公園のベンチでの10分間
昼休みになると、僕――城戸イツカは牛丼チェーン店で手早く食事を済ませ、川沿いの公園へ向かうのが日課だ。植栽が豊かで、老若男女が憩うこの公園は、僕にとって心のオアシスだ。決まったベンチに腰を下ろし、今日は新刊のファンタジーライトノベルを取り出す。
物語は、中世ヨーロッパのような世界に迷い込んだ少女が、数々の苦難に立ち向かうというもの。ページをめくる手が止まらない。少女が剣を手に襲撃者たちと対峙する場面に差し掛かった。その描写があまりにも生々しく、僕は思わず立ち上がり、右手を振