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本を作りたい物書きのための、校正・組版・フォントについてのTIPS
タイトルの通り、同人誌やZINEなど、主に文章による書籍を作る際のコツをまとめたものです。
❶Wordの校閲機能をうまく使う
前提:文学=エッセイや小説に関しては「読みやすさ」の指摘はあまりアテにならないと思っています。ChatGPT含め、校正サービスは「敢えて読みづらい箇所を作って注目を引く」とか、文章の流れ・メリハリを理解してないためです。やつらの言うことを聞くと全体的に平坦な文章になり、これは分かりやすい・読みやすくはなっても個性や印象は薄れる。
というわけで、ここでは単純な誤字・脱字の校正についてのみ考えます。
暫定的な結論:Wordの校閲機能が十分に優秀:ウェブの校正サービスや、ChatGPTも少し触ってみたんですが、Wordより広く校正してくれるものは無い印象です。まだ十分見てないんで、良いものがあったら教えて下さい
基本:Wordの校正機能は オプション→文字校正で設定します。4カテゴリ30個の設定項目があって、この煩雑さがみんなWordの校正を使ってない理由な気がしますが、以下を参考にして三回チェックします。一回チェックが終わったら設定を変えて「再チェック」をクリック。
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❷Pythonで校正プログラムを書く
私以外にやってる人を見たことが無いので、一応これがメインコンテンツです。「プログラムなんて絶対無理」という人は飛ばしてください。とはいっても、ものすごく便利な訳ではなく、Wordの補助程度です。良いところは、自分が間違えやすいポイントにカスタマイズ出来るところ。
プログラムの書き方や使い方は、私も人に教えられるレベルではないので各自学んでください。言語はPythonですが、難しいことはやってないので、文字処理出来る言語ならなんでもできるはず。
一つ目のプログラムは、文章中から指定した語を見つけて、その前後を抽出してくれるもの。例えば私は「自身」と「自信」をよく間違えるので、これが含まれた文を全部取ってきます。それから、「。。」とか「をを」とか、絶対にこの並びにならない単語を登録しておけばそれもチェックできます。これはWordもやってくれますがダブルチェックですね。画像だと「子供」を検出してますが、私はこれを「子ども」とひらきたいのでチェックしてます。
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二つ目のプログラムは、ちょっと面倒な話ですが、統計処理を使ったものです。ひらがな二文字の組合せ(ああ、あい、あう……んん)をリストにして、自分の文章の中でその並びが何回使われてるかカウントして→滅多に使われてない=誤字の可能性がある、として抽出するものです。ただ、短い文章だと一回しか使われないパターンが大半になるので、自分が今まで書いた文章を全部参照してテーブルを作る、とかが良いと思われます。100万字くらいあれば良くなるんじゃないかな。
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❸その他の校正のTIPS
横書き⇔縦書き ゴシック⇔明朝 を変えてプリントして校正すると間違いに気付きやすい
短い文章であれば、音読ソフトに突っ込んで耳から聞くと間違いに気付ける
紙とPCだけでなく、スマホやタブレットなど、他のデバイスで見直すのも良い
❹ルビについて
インデザに比べてWordのルビの機能は弱く見える……んですが、実は細かく設定する方法があります。ルビのところにカーソルを当てて shift +f9 を押すとあら不思議、フィールドコードというのが表示されるので、これを設定します。
{EQ ¥* jc0 ¥* “Font:MS Pゴシック“¥* hps14 ¥o(¥s¥up 13(かんじ),漢字)}
こんなコードが出てきますが、特に普通の設定ではできない文字とルビの距離を up というパラメーターで調整します。基本は、文章を全部書き終えて、ルビも設定し終えた後で全体を選択 → shift +f9 で全てのフィールドを出して、検索&置換で直すのが楽。
フォントやその大きさにもよりますが、私のお勧めは hps10 up 7 。文字が詰まってるなら up6。
注意点:ルビは細いフォントだと非常に読みづらくなるので、本文に細い書体を使っている場合はルビのフォントは変えましょう。太めの明朝 or ゴシックを使うと良い。
追記:ルビのフォントを変更するにはもう一段階工夫が必要。詳しくはこちらのリンク先で。
❺組版について
私も勉強中なので大きなことは言えません。❶マージンをちゃんと取れ。特にノド部分は大きめに ❷行間をちゃんと取れ ❸字間はフォントによって詰まっててもわりと大丈夫 が基本。
フォントのポイントは、2000年頃から大きくなってきたらしく、現在は9~9.5が主流らしい。新潮文庫のポイントは 9.25 とのこと。以前は文庫の方が小さかったそうですが、今は単行本も文庫もあまり変わらず9前後が多いらしい。
個人的意見ですが、太い・クセが強い明朝(とめ・はねが強い)は大きいフォントの方が読みやすく、細い・ゴシックに近いようなフォントなら少し小さくてもいける。
綺麗な組版にするには、プロの技をパク……参考にするのが一番かと思います。自分の書いてるものに近い文章+判型の本に近づけて組んでみます。ページの写真とってWordに貼って重ねれば簡単ですね。フォントを太くしたり、いくつか別のパターンを試して、”必ず印刷して” 確かめること。
❻フォントについて
フォントは好き好きだと思いますが、私個人の意見としては「プロが使ってるものが強い」です。もちろん組版=文字間・行間の調節との組合せが重要なので、フォントだけの判断はできない。フリーフォントはワンポイントならなんでもいいんですが、本文に使われてると、どこかしらで気になるところが出てくる気がします。
プロのフォントは現状、サブスクで使うのがメインです。2024年9月から、最大手のモリサワが安価なプランを出して来たんですが、それでも 26400/年と高い。(学生は安いプラン沢山あるんで好きに使ってください)現状、Adobe InCopyを月額700円程度で契約して、Adobe Fonts というサービスを使うのがあれこれ使えて良い気がします。以下を参考に。
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ちなみに現在、世の中の商業出版は、リュウミンと秀英が大半とのこと。
私は買い切りのイワタオールド明朝を使ってます。なんかのセールで1万3000円くらいでした。
❼まとめとその他
校正も組版も、それ自体を職業にしている人がいるくらいで、本気でやろうと思えば時間が足りません。ただ、継続的に文章を書き、本を作るのなら、ある程度のセルフ校正・セルフ組版能力がつくと良いと思います。
校正はツールとかである程度自動化すること。AI校正は使い方分かれば良さそうですね。
私は特に最初の数ページあるいは一章だけは何度も校正をかけます。最初が悪いと印象が悪いので
組版は、プロはもちろん一冊ずつ、その内容に合わせて組むんですが、自作ならまあ数パターンのテンプレートを用意して、後は微調整する、くらいを目指せば良い気がします。