大人のアドバイスを聞かなくていい理由
「えとみほさん、僕、やっとわかりました。あのとき、えとみほさんが言ってたこと。全部その通りだったなって。言うこときかなくてすみません」
声の主は、以前就職の相談に乗ったことがあるAくんだった。「あのとき」というのは、おそらく3年前のことだろう。当時まだ学生だった彼と知り合ったのは、私が登壇したイベントの交流会だった。
そのときの彼の質問は、「いまインターンをしているスポーツチームに入社して社員として働きたいのだが、新卒でスポーツ業界に行くことについてどう思うか」というものだったように記憶している。そのときの私の答えは「どうしてもというなら止めはしないけれども、その競技の発展や組織に貢献したいという理由であれば、外で専門スキルを身につけてから入社したほうが目的は果たせるのではないか」という、面白くもなんともない当たり障りのないものだった。
それから1ヶ月も経たないうちに、Aくんから連絡がきた。結局、インターンで入っているスポーツチームに就職することにした、と。「え?」と一瞬思ったが、「まあ、そういうもんだよね」とも思った。だいたいこういう相談をしてくる人は、相談している風に見えて相談なんてしていない。ただ、背中を押して欲しいだけなのだ。
そして3年の月日が経ち、久しぶりに連絡をくれたAくんから聞かれたのは、このスポーツチームを退職した、という報告だった。そしてその中で聞かれたのが、冒頭のセリフだったのだ。
こういう話を聞くたびに、以前は「だから言わんこっちゃない」と思っていたのだが、最近はちょっと違う感想を抱くようになった。
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えとみほの「一次情報の森」
AI時代のインターネット発信の価値について考えたときに、自分が直接見聞きした「一次情報」に価値があるのではないか?と考えました。このマガジ…
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