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WoodSpiritsコラム|木の酒「WoodSpirits」の香りと味わいについて
こんにちは。WoodSpirits プロジェクトマネージャーの辰巳和也です。
世界初の「木の酒」を造っています。
世界にはいろんなお酒があり、それぞれに重厚なストーリーがあったりしますが、結局のところ美味しくないとその価値も半減してしまいますよね。
やはりお酒は嗜好品ですから、香り・味わいは一番気になるところかと思います。
ということで、第2回は、木の酒「WoodSpirits」の香り・味わいについてです。
「木の酒」ってどんな香り?
木そのものから作られるお酒と聞いて、どのような香り・味わいを想像しますか?
森林浴の香り、ヒノキ風呂の香り、新築の香り、木樽熟成酒の香り・味わい、割り箸の味、紙ストローの味、などでしょうか。
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木の種類によって異なる、香りと味わい
現在「木の酒」として安全性試験までクリアしている樹種は、「スギ」「白樺」「クロモジ」「ミズナラ」の4種類ですが、実際に味わった私のテイスティングコメントは以下のようになります。
スギ:青りんごのような甘い香りと心地よいグラッシーな香りのバランスが特徴的。余韻が長く、飲みごたえがある。
ミズナラ:クッキーのような香ばしい香りとほのかなオリエンタルな香り。ミズナラ樽熟成酒のような渋み・苦みが少なく、飲みやすい。
白樺:オレンジや桃、プラム様の香り。ほのかな酸味もあり飲みごたえがある。ドライな飲み口。
クロモジ:レモングラス、ラベンダー、カルダモンなどのハーブ・スパイス様の香りが特徴的。ドライな飲み口。
※前回のコラムでもお話したように、皆さまにお飲みいただく「WoodSpirits」はこれとは香り・味わいが若干異なる可能性がございます。
まとめると、スギは森林浴の香りや新築の香りに近く、ミズナラは木樽熟成酒の香り・味わいに近いと言えると思います。一方で、白樺やクロモジはフルーティさやスパイシーさも感じられ、木らしい香り・味わいだけでなく、幅広い香り・味わいが楽しめることが期待されます。
今後、さらに木の種類を増やして、木ごとに異なる様々な香り・味わいに出会うのが今から楽しみです。
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実証されている「木の酒」ならではの香り
実は「木の酒」の持つこの興味深い香り・味わいについては、森林総合研究所によって科学的にも説明されています。
下の図1のA(上)は、「ガスクロマトグラフィー」と呼ばれる手法で、ウィスキーや日本酒などのさまざまなお酒の香りに含まれる香り成分をマッピングしたものになります。今回は、黄色や紫、青などの色付きのマークが「木の酒」ですが、他の蒸留酒と離れた場所にマッピングされているのがお分かりいただけるかと思います。
つまり、「木の酒」は、他の蒸留酒と異なる香り特性を持っているということです。
また、図1のBは味覚センサーによって、それぞれのお酒に含まれる五味(甘味、酸味、苦味、塩味、うま味)を検出し、味覚成分をマッピングしたものです。
さきほど説明した香り成分と同様に、色付き記号で示された「木の酒」が他の蒸留酒と異なる味わい特性を持つことが分かります。
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論文のリンクはこちら:https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2020/ra/d0ra06807a
このように科学データによっても、「WoodSpirits/木の酒」は様々なお酒と異なった香り・味わいを持っていることが分かってきており、まさに“まったく新しいお酒”として、期待が膨らんでいます!
今後、「WoodSpirits」では、この香り・味わいに関連して、嗜好性を高めるために「木の酒」のレシピの開発を行っていきます。「木の酒」が世界初でめずらしいから飲まれるのではなく、美味しいから飲まれるというスタンダードを作っていきます。
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辰巳和也 / Kazuya Tatsumi|WoodSpirits プロジェクトマネージャー
1997年生まれ、大阪府出身。大阪大学大学院の博士前期課程を修了。同時期にウイスキー文化研究所のウイスキープロフェッショナル資格を修了していたことから、ファーストキャリアとして、ビール・ウイスキーの設備メーカーである三宅製作所に就職。同社では設計課として、ウイスキー新規工場の設備設計・立ち上げから既存酒造メーカーの設備アップグレードなどの業務を担当。その後、2022年4月にエシカル・スピリッツに入社し、新工場立ち上げ、サブスクリプションサービスおよびそれに特化したブランド「ENIGMA」の改修、「WoodSpirits」プロジェクトマネージャーなどを担当。
WoodSpirtis公式プロジェクトページ:https://woodspirits.ethicalspirits.jp/