2022年、年間ベストセレクション
先日開催させていただいた本の力を、
(「本の力」とは、
かつて私が在籍していた、NPO法人読書普及協会の設立時に、読書ソムリエを任命されました。そのメイン活動として、本の紹介をするトークイベントとして行われていたもの。在籍時に10年間、脱退後も数年間個人としてその活動を継続していました)
紙上で振り返ってみました。結果として、
「本の力」復活までの過程を本の紹介を絡めて書くという、まさに私の本の紹介パターンになりました。
今回の「本の力」を開催するに至り、さまざまなことがありました。
一番大きかった学びは、「本の力」は、人のためにやっていたことだと思っていましたが、勘違いでした。
自分のためだったようです。
「本の力」がいかに、自分を支え育て励まし牽引していたかを思い知りました。
やらなかった3年間(正確には、ライブで、自分主催で自分の本拠地で開催しなかったという意味で)本を読むことが減ったなぁ、やっぱり、「本の力」やらないと読む気が落ちるなぁ、ぐらいに捉えていたが、違った。
自分の生きがいだった、強味だった、と思い知った。
それがわかったのは、実は昨年だった。
きっかけになった本は、
『さあ、才能に目覚めてみよう』です。
わかったけど、動けなかった。
新型コロナもその原因の一つ。
それ以上に、動けなくさせているものがあった。
世の中を省みたら、自分の出る幕ではないと思った。
自分が現役で「本の力」のイベントをやっていた頃に比べて、本の紹介をする人は数多現れていた。
YouTubeやTikTokやVoicyなど、それらを見聞きすると、素晴らしい話し方をする人、上手い人がたくさん現れていた。
それを見ていくうちに、自分の中の、話したい気持ちが萎えていくのがわかった。
自分なんて話してもなぁ、、、と。
そんな時、出会ったのが、
『推し、燃ゆ』
『流浪の月』
『52ヘルツのクジラたち』
という、小説たちだった。
この3冊は、私の中にある満たされない思いや寂しさに刺激を与えた。
『推し、燃ゆ』の主人公の、世の中に自分のいる場所がないと思い込む気持ちに自分は投影され、
『流浪の月』の二人の主人公の、世の中に認められない自分たちの存在感の危うさ、に親近感を覚え、『52ヘルツのクジラたち』の主人公の、自分の心の声が誰にも届かないどうしようもない切なさに、思いきっり共感する自分がいた。
救われた。ほんとうに救われたと思う。
あらためて、小説っていいなと思った。
その時の状況に応じた適切な自己啓発的な言葉より、
物語全体から醸し出される、あたかも自分の心を包みこむようなオンリーワンの救いの世界を提示してくれる、その想像力に感謝した。
これが、2月から4月。
ここが、底辺だったのかもしれない。
この後、数冊の本をつらつらと読み、運命の本に出会う。
【小さな「できた」が私を変える】
※こちらの本はブックランドフレンズのみでの販売となります。
これ、私が敬愛するブックランド・フレンズの店主こんぶさんから、激すすめられた本でした。
素直に読んでみた。
普通の主婦が書いた、日常のルーティンに埋没した自分を、「書くこと」で自分を見つめ直し、そこから抜け出しした、日常の中から自分を取り戻す物語だった。
普通の主婦=主夫的生活な自分。
自分の中で、この公式が見事に出来上がり、心の琴線に響いた。
素直に、この著者のやり方を真似た。
自分の毎日の行動を、書いてから、やって、その行動を「できた」と確認する。
要は、自分の1日の行動記録だ。
でも、ポイントは、やる前に、
自分でこの行動を「やるぞ」と決めて、
その行動をやり切り、
「できた」と記録することにある。
この繰り返しで、自分がやっていることの、価値や重要性や意味に気づいていく。
やってみて、3日で「んっ?」と感じ、
1週間で、「なーるほどぉ」となった。
「あっ、オレ、ちゃんとやってるじゃん」と、自分を認め始めた。
と同時に、えっもしかして、オレって「リペア」が好きなの?
という知らなかった自分の「好き」を発見した。
ここで、自分の気持ちが上向きになり始めた。
それが6月。
7月〜8月は、本来のやるべき仕事、古本の販売に精を出しました(笑)
読書は低迷気味でした。
ここ数年悩まされている、本を読み始めると眠くなる病が発症しまして、なかなか読み進めなかった。
ただ、自分の好きなものが本以外に発見できて、やや楽しみが増えつつもありました。
9月末、今年第二の転機が訪れます。
『自分を変えるノート術』
この本との出会いにより、「一人合宿」という技法を学び実践し始めました。
簡単に言うと、
ペンとノートを持ってカフェにいき、30分間書き出す。自分の頭の中にあること全て書いて書いて書き出す。
書き出すことは、その前に自分で決めたテーマに基づく。
仕事、人生、人間関係、夢について、今悩んでいること、など、なんでもあり。
書き出して、自分自身と向き合うことで、色々と変わっていきました。
実は、この時 、本を読んだら眠くなる病の対策にもなることがわかりました。脳の仕組みがどうなっているのかわかりませんが、本を読むと眠くなるのに、その場で書くことを始めると眠気が失せるのです。だから、この時から、読書中に眠くなったら即やめて、なんでもいいから、書くことにしました。
そして、眠気が覚めたらまた読書する、それを交互にやることで、読書タイムが増えていきました。
そして、第3の出会いがきます。
『1%読書術』です。
タイトルにまず「?」でした。なんとなく効率重視の読書だろう、「ケッ!」ぐらいの目線で遠くから見ていました。本屋の平積みや面出しを見かけても無視してました。
ところが、池袋に本拠地を構える「天狼院書店」で著者の出版記念トークショーをやるという。
むむむっとなった。
天狼院書店は、コロナ前にときどき行っていたり、文章講座を受講していたので、気になる書店ではありました。さらに、この店で買った本で大当たした本も何冊かありました。1番の要因は昨年やはりトークショーで呼ばれた山口周さんの『ビジネスの未来』という本が大当たりだったこと。
その天狼院書店にゲストで呼ばれる人、
だから、もしかして、この『1%読書術』もいい本なのでは?
と思って読んでみたのです。
そうしたら、とんでもない、めちゃくちゃ大当たりでした。
というか、青天の霹靂でしたこの読書術は!
一言で言えば、超効率的読書術です。
私が最も嫌っていた。効率重視の読書術でした。(笑)
そのやり方を簡単に説明しますと。
1.その本を読む目的を決める。
2.目次を読み、気になるところを探す。
3.見定めたらそこをスキミング(飛ばし読み)してみる。
4.ここぞとばかりの場所を見つけたらそこを精読する。
5.その後、その内容を自分の言葉に置き換える。
6.さらに内容を想起し、明日それをどう使うかを考えながら休憩をする。
この作業を15分で行う、という読書術です。
要するに、その本から、自分が欲しい情報を掬い取り、自分の仕事や人生に即活かす読書術です。
一字一句読む必要なし、
本をはじめから読まなくていい、
全部読まなくていい、
読み方は自由、自分勝手に解釈していい、内容をしっかり受け止めてもいい、とにかく読書というハードルを思いっきり下げた読書法、とんでもなく自己中な読書。
でも、自分の成長を感じることができる読書、人生を自分の手で取り戻せる読書とも言えそうです。
高校を中退し、中卒という学歴で世に出た著者。色々と大変だったでしょう。
しかし、この独創的な読書術で自己鍛錬に励み、学歴の壁を見事にぶち破り、現在は、29歳で会社を経営し、尚且つ、自分の夢だった本の著者になり、Twitterでフォロワー9万人超、さらに読書コミュニティLectioの運営、
Voicyでも、毎朝、本にまつわる話を発信して、たくさんの人に読書の魅力を伝え続けています。
と、やや熱くなり過ぎてしまいました。
とにかく、大活躍中。
私の読書人生でこんなにも画期的な読書法ははじめてです。(もしかしたら、あったのかもしれませんが、効率的な読書に嫌悪感があったため、素通りしていたのかもしれません)
今回この本で一番響いたのは、本を「読者」視点で読む、と言うところ。
私は、この発想が全くないままうん十年本を読んできました。
本や著者に対して畏敬の念があり過ぎました。本をもっと気軽に扱えばよかった。自分、真面目に読み過ぎ。(笑)
だから、途中で読めなくて放り出すたびに、自分にダメ出ししていたと思います。
それから、読みたいところ、知りたいところだけ読んで、それを即実践していくことは、一番読んだ本が自分のものになりやすいとわかったのです。
著者は、勉強嫌いで、めんどくさがりやと本の中で述べています。
だから、最初は嫌々読んでいたんでしょう。それでも世の中で生きる武器を手に入れるために歯を食いしばって読んだのでしょう。
だから15分だったんじゃないか?
それ以上我慢できないから。
しかし、あのメジャーで活躍したイチロー選手の信念のように、一本一本ヒットを重ねて大記録を達成したごとく、著書も自分の夢に向かって嫌々毎日15分だけ知識の貯金を続けて、見事それが花開いたのではないでしょうか。
と、勝手に彼の人生ストーリーを想像してしまいました。
だから、すすめたいのです。
読書が嫌い、読書なんて自分の人生に関係ない、そう思って本を読まない人がいます。
本当にもったいないと私は思います。
本屋さんで立ち読みだけでもけっこうです。ぜひ手に取って読んでみてください。
小説やエッセイなど、娯楽性が高い読み物には合いませんが、ビジネス書や自己啓発書や実用書などを読む際にはとても有用な読書法だと思います。
本を読んだら即実践!
昔どこかの書店でたびたび聞いた言葉を思い出しました。(笑)
そして、
すでに読書に親しんでいる方は、ぜひ、ご自分の読書に対する固定概念を崩すいい機会かもしれません。チラ見で良いので書店で手に取ってみてください。
ここらあたりから、人に紹介したい本が溜まり始め、ムズムズしてきました。
そんなときに出会ったのが
『いくつになっても恥をかける人になる』です。
これは実は、1%読書術の著書マグさんが運営する読書コミュニティLectioの中で知りました。
この本を10ページ読んだあたりで、
「あっそっか!オレ恥をかくのが嫌だったんだ。ほんとうは本の力をやりたくてしょうがないんだ。なんだなんだなんだ、オレってバカだなぁ」と思い、即日facebookに「本の力」のイベント告知をアップしました。
思っ切り背中を押されました。
これも、絶対読んだ方がいいです。
恥をかくことを気にして、どれだけ人生を狭くしているか、動きにくくしているかがよくわかります。全世代におすすめです。
しかし、ビビリーな私は、実はアップした後も、4年ぶりのリアルでの「本の力」開催に対してびびっておりました。開催日の3日前でも、やっぱりやめようかなとか思ってました。
その背中を、いや体全体丸ごとドンって蹴り飛ばしてくれた本と出会います。
『よみぐすり』です。
この本の著書のパワーに圧倒されました。著書の坂口恭平さんは、
「死にたい」と悩んでいる人に向かって、「私に電話してください」と、電話番号を公開しているんです。
これにまず驚きました。
私には絶対できない。
力になりたいとかおもいますけど、電話番号を公開するなんて、怖くてできない。その人が、かけてきた人に向かって懸命に言葉をかけるわけですね。
さらに、電話をかけ終わった後にも、その人に向かって届けと、Twitterで呟くのだそうです。死ぬことを翻すように必死に言葉を投げかけているのです。
その言葉たちを読んだ出版社の編集者が、その言葉を厳選して1冊の本としてまとめたものがこの本です。
魂の本です。
その言葉に全身を貫かれました。背中をどつかれました。背中を思い切り抱きしめられました。
私にとっては、一生ものの一冊になりました。
何かあったらこの本を開こう、そう思うだけで、無茶苦茶勇気が出ます。
以上、「本の力」を開催するまでを振り返りながら、本の紹介をしてみました。
長々とお付き合いくださりありがとうございました。
また、来年も「本の力」ができたら嬉しいです。
ここにfacebookの本の力のコミュニティをリンクする。