あさんぽ。公園にいた男の子との出会い。
普通に働き普通にご飯を作り
普通に洗濯や掃除をする。
これが普通の生活になりたい。
この普通というものが私には特別な日なのだ。
久しぶりのオフに母が来る。
朝ゴミを捨てて
近くの公園へ散歩に出かけた。
雨の次の日にはブランコに水溜りができる。
その水溜まりを除くと桜が映る。
私は雨の次の日の散歩が好きだ。
風が吹いて桜の花びらがふわりと飛んで
キラキラとした水溜まりに落ちた。
うわぁ〜。と思って写メを撮っていると
トコトコと小さな男の子が私の近くに寄ってきて
ぴたりと止まった。
おはよう。と声をかけると
おはよう。
何やってるんですか?
あのね〜。
桜を見てるの〜。
ここからのぞいてごらん。
わぁ。桜が見える。
ピンク色だ!
ジーンとした。
かわいいじゃないか。
そのままバイバイして桜を眺めたり撮りながら
ベンチに座ってiQOSを吸った。
挽きたて淹れたての珈琲を
水筒に入れたのに忘れてきたから
結果的に早朝雨上がりの公園のベンチで
iQOSだけを吸う謎の女になった。
まぁいいか。
陽がだんだんと足元を照らしてきた。
トコトコとまたあの男の子が近づいてきた。
そういえば、
滑り台から滑り落ちながら、
きゃーと言っていた。
ズボンが泥だらけになっていた。
ねぇ。見ててー!
そういうと男の子は
ジャングルジムに登り始めた。
その真上には桜の木があって
ものすごい素敵な構図だったから
思わずパシャリと撮った。
嬉しくなったのか、
次も別の藤棚を登り始めた。
見てて〜!!
2回目の見ててをいただき
なんだかこうやって自然とお友達になってくれる
純粋さ、ピュアさにまたジーンとした。
そして男の子は
持っていたカッチャンと止める
プラスチックのベルトを藤棚につけぶら下がり
見事に落下した。
わ!とiQOSを投げ捨てて思わず駆け寄ると
1秒固まりスクっと立ち上がり
水飲み場の方へ行きうろうろして
痛いのを我慢しているようだった。
大丈夫?
取れちゃったね。
転んだ泥を払おうとすると
外れたカッチャンのベルトを
また付けてと言う。
外れちゃったんだよなぁ。。
また付けて。
よく見るとそれはぶら下がるには
耐えられないほどのつるりと滑り取れてしまう
何かのベルトだった。
またこうやってすぐに取れちゃうからね。
これはぶら下がれないんだよ。
引っ張ってするりと抜け落ちるのを見せて説明しここをミシンで縫ってもらってね。
一応、伝えておいた。
ミシンをわかっているかどうかはわからないけれど、だめ、危ない、の理由を
伝えてあげたかった。
お母さんとおねぇちゃんが
公園の向かいのお家のドアを開け
行くよー!と叫ぶ。
男の子は
走り去ろうとするので
バイバイをした。
そうしたら笑顔でバイバーい!
と言ったのにまた戻ってきたりした。
ふと思った。
男の子はいくつになってもきっと
5.6歳のままなのだと思った。
無邪気で一つのことに夢中になると
それしか見えない。
見事に落ちたことも
ちょっと認められなかったりして
またチャレンジしてみたくなったりして
そういうところいいなって思った。
私はその男の子みたいなところがある。
彼に写メを送った。
水溜まりに映る桜の横に男の子が写っていたから。
逆ナンしたの?
そんな風に面白く返してきた。
男の子が近づいてきてくれたの。
一緒に遊んでくれたよ。
ナンパか〜!
小さな子はピュアだからね。
そんな会話をした。
小さな男の子とのこの時間と
彼と過ごす時間は似ている。
私は男の子のように彼の前では
ピュアでいたいと心に誓った。
大きな大人二人の男女が
たわいもない話で今日を乗り越えていけるのなら
今日も良い日だ。
これが普通の日常であってほしい。
もう少しのんびり過ごしてみたい。
また明日からの激務。
少し何もしないをしてみよう。
スープと炊き込みご飯とおひたし。
シーツを洗って風に靡かせている。
あとは母のマシンガントークを待つばかり。
優しい人に囲まれると
優しくなれる。
私も優しい人でありたい。