まさかそこまではしないだろう

国がコロナ対策失敗して感染拡大、そのせいでこれから本物の危機がやって来るって時にアーティストが危機なんて来るどころかもう済んだみたいに「コロナ以後のアートとは?」とかやってるけどちょっと政府の「お買い物券」みたいですね。

普段は手厳しく政権批判しているくせに「一番それが必要」な時に正常性バイアスなのか反対に手をゆるめてしまう。むしろ権力側にしてみればそんなチャラい「お調子者キャラ」こそ積極的に「活用したい」だろうし意外にもこの国のトップと気が合うかもしれませんよ。

「国もまさかそこまでのことはしないでしょう」

と最初は誰でもそう思う。だって国家中枢の頭のいい人たちが多勢して知恵を絞って最善策ひねり出してるんだろうからまさか素人でも分かるような「バカなこと」はいくらなんでもできないでしょう、と。

これが国内だけの感染だったらおそらくもっと好き放題やられてファクトチェックする間もなくなすがままに任せるしかないんだろうけど、一瞬で「世界のコロナ対策」がチャート化されてリアルタイムでSNSを駆け巡るから、不誠実に自国民だまくらかすことばかりに頭使ってきたこの国には都合の悪い状況になってしまって、やれ「インフォデミックだ」「出羽守だ」と政府も外野の火消しに躍起になってるけど、他国がおおむね制限と補償のバランスで最低限の民主主義国家の体裁を保ってることは誰の目にも明らかになった。

こうも各国データが白日の下で検証されることになるとさすがに世界の度肝を抜くような「驚異の棄民政策」も通常運転ではやりずらいだろうし、今回ばかりはいずれ国も外圧に負けて「分かったよ出しますよ補償」みたいになるかもしれないという淡い期待もないではない。

しかし無慈悲さにかけてはこの国は底なしで、その「まさかそこまではしないでしょう」という刹那に平気で「トドメ」を刺しにかかって来る。そのサイコパス的性格に気づくためにはまずこの国からあからさまに「踏みにじられる」体験をするか、身近にその「被害」を見聞きするかあるいは自分で進んで「学ぶ」しかない。

そしてそんな経験をするところまで追い詰められるのは大抵の場合「弱者」だから、そうなったら人はもう「政府は信用できない」となる。

逆に既得権益の恩恵を受けている富裕層やエリートたちを国がわざわざ切り捨てるなんてことはないから、寄らば大樹の陰とばかりに常日頃から権威に媚びへつらって文句も言わずあっさり諦めることで甘い汁を吸って来た国民なら、たとえ危機的状況に陥って自分たちの仲間から犠牲者が多数出そうなことが分かっても、コロナ危機が収束した後の「おこぼれ」にありつくために「お上の声」だけにはしっかり耳をそばだてて嵐が過ぎ去るのをじっと待つ。

アーティストだってうかつに正義感を発揮して業界に干されでもしたら「貰えるものも貰えなくなる」から飢え死にしないためにも積極的に「今は声を上げない」ようにする。自分が生き易い世界が戻ればその時には喜んで声を上げるから早く「コロナ以後」が来て欲しい

そんな何だか分からないが「自分だけは生き残る」という支配者マインド。

この国でアートを生業にするアーティストたちの独特の処世術にはいつも驚かされる。平時にはデカイ声でマイノリティーに寄り添うようなパフォーマンスで人気取りに忙しいが、いざ権力が本気で弱者を切り捨てるタイミングで「自分にも火の粉が降りかかりそう」になると自己保身へとすばやく身を翻す。もっぱらビジネス的な狡賢さの方が「芸術的才能」として大手を振っている不思議な国。


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