飢えは寝てやり過ごせない
半端な金を追わずに飢えた方がましだと思うマイブームにのって今日も明日をやり過ごしていくのはかくも困難なのかと思い知らされる沖縄。
金に比例した幸せなどないと分かっていながらも、金の生み出す幸福感の記憶未だ体のどこか片隅に同居させているわけだから、金はやはりあった方が良い。
多く必要なわけではなく新しい刺激を求める為の金だ。
ドミトリーの金もなくなって結局野宿からの、ドミトリー、そして野宿を三晩して今早々にたわ言を抜かし始めている自分のことが何よりも結局好きである。
上には上がいるとわかっていても自分をアゲる方法はこれが一番なのである、貧に驕りを持つくらいで丁度いい、誇りはいらない。
寝るのにも金がかかると久々に思い知らされると尚更それを意識してしまう。
そういえば沖縄の地が自然と人を幸福にはしてくれる訳ではない、旅人も移住者も、生まれ育った人もだ。当たり前だけどそんなことを思いながら落胆と妙な感動を覚えて、ならばこの土地に永遠と沈没して時間を使ってみようと思うも、But still do it.最後の蓋は開けない、この旅は目的を持っているのだ。
老子が伝えたかった無為自然を土地や人を俯瞰して見なければ理解できない自分の感受性の限界値を知った。
敏で鈍なのです。
全ての形が無為自然だという答えの先を体感する為には何をすべきか、それすらもなんだか追い求めれなくする8月の那覇の暑さがある。
明日は明日の風が吹く、高架下にある波の上ビーチで砂浜に横たわって見えない星を目に浮かべて蚊に刺されながらも体に完璧にフィットしたベッドで朝強烈な日差しがくるまで爆睡する。
元来の「その日暮らし根性」が見知らぬ土地で究極系になっただけだから、明日は明日の風がふくさ。
八百円をなんとか手に入れて、ドミトリーに入り真っ黒に日焼けした巨漢の福島出身の親方にタバコを恵んでもらい話し込めば、歳も違い生きてきた世界が違くとも同じ場所に寝る仲間であり「まあしょうがないさ」を共有できる同士でありがたい、旅人よりも懲役上がりが多いこのドミトリーには鬱屈とした目をして、ここにいる自分が許せないイヤダイヤダという人もいるけれど、これから先、良くも悪くも自分の欲しいものを手に入れる前段階の人たちだから心地よい。
そうそうドミトリーの管理人に一問一答インタヴューをしている人がいて管理人の答えに聞き耳を立てていたら、今年はかなり静かな人たちが集まっているらしく、沈没者は少なく音楽もおっぱじまらないし、楽しい系だったら歩いて10分くらいの他のドミトリーがいいかもですね、ここはみんなそれぞれ色々あるみたいですね…と今年は鬱な雰囲気であるらしい、皆酒もそこそこに明日の労働に備えている。
ここはもはや、ドヤ街のドミトリー。
そういえばお金を手に入れる前にやたらと涼しく那覇バスターミナルの上に新しくできた図書館を見つけた。
キンキンに冷えた水飲み放題、本読み放題、もはやここに寝泊まりできたら最高だと思いながら夏休みの課題を勉強机で黙々とこなす学生たちに囲まれて結局爆睡してしまった。知識の吸収叶わず体力を回復して「今夜はドミトリーに泊まろう」決意し、八百円をかき集めに意気揚々と図書館を後にした。
まだ物乞いをする気はなく、皿洗いを2時間する代わりに八百円くださいと居酒屋に入ろうとするも、変なプライドが邪魔して二の足を踏んでしまい最終手段に取っておいたSuicaの残高千円分を駅で声をかけた日本人観光客に、本当は千五百円で売りたいところを千円で売ってドミトリー代を確保、後になって五百円を後悔したけどいいのだ、それより買ってくれた人の驚きと苦笑いの顔が収穫だ。
とにかく今夜は宿に泊まれる。
明日からのお金をどうするか…ミュージックバーの仕事は短期だと雇わないらしく即断られたのでとにかく日雇いの仕事を決めて、落ち着いたらまた図書館に行こうとかなんとか…
いかに自分が東京でわがままを言っていたのかと反省しながら、後は飢えをどうにかすれば!と気持ちを奮い立たせた。
寝る場所と食を確保して、感謝をし、仕事をした後に夢が一つ叶うとしたらどうしますか?
「Fun coupon!!!!!」
Music : - The Skyliners Since I Don't Have You
Location : NAHA OKINAWA
2019.8.5