初めて
初めて出会ったのは職場。
新人で入ってきた君を初めは意識してなかったけど、仕事を教えたり、通勤の電車が一緒で、行きと帰りがたまに一緒になったりして少しづつ君と話す機会が増えて行ったと思う。
初めて誘ったのは飲みでした。
電車が止まって、時間つぶしにどうしようと思っていた時に君に声をかけたのがきっかけ。
それから、2人で飲みに行くのが少しづつ増えて行ったね。
初めて君を意識したのはその飲みの席でした。
お酒のペースも一緒で、今じゃ何を話したか全然覚えてないけど、楽しくて、あっという間に22時を回ってた。
さすがに電車も動いてたから帰ろうとしたら、飲み足りないからもう1件!と誘われて終電ギリギリまで飲んでたね。
できるなら、そのまま朝まで一緒にいたかったな。
初めて遊んだのは、梅田でした。
大阪駅の地下街をブラブラしたり、居酒屋やBARをハシゴして、僕ららしいなと思った。
飲みながら、梅田でVR体験できるからHEPに行こうって誘われて、2人で体験型ゲームを楽しんだね。
体使うゲームだったけど、意外と好成績!
だけど、お酒入ってたのもあって、2人とも3Dゲームによってぐったり帰ったの覚えてます。
その流れで、告白したかったのは内緒。
初めて春の行楽に誘ったのが大阪城の花見でした。
桜の花を見て、はしゃぐ君を見て、可愛いなぁなんて思いながら、桜ばっかり写真撮ってた。君をレンズに収めなかったの後悔してる。
八分咲きの桜と満開の桃園で夕方に君と二人きり、あぁこんな絶好のチャンスないぞ、ないぞって思ってるうちにサラリーマンの団体が来て、告白のチャンスを逃したのが、もしかしたら人生最大の後悔かもしれない。
初めて2人で旅行に行ったのは京都でした。
トロッコ列車に乗りに行こうって誘って、2人で大阪駅待ち合わせ。
朝マックからの京都で抹茶ビールとみたらし団子、湯葉チーズ揚げを食べて、ここでも飲んでる僕ら。
トロッコ列車の時間まで嵐山周辺を散策することにし、SL記念館、竹林と歩き、たまたま見つけたオルゴール館でチケット買う時に、カップル割りでチケット買った時に、ほんとのカップルになれたらって心の中で思ってた。
もう100年以上も昔に作られたオルゴールの音色、それを作った技師達の話、そして一緒に聞いてる彼女の興味深い眼差し。
なんだか、幻想的な空間で夢の中にいるようでした。
そして、2人で保津川にそって流れるトロッコ列車で往復して、夕日に染まった宇治川を眺めて、こんな時間がいつまでもいつまでも続いたらって思った。
宇治川を流れる夏の爽やかな風が、涼しくて心地よかった。
2人の初めての旅行も終わりを迎える。
日帰りだったけど、大阪に帰ってきてから2人でご飯を食べて帰る。
お酒も入っていた。1日一緒だった。
彼女と過ごせた。それだけで幸せだった。
だから、僕は彼女に伝える事にした。
「好きです。」
色気も可愛げもない、まっすぐな言葉。
彼女からの返事は、キスでした。
泣きながら、いいんですか?いいんですか?と抱きついてくる彼女が愛おしくて、嬉しくて、こんな幸せがあるんだって、それだけで泣けてきた。
そして、この初めてのキスが、僕らの始まりです。いつまでもいつまでも、君を抱きしめて離さなかった。
こちらは朗読用に書いたフリー台本です。
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