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糖尿病専門医試験受験のススメ②

どーもこんにちは、えとえんです。

前回は糖尿病専門医のメリットについてお話致しました。
さてここからはどのようにして糖尿病専門医試験合格までのロードマップを描いていくかというお話になります。

医局選びがとっても大事

専門医試験を突破するにあたり、最も重要な点は、「医局選び」となります。
私は日本専門医機構の支配をぎりぎり免れた世代なため、専門医プログラムには乗っていないのですが、今後糖尿病専門医を取ろうとされる若い先生方はほぼ100%どこかしらの医局に属する必要があります。3年間で一階部分となる内科専門医を取得し、その後or同時に糖尿病専門医試験を受験します。この経過の中で、医局によって激しく難易度が左右されるため、どの医局に入るのか、どのプログラムに乗るのか、その時点から専門医試験は始まっていると言っても過言ではないでしょう。

地獄のJ-Osler(by未経験者)

まず一階部分となる内科専門医を取得するために極悪非道のJ-Oslerを突破せねばなりません。J-Oslerについての詳細はここでは控えますが、ざっくりいうと、
内科専門医になりたければ3年間で800文字くらいのレポートを160個、A4サイズのレポートを29個書いて来てね、ちなみに査読もあるから適当だったら書き直しだからね、それと査読者は一人だから相性が合わなければ何度でも書き直しかも☆
という血も涙もない極悪非道の評価システムです。

3年間あるなら800文字のレポートは年間50個、A4のレポートは年間10個程度じゃん、楽勝でしょ。と思われる方もいるかも知れませんが、1年目はチュートリアルモードで半ば学生さん扱いだった研修医とは違い、仕事はたくさん振られるわ、当直や外勤は始まるわ、カンファレンスでは鬼詰めされるわで、レポートを行う余裕など殆ど無く、さらに3年目は別の病院(@他県 feat.激務)に飛ばされることが確定に明らかであることから、実質的にレポート作成に費やせる時間は2年目の1年間だけとなっております。また、査読にも1次査読と2次査読があり、1次査読は院内の上級医が行うため、なかなか1次査読が終わらずに締め切りを逃す先生もいるとかいないとか…改めて見直すとやべぇ制度ですねこれは…
この圧倒的不利な状況から3年間で内科専門医を取得するためには、J-Oslerに理解があり、サポート体制が充実していて、休みが取りやすい、そんな医局に入局しなければなりません。
J-Oslerの実際については、今年血反吐を吐きながら内科専門医を受けた方々が、思い出したくも無いであろう記憶をnote上に書き残してくださっていますので、そちらを是非参考にしてみてください。まだ間に合います。回れ右をするなら今です。

進級試験で過去問の重要性を学んだよね

糖尿病専門医についても、レポートの添削を受けたり、受験体験や過去問を受け取るために、毎年受験者がおり、合格実績のある医局が望ましいです。糖尿病専門医のレポートは外来症例30件(200文字)、入院症例10症例(A4:3枚)とJ-Oslerに比べたら大したことはありません。ただ、査読は結構ねちっこく、基本的に1回は難癖つけて再提出させるみたいです。私は墓穴を掘って再々提出させられました。急いで教授に泣きつきましたよ、ええ。とはいえ、レポートでは基本落ちないみたいです。あのときの不安を返してほしい。

糖尿病専門医試験は、試験内容は非公表で、問題用紙も回収されるため、過去問は受験生の再現問題(試験中に覚えて試験後に思い出して作成する)に頼ることとなります。そのため、1学年上に受験生がいないと前年度の過去問が入手できず、非常に苦しい戦いを強いられます。また、再現問題は受験生が多ければ多いほど質が向上するため、毎年コンスタントに受験している医局はより一層有利となります。

医学部生は運動部に入部して過去問を先輩からもらうのが必須である、というミレニアル世代の価値観にアンマッチかつクラウド化の流れとともにその姿を消した伝統芸能が、こんなところに姿を変えて連綿と続いていることに驚きを隠せません。

糖尿病に関わる学会発表や論文投稿も必須なため、指導体制がしっかりしているとなおのこと良いですね。とはいえ、やらされすぎて負担にならないレベルが望ましいです。新入局員期待の新星になってしまうと、指導医が楽しくなってしまって、あれもこれもになってしまいがちですので、one of themな存在になることを心がけましょう。

結局大学病院に誘導される悲しさ

ここまでをまとめると、
①内科専門医を取得するためのサポート体制あり
②コンスタントに受験者&合格者がいて
③ほどよく学会発表や論文投稿できる

という医局が理想になります。

この3つの視点から考えると、専門医機構の思惑通りとなってしまい悔しい気持ちでいっぱいではありますが、大学医局orそれに準じた総合病院にならざるを得ません。特に①がクリアーできません。現在は糖尿病専門医については学会主導となっています(というかサブスペシャリティが纏まらなくて専門医機構がイニシアチブとれてない)が、今後糖尿病専門医も専門医機構主体になることを考えると寄らば大樹の陰、といったところでしょうかね。

医師の働き方改革という体の良い外勤制限の包囲網が敷かれつつも、残業は年1860時間(月155時間)制限とどう考えても行く先はKA☆RO☆SHIな大学病院ですが、おそらく糖尿病・内分泌内科であれば残業時間は36協定もニッコリな月45時間で収まる…はずなので、専門医取得まではなんとか耐えましょう。(腎臓内科や血液内科とくっついててICUに患者がバンバン入院してるよ!という先生方はすみません!尊敬してます!)

面接対策という点でも大きな医局がオススメ

面接についてはまた別記事で詳細を記載しますが、面接で聞かれることもある程度のサイズ感の医局において積極的な経験を意識した質問が多い(友の会の有無・市民公開講座など)ため、その点でも大きな医局に入ることはメリットになります。もちろん、どんな医局でも、極端なことをいえばフリーランスでも合格することは可能であり、必須条件ではありませんが、スムーズな面接をご希望の先生は一度ご検討ください。なお、われこそはコミュニケーションの権化であるという自負のある方はその必要もないです(別のビジネス始めることをオススメします)。

コミュニケーション能力に不安を覚える方は絶対に大きな医局への入局は必須です。
たいてい面接なんてものはよほどヤバイやつを弾くものだろうと高をくくってたのですが、同期と点数を開示したところ、コミュ力との強い相関が確認された(p<0.01)ため、面接官もよく観察されているようです。それでも質問にある程度答えることができれば及第点は貰えるようですが。

結局本題まで辿り着かなかったよ…

と、いうわけで、専門医を取るためにはそこそこの大きさのあんまりハイパーじゃない医局に入ることがまず大事だよ、というお話でした。
試験対策について全く踏み込めてないじゃないかはやくしろというお声がどこからともなく漏れ聞こえてきます。次からは一足飛びに時間を進めて、レポート書き始めるところから始めたいと思います。もはやそこから書き始めてもよかったんじゃあないかと思う次第です。穴があったら入りたい。
ではでは、このへんで。

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