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④山羊を食うならソマリア料理!
近年トルコは、ソマリアに様々な関係を築いています。2005年の「アフリカの年」宣言以来、軍事や経済上の結びつきを強化してきました。
2016年にネットで、ソマリアの首都モガディシュにこの巨大なトルコ大使館が完成したYouTube映像を見つけた時は驚きました。まだ安定していないこの国で、いったいトルコは何をやっているのかと。(両国の関係を詳しく知りたい方はネットで検索!)
その影響もあるせいか、上記の記事にも書いた多国籍な移民街「ユスフパシャ」近辺には、アラブ人たちについで、このソマリアからのソマリ人(民族的にはソマリ人と呼ぶ)をよく見かけます。さらに、ソマリ人は、アラブ人に比べてトルコから文化的にちょっと離れているため、独自のソマリ人向けの店が目につきやすいのです。
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ユスフパシャには、このようなソマリア料理の店が5、6軒あり、店の雰囲気も大分違います。ソマリア料理は、日本では食べる店がないので、すべての店をハシゴしてみたかったのですが、いかんせん胃が足りません。
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下調べのために、明るい雰囲気のこの店に入ってみました。店の名前であるダルサンとは、ソマリアの真ん中あたりにある町の名前のようです。
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この写真の店では、ローカルな男性たちが故郷の料理を食べにやってきていました。全体的にスパイス控えめで、クセがまったくない味付けでめちゃくちゃ美味しいです。レイズンがピラフに入っている以外は、エスニックが苦手な日本人でも好きになりそうな料理です。パスタが一緒に盛られている感じなんかも、洋食屋のおかずスパゲッティみたいですし。
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面白いのは、椅子にかけられた柄。これ、よく見ると旗の柄なのです。ソマリア好きや未承認国家好きの人なら歓喜する装飾で、ソマリア国内の様々な「国」の「国旗」が彩られています。
高野秀行さんの著書で、有名になったソマリランドを始め、ガルムドゥグ、プントランド、ヒーシェベリ、ジュバランド、南西ソマリア、そしてもちろんソマリアなど、各国の旗を見ることができました。高野秀行さんのソマリランドの本を読むと分かりますが、基本は群雄割拠した戦国時代のような状況だったのが、やっと落ち着いてきた感じなのかなと思わせてくれました。
現在、ソマリランド以外は、ソマリアの連邦の構成国家となっているものの、一時期は未承認国家でもあったこうした国々の旗が一同に介しているので、私的に非常に萌え度の高い店でした。
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ユスフパシャ駅からアクサライ駅へ向かう途中の地下道では、この地域にやってくる国の国旗のキーホルダーやブレスレットなどを販売していて、ソマリアの構成国の国旗が並んでいます。これを見てもいかに、このユスフパシャに多くのソマリ人がやって来ているかが分かります。
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そんな中、今回取材させてもらったレストランは、Fariyeという店。今までEthnic Neighborhoodsの取材でミネアポリスと広州でソマリア料理の店を巡ってきましたが、ここは、格段にアップスケールな店でした。ネットの情報やアップされてる写真が良さげだったので、この店にしました。
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この中で、特に特徴的で初めて食べたソマリア料理は、バルバラパスタ(Barbara Pasta)。一見、ただのカルボナーラと思いきや、ハーブがほんのり効いていて、チーズや卵などのコッテリした感じもほんのり。優しい味付けの中にも、異国感を醸し出していて、私的に大ヒットな一品でした。
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そんな大ヒットなパスタのさらに上を行ったのが、こちらの山羊のスネ肉です。羊とは微妙に違う味わいの肉が、これでもかというくらいにホロホロに煮込まれて(煮て焼いた?焼いて煮た?)おり、味付けもスパイスがほんのりで、上品な西欧料理に近い感じでした。間違いなく、今まで食べた中で一番美味しい山羊肉料理でした。
ソマリアは、山羊や羊を湾岸諸国に多く輸出している国として知られています。湾岸諸国と言えば、山羊や羊をメインディッシュとして美味しく食べる国です。その原産国がソマリアなのですから、山羊料理が美味しいのは、当然と言えるかもしれません。
実際、ミネアポリスでも広州でもソマリア料理店で山羊料理を食べましたが、どこも間違いのない美味しさでした。上記のリンクの5分後くらいに山羊肉のくだりは出て来ます。
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こちらは、オーナーのアブドゥッラーさん。とても紳士的で落ち着いた雰囲気のある方で、従業員も彼の人柄にならうかのように、サービスや対応なども日本の高級料理店のレベルでした。そして、料理はソマリア料理をメインに提供しながらも、イタリアンやエチオピア料理なども提供。幅広い客層を考えて店を作ったと言っていました。
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ちなみに、このユスフパシャ周辺には、上記写真のようにレストラン以外にもこうしたソマリ人向けのファッション関係の店が集まっています。こうした店は女性向けなため、私一人では入ることができなかったので、ダウミが来てから覗きに行こうと思ったのですが、この取材先のオーナーさんの計らいで、なんと兄弟が店をやっているから、そこに取材に行けば良いとオファーしてくれました。
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ユスフパシャから大通りを挟んで東にあるラーレリ地区。ここは、アパレル関係の問屋などが集まる巨大なバザールのような所。ソマリ人たちは、その地区にも拠点を持っていました。
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ラーレリ地区から入ってすぐの所に店舗のおよそ半分以上が、ソマリア関係という雑居ビルがそれです。このエリアも、散策するとウズベク料理店や西アフリカの料理店などが点在し、ユスフパシャとは、また違った顔ぶれを目にします。
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案内してくれたのは、アブドゥッラームハンマドさん。この雑居ビルの一角に彼が経営するカーゴ輸送会社と、女性向けの服装の仕立て屋があります。このビルの中では、顔らしく、あちこちの店に顔を出して挨拶しながら撮影させてくれました。
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ダウミは、始め民族的な柄のものを求めていましたが、最終的に、このソマリアカラーの服に落ち着きました。よく見るとブルーの部分がソマリアの地図の形になっています。
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結局、仕立てるために長いこと店にいたので、なんだかみんなこのシチュエーションが楽しくなってきたみたいです。
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今まで、ミネアポリス、広州とソマリ人コミュニティを回ってきましたが、ここイスタンブールもかなり活気のある場所だなと感じました。距離的にも近いことや、同じイスラームの国ということもあるので、前回の2箇所に比べて、どこかほがらかな印象を受けました。イスタンブールの自由な雰囲気が伝わってくるエピソードが撮影できたと思います。
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![Hiro Kay(比呂啓)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171883657/profile_932650964a049c8ac61ca1a86af8b55a.jpg?width=600&crop=1:1,smart)