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白~キャンバスと絵の具~

白は明るく、穢れのない澄んだ印象の色。

ただ、洋服だと膨張色になってしまう。

 白、と聞くと私は絵の具やキャンバスを思い出す。子どもの頃から文を書くのと同じくらい絵を描くことが好きだった。小学校高学年から大学2年目くらいまでは油彩を描いていた。大学になってからは、実家に帰省した時に描いていただけだけれど。

 高校生の時も、進路を決めるにあたり、最初は美大志望で美術教員になろうと思っていたくらい。最終的には現実主義なので文学部に進学を決めたというオチもあるけれどね。(笑)

 絵を描いていた頃、キャンバスを買いに行くのが嬉しかった。この真っ白なキャンバスに何を描こう。白いキャンバスを見てわくわくとしたものだ。

 そして、描き始めると、他の色を和らげるために白い絵の具を使う。

 赤、青、緑、紫。どれも濃い色だけど、白を混ぜれば柔らかい色になる。何色にも染まらない黒だって、白が混ざればグレーになる。

 絵の具だらけになりながらキャンバスに向かっていたあの頃、絵を描く私のそばにはいつも白があった。だから白は始まりの色であり、和らげるための優しい色。

 油彩を描かなくなった今、描くのは専ら落書きばかり。落書きをしよう。そう思ってノートを開くが、今は真っ白なページを見ると何を描いていいのか悩むことが多い。

 今でも絵を描くことは好きだけれど、きっと今の私にとっての絵の存在と昔の私にとっての絵の存在は重さが違うのだろう。

 それでも絵は好きだ。頭を使ってばかりいると疲れてしまうから、息抜きに絵を描くこともある。見るのだって好きだ。

 それでも、やっぱり落書き帳に向かうとなかなか描けない時があるんだよなあ。