飢えたまま本屋から帰る日のこと
こんにちは。J-Popみたいな本ばっかり売るな!Natsuです。
みなさんは最近本を買ってますか?買わなくても、なんとなく書店を見かけたら立ち寄る習慣のある人は多いと思います。わたしも、何も読んでいなくても本屋さんの空間自体が好きでよく行っていました。
さて、学校勤務を経ることですっかり読書の習慣を取り戻したわたしですが、実は困っていることがあるのです。
それが、本屋さんに行っても面白そうな本がないということ。
わたしがよく行くのは、最寄り駅の駅ビル内の本屋さんです。雑誌と、本屋大賞ノミネートの本ばかりが平積みされている、音楽番組でいうところのMステとかそんな感じの本屋さん。動きが早い売れ筋の人気商品がいっぱい置いてある本屋さん。
わたしは特に文庫本が好きなので、店頭から文庫のコーナーあたりを、ゆっくりと回ります。いつも適当に姿勢悪く歩いているわたしも、この時ばかりは背筋に力を入れて、かかとから着地して、地面を一歩ずつ踏みしめて進みます。
来るたびに同じことを繰り返すから、気になる本も決まってきていて、今日こそはこれを買っちゃおうかなと思って、手にとってなんとなくひっくり返してあらすじを読むと、高確率で棚に戻します。
いくら雑食といっても好きなジャンル・苦手なジャンルがあるもので、わたしの場合は
恋愛・ミステリ・ファンタジー・自己啓発
のジャンルが苦手です。書いていて、じゃあ何の本なら読めるの?ってくらいに自ら幅を狭めてしまっていて悲しくなってきました…。
食わず嫌いではなくて、これまでも有名タイトルを中心に読んできたけど、面白いと思うことがほぼなかったので、あえて読もうと思えないだけです。
恋愛は、それそのものがそもそもよくわからないので共感するポイントがないのが面白くないと感じてしまいます。「ここで急に恋愛が出てこなければもっと面白いのに」と思うことがめちゃめちゃ多いです。「海と毒薬」も「草枕」もそう。ウェルテルなんか読み切れない。ただ、草枕みたいに近代文学の類だと、文章や表現自体が好きだったりして読んでいて楽しいものもあります。
ミステリは、謎解きに興味がなくて面白さを感じないんです。小学生の頃から、家族の影響もあってホームズと東野圭吾作品をだいぶ読みましたが、「誰が犯人なんだろう」「このトリックはどうなっているんだろう」という気持ちが一切なく適当に文字だけを追って消化していたので、ネタバレされても怒らないどころか、オチを覚えていないこともよくありました。ミステリも、ミステリの本懐を主眼に置かなくてもテーマや背景設定で面白いなと思うものもあります。
ファンタジーは、世界観が作り込まれていればいるほど、ついていけなくなってしまいます。ファンタジーの短編集なんかは好きだったりしますが、ハリポタとか指輪物語とかナルニア、十二国記(これらも家族の影響で読もうとしたけど挫折した)あたりの長編になってくると全然ついていけない。
自己啓発は、読んでいるとイライラしてきます。人々の不安な気持ちや向上心につけ込んだ愚か者のバズったモン勝ちビジネス!って思っちゃうのです。
読みたくないものは読まなきゃいいだけなので、それでいいんですけど、こうなってくると本当に読む本がなくて、、、困っているというわけなのです。
エッセイも好きでよく読むのですが、「女ってのは」「男ってのは」が根底にあるような作家さんのはやっぱり途中で辛くなって読むのをやめたくなるし、人気作家だからと言って、出版社が激推ししていて売れている本だからといって、自分に合うわけでもないんですよね。
引越してきてから、いくつかの書店や図書館を巡って「飢え」を満たしてくれるところを探していますが、未だ巡り会えていません。できるだけ近くか通勤の途中に素敵な本屋さんがあるといいのだけれど。
昨夜も飢えていつもの本屋さんに行きましたが、これという本には出会えず、当面の飢えを満たすためにとりあえず坂口安吾の「白痴」を買ってみました。
現代日本に生きていなくてもいいから、もっと、うるさくない(「こんなことを考えちゃうちょっと変わった自分」を誇示していない)、シンプルでだからこそぐっとくるような作品はないものか。
本屋に行って読みたい本がない、服屋に行っても着たい服がない、これって悲しいですよね。モチベーションも予算も用意しているのに、自分に刺さってくるものがない。あるいは、何かが刺さってくる感受性豊かな自分でいられないのか…。
街を歩いていて勝手に耳にながれこんでくる、ヨルシカやYOASOBIや髭男や…みたいなキャッチーでわかりやすく大衆に愛される本もあっていいのだけど、売れて出版社を潤わせてくれていいのだけど。
でももっと、その一冊のために、一行のために、読んだ側も書いた側も生きていてよかったと思えるくらいの全身全霊の作品を読みたい。
しばらくは近代文学と古典の畑で暮らします。
こういうとき、普通に恋愛がわかる側に生まれてきたかったとマジで思います…愚痴っても仕方ないのですけれど。
ワクワクする本屋さんを求めて今日もちょっと開拓してきます。
では。
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