母お手製の白身魚のムニエル~たまには甘えさせてもらお~
一人暮らしを始めてから既に10年近く経つ。
私は健康や体型維持、節約を考えて極力自炊をして生活をしている。
最初は炊飯器さえ使い方もわからない有様だったが、
数をこなし、クックパッドに頼りつつ料理をしているうちに何年も経ち、今はもう料理を苦手だとは思っていない。
むしろ、料理をするのは好きだ。
ただ、普段は一人分の食事に全力投球する時間も体力もないため、
栄養面だけ考えた適当な料理だけれど。
実家に帰省すると、母は「たまには休みなさい」と言ってくれる。
それでも、都内の家よりも広いキッチン、数多い調理器具、喜んで食べてくれる家族が揃ってしまうと作らずにはいられない。
その結果、職場に持って行くための母の弁当や父の朝食、自分の昼食、家族での夕食と全て作ってしまう日も多い。
母は料理が下手な人ではない。
どちらかと言えば、料理が上手い。
最近は、加齢と共に面倒くさくなっているらしいが。(笑)
そんな母に、「これ、作って」と頼むことの多い料理がある。
それは白身魚のムニエルだ。
私も作ろうと思えば作れる。
だけど、これは母に作ってもらうことにしている。
母が作る白身魚のムニエルは、さっぱりとしている。見た目も。
だけど、私は子どもの頃からそれが好きだった。
だから今でも、「白身魚のムニエル作って」と母にねだる。
だって、美味しいから。
だって、懐かしい味だから。
だから、私は自分では作らない。
母が作ってくれるというところに意味があるのだ。
書いていたら、食べたくなってしまった……よし、また帰省したら作ってもらお。