試験での出来事。
試験の様子を記しておこうと思います。
若干、事件が起きます。笑
学校に到着
試験は大学の校舎ではなく、リトミックの学校で行われました。
リトミシャンからすると、まさに「聖地」です。
私は初めて学校に足を踏み入れました。
ここに来れただけで十分
ここでピアノを弾けるだけで十分
ここで動いたり、歌ったりできるだけで十分
試験前の緊張もありますが、ここに…という気持ちで心がいっぱいでした。
タイムスケジュールで合っていたのは集合時間だけ(笑)
事前に、試験のタイムスケジュールが届いていました。
以前の記事に、試験課題やりきれるのかなぁ?と書いたと思うのですが、時間が押すだろうとは思っていましたが、朝の集合時間だけで、後のスケジュールは、事前に届いていたものとは全然違いました(笑)
当日は1つ目の試験が終わったら、アシスタントの先生が、使う部屋に案内してくれて、時間などの説明、ここで何をやるか、など全部アナウンスしてくれました。
もともと、お昼は食べないつもりでいたので、事前のスケジュールと違っても何も問題なかったのですが、日本ではこういうことはないので、さすが海外だな!と(笑)
私は別に嫌な気持ちはしなかったし、そんなもの~と思っていましたし、そんな一日を楽しんでいるような気持でした。
英語にする?フランス語にする?日本語にする?笑
案内などしてくれるアシスタントの先生が、待ち合わせのロビーでこんなことを言いました。語学ジョーク!
試験の始まりなど、色々な場面でも、英語とフランス語、どちらがいいか聞かれましたが、私は英語は全くできないので、フランス語でお願いしました。とはいっても、フランス語も全然できませんが、これまでフランス語を意識して過ごしてきたので、英語よりは耳なじみのある単語や音楽用語が聞き取れるかなぁ?と。
①Solfège
一つ目はソルフェージュの試験。
メールを送ってきた先生!が担当でした。
新曲視唱はとんでもなく歌いにくい譜面でした。臨時記号!!!笑
リズム視唱は正直、私には超簡単で唯一「絶対大丈夫」って思った課題。
先生の弾く和音に合わせて即興で歌う課題があったのですが、和音が美しすぎて、マスクの下でニヤニヤしながら感動していました。
「うたっていいの?」なんて聞いて、確認しながらやりました。
いやぁ~素敵な和音だった。
歌でmodulationしたり、モチーフから即興したり、歌で行うのは難しかったです。
実はこれ、あまりちゃんと準備していかなかったので、大反省。
苦手なので、これからクリアしなくちゃいけない課題だと思っています。
歌っていいのかわからない時は聞いたり、フランス語で簡単なやりとりをしながら時間を10分ちょっとでしょうか、過ごしました。
初めにも書いた通り、ここにきて、こういう時間を過ごせているだけで幸せだったので、1つ試験が終わり、若干早めに感動で胸いっぱいでした(笑)
②mouvement et rythmique
これは受験者全員での試験。
「動き」の試験は、洋楽に合わせて身体をほぐしたり、動いたり、動きを覚えたり、身体の使い方など。
私は大学でリトミックを専攻していたので、舞踊系の授業も履修していましたが、リトミックの教育の部分しか勉強していない人は難しい課題かもしれません。
「リトミック」は、結構色々な課題をやりました。
これはもう、リトミックを勉強した人でないと絶対できない課題だと思います。
大学の試験はもっと基礎的な課題で、何を試験するか公示されていました。しかし、ここはやはりMaster試験。
基礎がわかっているから出来る課題も多かったですし、試験公示に具体的な内容は書いていなかったので、正直、どんな事をやるのか全然わかりませんでした。それに、説明・合図、全てフランス語です。
言葉がわかれば、もっとちゃんとできたな、と思う事もありました。
やっぱり、言葉。頑張らねば。
③piano et improvisation
ピアノを使う課題をこの時間に一気に行いました。
私は課題から行い、最後、ピアノの曲を弾きました。
伴奏付けはそつなく…
正直、なんの面白味もない和音を弾いて終わりました(笑)
もっと色々な和音つけれるのに…
緊張していたのと、私にはすごく弾きにくいピアノで、ペダルも踏みにくくて、これでピアノの様子を感じ取りました。
「これは、曲がかなり弾きにくくなるぞ…」と、この時感じていました。
1つ目の課題でピアノの弾きにくさを感じ、それからずっと、
(曲を弾く時にどうピアノを操ろうか…)
という事ばっかり考えて、即興の課題で色々な弾き方を試しました。
弾き歌いの課題は、こちらがどんな歌を用意してきたか試験官は知らないので、フランス語で、曲名や歌う言語、何調を用意したか、と伝えなければなりませんでした。
用意したダンスの曲も説明しなければなりません。
全部、フランス語で説明し、課題をこなしました。
先生の動きにピアノを付ける、という課題もありました。
微妙な手の動き、足の動き、ただの歩行でも強弱がついていたりと、動きを観るのも楽しかったですし、先生とアイコンタクトをとりながらの即興はとても楽しかったです。
でも、後から考えると、もっと、きれいな和音を付けれたなぁ...と。
ピアノ曲で大事件
即興系の課題のあと、ついに曲を弾く時間です。
Bachがキマれば後は絶対大丈夫!そう思っていました。
そんなバッハ、大コケしました…涙
絶対に弾き直すことなんてなかったのに、指がもつれて止まったのです。
部屋の雰囲気、緊張、ピアノの操りにくさ、もう様々な事にのまれてしまいました。
ハンカチを握ってから弾き始めればよかった…
一度も触られることなく、ピアノの上におかれたハンカチを見つめました。
コケても、声部の弾き分けはちゃんと聴かせられるはずだし、それだけ私はBachを練習しました。
起きたことは仕方がない。なんとか弾き終わりました。
ある意味、どうにでもなれ~という感じで、よく言えば「リラックス」、悪く言えば「開き直り」で2曲目のモーツァルト。
これは再現部で切られました。
3曲目、スクリャービン。
1と2がある曲で、弾く前に「どっち弾くの?」と。
「1を弾きます」と言って、最後まで弾きました。
緊張で若干、速かったかもしれません。
弾き終わったら、なんと、
「OK!もういいよ!ヒナステラ弾かなくていいよ!」
と。。。
えっ、弾かなくていいの?!えーーー!!弾かせてよぉーーー!!
この響きまくるピアノでヒナステラひかせてよぉーーーー!!!涙
この後、面接があったのですが、もう、どういう評価で弾かなくていいと言われたのかわからなくて、面接後、試験が終わり、ロビーで先輩と電話し、帰り道も落ち込み、ピアノの先生にもメールで状況を伝え、、、
「弾かなくていい」なんていうことは日本の試験ではまずないと思います。
途中で切っても、たぶん、弾かせます。
まさか、4曲目、一音も弾かずに終わるとは…
④entretien
面接があるのはわかっていましたが、色々なやり取りの中で済ませるのか、普通に対面で面接するのか、どういったスタイルのなのかわからなかったのですが、普通にバイトの面接のような(笑)、3対1の面接でした。
荷物の持ち込みを禁止されていたので、せっかく作ったカンペも出すことはできず。そりゃそうだ!笑
ー帰国したら何がしたいのか、
ーダンスやスポーツはやっているか、
ーフランス語は大丈夫なのか、
など。
片言とも言えない、つたないフランス語で、単語を繋げて、一生懸命伝えました。
モンテの事は会話の流れを探りながら、私から話すこともできました。
どこまで私が先生たちの質問を理解していて、先生も私の想いを理解しているか、正直わかりません。
でも、言葉はすぐに出来るものではないし、これでダメであればもうしょうがない、私の今の力はこれだけ、と自覚はしていますし、試験官の先生と同じように、私も人に教えている立場で考えれば、言葉が通じないという事は本当に大変な事なので、フランス語が出来ないとだめだよ、と厳しく言ってくる気持ちもよくわかります。
15分くらいでしょうか、日本語を一度も使わず、よくこの時間を乗り越えたな、と思います。
私からすると、とっても大きな出来事ですし、合否関係なく大きな一歩です。
こんな日本人に一生懸命質問し、答えを察してくれた事に、本当に感謝しかありません。
試験が終わり、
試験が終わり、ロビーで先輩にメッセージを送りました。
すぐに電話がつながり、試験での事を伝えました。
一緒に行った友人は近くのスーパーで待っていたので、電話を切り、友人と合流し、トラムに乗ってホテルへ戻りました。
先輩との電話と、友人との帰路が、私の心を支えてくれました。
1人だったら、きっと外で静かに泣いて、しばらくホテルに帰れなかったかもしれません。
ここに来れただけで十分。
でも、やっぱり合格したい。
とはいっても、自分の今の力を思い知った時間でもありました。
試験での心がいっぱいになった気持ちと、Bachで大コケした悔しさ、ヒナステラを弾かせてもらえなかった悔しさ、どう評価されているかわからない状況、でも、終わった安心感。
うまく気持ちの処理が出来ず、色々な言葉で自分の気持ちを納得させようとしていました。
結局、ピアノは…
ピアノの先生に状況をメールし、帰国後、電話で話した時、おそらく「ヒナステラは弾ける」と判断したんだろう、と。
バロックの技術(声部の弾き分けなど)があるか、
古典派の技術(左右の手のコントロールなど)があるか、
特に20世紀の作品は現代ものになるので(20世紀の作品はクラシック曲でもジャズでも良いと公示されていた)、特殊な技法や音の曲が多くなるのですが、公示内容を観ると、偏った技術ではなく、うたう事も出来る、細かいパッセージも弾ける、声部のアナリーゼも出来る、現代ものも弾ける、とにかく、総合的なピアノの技術をもっているかをみているんだろう、とのこと。
なので、初めの3曲で「この人は弾けるから聴かなくてよし」の認定をしたんだろう、とのことでした。
実は、ヒナステラは、入試で弾く曲としては、なかなか選ばれない曲で、それを入試に持ってくるということは、自信がある曲、弾けるという自信、という評価もされたのではないか、とも言っていました。
合格したので結果オーライですが、こんなに不安な試験は初めてですし、バッハとヒナステラは、もう一度リベンジさせてもらいたいです(笑)
実は、試験の前夜、「私、試験でバッハしか弾かなかったの」と試験後話している夢をみました(笑)
正夢ではありませんが、一曲弾かなかった、というある意味予知夢??
なににせよ、日本の試験ではない出来事で、精神的にかなりくる事件でした。
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