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12ステップは生活の中に溢れている

こんにちはなのだ。

12ステップをやっていると、ふとしたことで生活に「これはステップだ」と感じることがあるのだ。

何かしら大変な作業だったり、はたまたちょっとことだったりで何か気づきが得られることがあるのだ。それがステップだとわかると生活が楽しくなったりすることがあるのだ。

確定申告は12ステップだった

さて、フリーランスになって10年の得たイさん、確定申告は毎年やってるのだけど、実は期日内に出せたのは今年が初めてだったのだ。

得たイさんは小学生の頃から依存症の問題行動をするほど病んでいたので、大人になっても金銭管理ができなかったのだ。発達障害の特性でもあるし、10年前はキャッシュレスもほとんどなかったのだ。病んでたのが半分と、発達障害の得たイさんに時代が追いついてなかったのが半分だったのだ。だからこれまでの確定申告はどんぶり勘定だったのだ。

得たイさんは去年、月次給付金の申請ですべて不支給になったことから、金銭管理をしなければならないと強く思ったのだ。次から次へと出てくる給付金や補助金はだんだん手続きが煩雑になり、ついに得たイさんのどんぶり勘定申告が通用しなくなってしまったのだ。よしんば通用しても、その申告のために仕事を長期休業しているので、申請のために休んでた日に仕事したほうが給付金の額より稼げるという事態だったのだ。これを繰り返さないために確定申告を真面目にやらなきゃいけなかったのだ。

本当の意味で初めてやる確定申告はとても辛いものだったのだ。まず今年度の上半期の支払い情報が消えていてどうしようもないところから家計簿をつけなければならなかったのだ。VISAデビットやAmazonの購入履歴などから情報を見つけ出して分類し、領収書をかき集めたのだ。足りないものは仕方ないので経費に計上出来ずじまいだったのだ。

気がつけば確定申告のために仕事を1ヶ月休んでいて支払いが危うくなってきていたのだ。あまりにもつらすぎて今年もどんぶり勘定にしようと何度思ったかわからないのだ。

得たイさんはその時ハッと気がついたのだ。
これ、棚卸しじゃんなのだ!!

棚卸しとは、自助グループでやる12ステッププログラムの中にある、自分の過去を洗い出す作業なのだ。過去を見つめ直して自分の糧にしていくのだ。
確定申告は前の年の1年間使ったお金について総括して項目ごとに分類していく作業で、やってることはまさに棚卸しと同じだったのだ。自分の過去を掘り起こしていくのだからつらくて当たり前だったのだ。

確定申告が棚卸しだとわかった途端、気持ちが相当楽になったのだ。棚卸しということは、自分の生きづらさから解放される救いが待っているということなのだ。そこから一気に作業が進み、ついに初めて確定申告を期日内に出すことができたのだ。

生活そのものが12ステップ

それ以来、得たイさんには生活のあらゆる場面が12ステップであることをはっきり認識できるようになってきたのだ。

確定申告がステップ4・5の棚卸しなら、家計簿をつけるのは日々の棚卸しなのだ。障害年金の申請の申立書もまさに棚卸しだったし、大学生の就活の自己分析もまさに棚卸しなのだ。
棚卸しをするには自分なりに理解した神を信じなければならないのだ。そしてそういう神様を描写しているマンガやアニメも実はそこらじゅうにあるのだ。前に記事にしたドラえもんの話もそうだし(あれはやや抽象的なのだが)、鬼神童子ZENKIの話も渇望がわかりやすく描写されているのだ。

ハイヤーパワーもアニメに登場

実はハイヤーパワー(自分を超えた大きな力)と自分なりに理解した神がストレートに描写されているアニメがあるのだ。それは弱虫ペダルなのだ。

主人公の小野田坂道くん(原作の現時点で2年生)の後輩に、鏑木くんというバカっぽいキャラがいるのだ。彼はバカだけど実力があり1年生でインターハイメンバーに抜擢されているのだ。
いつもは俺は天才だとイキってる鏑木くんが1人でこっそり練習してて伸び悩んでる時に、なんと彼が自分なりに理解した神が登場するのだが、彼はその神を信じてインターハイ本番でピンチを脱出することになるのだ。
その神の名は「オレンジビーナの神様」なのだ。

鏑木くんの信じる「オレンジビーナの神様」

鏑木くんの練習シーンはインターハイのレース中の回想シーンなのだ。彼はこの時タイムが伸び悩んでたのだが、そのとき3年の先輩の青八木さんが鏑木くんの練習を見に来てて、自販機の前にメモを書き置きしたのだ。

青八木さんが書き置きしたメモ。上に乗ってるペットボトルはオレンジビーナ。

鏑木くんはこのメモに書いてあることを練習に取り入れたらタイムが伸びたのだ。そして誰がこのメモを書いたのかという疑問に辿り着くのだが、

きっとオレンジビーナの神様が俺のためにメモを書いてくださったんだ!

「誰なんだ、このメモを置いてったのは…
 神か?自転車の…
 いや、オレンジビーナの神だ!
 俺いつも買ってるから!

弱虫ペダル NEW GENERATION #19

鏑木くんはそれ以来、オレンジビーナの神という自分で作り出した(自分なりに理解した)ハイヤーパワーを信じて(つまりメモを書いたのが青八木さんだと最後まで気づくことなく)、メモの通りに練習に取り組んでタイムが伸びる成功体験を重ねていったのだ。

この話は「弱虫ペダル NEW GENERATION」(3期)19話なのだが、このオレンジビーナの神様の話の続きは「弱虫ペダル GLORY LINE」(4期)9~10話に飛ぶのだ。

インターハイ2日目、鏑木くんは不調でチームから置いていかれてしまい、後続に次々抜かれていったのだ。そして彼を救出すべく青八木さんが途中で止まって彼を待ち、2人でチームに追いつこうとするのだが、そこには敵の集団の壁が立ち塞がったのだ。
この集団から抜け出すべく青八木さんが用意した秘密兵器はなんと、オレンジビーナの神様が書いた「便箋」なのだ。

これが鏑木の信じる神様の次の指令だ!

実はその前の年のインターハイ、青八木さんの先輩の田所さんが鏑木くんと同じように不調でピンチに陥ったのだが、この時に坂道くんが田所さんを救出しに行き、坂道くんは田所さんにアニソンを歌うように提案して(坂道くんは好きなアニソンが脳内に流れるとアガるのだ)、田所さんは嫌々ながらも歌い、チームに復帰するというエピソードがあったのだ。

そして青八木さんは田所さんの「アニソン覚えろ」というアドバイスに従い、アニソンの歌詞を書いた便箋を用意していたのだ。

「さっき何でもやると言ったのはウソか」
「この歌が勝機の1%になるとしても歌わないのか」
「勝機になるかならないかはわからない、
 でもやる前にわかることなど一つもない」

弱虫ペダル GLORY LINE #10

この青八木さんの気迫に鏑木くんが出した答えは、

「意味わかんねえ」
「でも何より、これは神様がくれたメモだ」
「わかりましたよ、俺も男だ!!!
 アニソン一発歌ってやりますよ!!
 大声で!!!」

弱虫ペダル GLORY LINE #10

鏑木くんは最終的に、自分がこの先レースで戦えるかどうかを、自分なりに信じたオレンジビーナの神様(ハイヤーパワー)に委ねたのだ。そして青八木さんとともに大声でアニソンを歌い、この窮地を脱したのだ。まさにハイヤーパワーの意思に従った結果を与えられたのだ。

ハイヤーパワーを信じれば導かれることを弱虫ペダルは教えてくれているのだ。しかし重要なのは、依存症でもなく自助グループと関係ない普通の漫画家(弱虫ペダルの原作者)がハイヤーパワーの概念を持っているということなのだ。
12ステップの概念は生活の中に元々存在しているもので、それを神の意思によって使うか自分の意思を貫いて無視するかというだけの話なのだ。幸せな生き方ができる人は誰かに教わらなくても神の概念を持っていて、自然体でそういう考え方ができるのだ。弱虫ペダルはその一例に過ぎないのだ。

プログラムは日常と密接な関係にある

生き方の原理は元々生活の中にあるものを理論としてプログラムに体系化したもので、生活と切り離されたものではないのだ。むしろ生活に当てはめることが提案されていて、それを細かく言語化と理論家がなされたものなのだ。

依存症者は、いじめや虐待などの背景により社会から隔離されて孤独になったことによりアディクションに陥ったのだ。よく洗脳の手口として外の世界から隔離して新しい価値観を植え付けるということがあるのだが、それと同じような人生を余儀なくされたのが依存症者なのだ。12ステップはその洗脳状態から解放されて外の世界と繋がるためのプログラムなのだ。

ゆえに12ステップでは「古い生き方」(自分を社会から隔離して生きづらくする)を手放して「新しい生き方」(社会と関わって解放される)をすることを提案しているのだ。12ステップは「生活法」なのだ。実は自助グループに繋がっている我々依存症者が12ステップに取り組むのは、健康かつ文化的に生きることが目的なのだ。生きるという目的ありきだからアディクションが止まるのだ。

最後になるのだが、この記事を書いている途中に震度6強の地震か起きたのだ。得たイさんは寒暖差アレルギーが酷くてくしゃみが止まらないので、今日はそういう日だとハイヤーパワーに委ねて仕事を休んだのだ。
得たイさんが仕事で使う自転車のライトの充電が十分にあり、地震の時の停電中はたいへん助かったのだ。停電中に困らないようにハイヤーパワーに導かれたのだ。

神や仏を信じない人は多いのだが、問題は神や仏が実在するかどうかではなく、そこらじゅうに不思議な力というものがあることに気づくかどうかなのだ。気づいていれば安心感が違うだろうし、気づけなければいつまでも独りなのだ。

12ステップは生きているのだ。だから渇望が意思を持つ一方でハイヤーパワーも自分を見守っているのだ。そのことを肝に銘じ、生きたプログラムの実践をしていきたいと思うのだ。

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