インフルエンサー・マーケティングで確実に費用対効果を出すには
先日、とある大企業に勤務する知人から「代理店にインフルエンサーマーケをお願いしたけど、びっくりするほど効果がなかった」という愚痴を聞いた。なんだか最近こういう悲しい話ばかり聞くので、私の知る限りで、インフルエンサー・マーケティングを行う際に注意すべき点をいくつか書いてみようと思う。
インフルエンサーのPR効果はフォロワー数に比例しない
まず、根本的に「インフルエンサー・マーケを代理店に丸投げする」というやり方がイケていないように思う。そういう依頼の仕方になると「30万リーチするには、フォロワー10万人のインフルエンサー3人に商品を送って感想を書いてもらいましょう」というフォロワー数基準の話しかできないからだ。
インフルエンサーマーケでは、フォロワー数が絶対のように語られることが多いが、実際に蓋をあけてみるとフォロワー数が多くてリーチ数が多いはずなのに、たいして商品のプロモーション効果がなかったというケースは多々ある。これは次のような理由によるところが大きい。
・インフルエンサーがフォロワーを買っていた
インスタにせよツイッターにせよ、フォロワーを買っているユーザーは思いのほか多い。現在、1フォロワー0.5〜1円くらいのギャラでPR投稿を請け負っているインフルエンサーが多いと思うが、フォロワーの購入金額もだいたいこのくらいの金額である。つまり、1案件やれば確実に投資金額がペイできるのだ。経済合理性を考えたら「そりゃあ買いますよね」ってことになる。
・(買ってないけど)フォロワーの大半が外国人だった
インスタグラムは非言語コミュニケーションが可能なSNSなので、フォロワーの8〜9割が外国人というアカウントも珍しくない。観光地の宣伝のようにグローバル発信が目的の場合はこれがポジティブに働くのだが、国内市場限定の商品やサービスだとターゲットにまったくリーチしないという不幸が発生する(冒頭の知人が嘆いていたのはまさにこのパターンだった)。
・依頼するインフルエンサーのフォロワーが被っていた
インフルエンサーマーケは、カテゴリのかぶる複数のインフルエンサーに同時に投稿をお願いするケースが多いが、この際に依頼したインフルエンサーのタイプが似ていると、フォロワーがほとんど丸かぶりしているという場合が出てくる。このような場合、3万フォロワー×3人=9万リーチとはならない。
また、見ているほうもタイムラインに同じ商品の写真が何枚も出てくることになるので「ステマうざい」となりやすい(私はいまだに一時インスタに氾濫していた某ノンシリコンシャンプーを薬局でみると「あ、ステマのやつだ」と思ってしまう。もちろん絶対買わない)。
意外にここを気にかけている人は少ないようだけど、費用対効果を求めるなら意識してインフルエンサーのジャンルをばらけさせるなどしたほうが良いだろう(そういう意味でも1箇所丸投げというのは危険なのである)。
CPI=130円を実現した3つの具体的施策
では、実際にインフルエンサーマーケなんかやめたほうがいいのかというと、それはそういうわけでもない。ちゃんとやればちゃんと効果は出る。
ちなみにSnapmartのアプリプロモーションでも試験的にインフルエンサーの方にPR投稿をしていただいたことがあるが、 CPI(1インストールあたり単価)130円という非常にいい結果が出ている。もちろん、代理店に丸投げはしていない。
参考までに、このときに注意したポイントを紹介すると、
・フォロワーの質を確認する
インフルエンサー候補を見つけたら、必ずフォロワーの内容も確認した。具体的には、パッと見て怪しいアカウントが多い人や外国人がメインの人を除外するのと同時に、自分たちが商品を認知してもらいたいターゲットとなる年齢性別の人が含まれているかどうかをみた。というのも、若い女子のアカウントのフォロワーが若い女性ばかりとも限らないからだ(案外中年のおじさんばかりだったりする)。
フォロワー全部見るのは無理でも、ランダムでも良い。ここをまったく見ないで依頼するのは、お金をドブに捨てるのと同じである。
・エンゲージメント(いいね、リツイート数)をみる
「いいね」数、ツイッターなら「リツイート」数を見る。ちなみに、個人的な肌感では、インフルエンサーは「テレビに出ている有名人」みたいな誰でも知ってる人よりも、ある特定の業界で有名な人(たとえばコスプレイヤー界隈の有名人とかキャンパー界隈の有名人みたいな感じの人)のほうがエンゲージメント率が高く、購買意欲を刺激する効果は高い。
・投稿の質をみる(PRポストの頻度をみる)
SNSのインフルエンサーを稼業にするというのは、自分の「信用」を切り売りするということだ。つまり、信用はどんどん消費される。だから、自分が気に入ってもいない商品の写真をポストすれば、そのときは一時的にお金が入るけれども、個人の信用力は落ちる。つまり、PR媒体としてのアカウントの価値も同時に下落するのだ。
だから、弊社でインフルエンサーを依頼するときは、なるべくPRポストをしていない人を探すようにしている。フォロワーの数はさほど多くなくてもいい。数千フォロワーであっても、ターゲットがしっかり明確で、コメントにもちゃんとリプライしているような「生きたアカウント」であれば、リーチ数以上のPR効果がある。
依頼する側の問題点
最後になるが、インフルエンサーに問題はなくても、依頼する側の依頼の仕方に問題があって効果が出ない場合がある。
よくあるのが、ハッシュタグのみならず、投稿内容やポストする時間帯、クリエイティブにまでかなり細かく依頼主が口出ししてくる場合だ。普段その人の自然な投稿を見ている人は、そういった宣伝臭のするガチガチの投稿を見て「あれ?」と思うだろう。というか、私はしょっちゅう思っている。
大前提として、SNSで見知らぬ人をフォローしている人は、誰も企業の宣伝が見たくてフォローしているわけではない。その人の切り取る世界や見聞きしたものに対する率直な感想、意見などに触れたくて、あるいはその人自身とコミュニケーションをとりたくてフォローしている。
そうしたSNSの本質を無視して、企業が自分たちの商品やサービスの良い面だけを見せようと躍起になってもいい結果は生まれないだろう。SNSにおいて拡散の結果をコントロールしようとするのは愚の骨頂だし、もしそれが可能になる方法が1つだけあるとすれば、商品やサービスの質をとにかくあげまくることしかない。
そんなわけで、フォロワーを買ったりするインフルエンサーは論外だけど、もうちょっと発注する側も賢くならないといけないんじゃないか?と最近よく思う。というお話でした。
※ちなみにインスタマーケに関してはこんな本も監修してますので、ご参考までに(会社員時代の仕事なので私には1円も入りませんがw)。
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