【LGBTQ】LGBT理解増進法成立。性の多様性に寛容な社会。

LGBT理解増進法(「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」)が参議院で可決し、成立した。

与党案では「性同一性」としていた表現を「ジェンダーアイデンティティ」に修正。「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意する」との文言が加えられるなど、性の多様性に寛容な社会の実現を目指す内容となっている。

トイレ環境など

トランスジェンダー女性のトイレ使用方法などをめぐり、女性の権利を侵害するとの懸念が指摘されていたことから、条文に留意内容(全ての国民が安心して生活できるよう留意)が加えられ、女性や子どもの権利にも配慮する内容となった。
トイレの使用は生理現象に関わることであるため、誰もが安心して使用できるトイレ環境が望まれている。
政府は今後基本計画を策定することとなるが、トイレや公衆浴場、更衣室の使用方法などに関する様々な意見を踏まえてどのような政策を実施していくかを注視しながら、多様性社会としてのあり方を考えていくことになるだろう。

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学校教育など

学校教育については事業主の項目にまとめられ、「家庭および地域住民その他の関係者の協力を得つつ行う」の文言が書き加えられた。学校教育法との関連など確認する必要があり、専門家などの意見を参考に理解を深める必要が出てくるだろう。

「事業」という言葉は、国や地方公共団体の取り組みの中で一般に使用されている。
議連案では、「学校の設置者の努力」を独立項目としていたが、「性の多様性の理解」を学校教育の一環として考える点は同じである。
おそらく、社会全体で取り組むものとしての認識から、事業主の項目に一体化させたのではないかと推察する。
様々な取り組みが官民一体で進められている。多様性社会を実現するための教育のあり方は、引き続き社会テーマとなるだろう。
学校教育に関する法整備などは、子どもの権利を守る上で重要だと認識する。

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おわりに

LGBT理解増進法は、性の多様性の理解に重きを置く内容の法律となっていると認識する。相互理解によって権利保護を目指していくような印象を持つ。
今後、国が基本計画を策定することとなるが、他の政策とどのように連携させながら方針が示されるか注目されるところである。
SDGsの「誰一人取り残さない」という理念が盛り込まれた方針が示され、子どもたちが性のあり方を理由に孤立せず、希望を持てる政策となることを願う。その実現が、多様性社会のあり方の相互理解につながるのではと感じている。


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