かった。
そして、3人は無事に出会う事が出来たのだった。