入らずの森の梟の王①


静かな森に響き渡る、王たる梟の声。
闇夜に隠れていても、金色の瞳で見つめてる。
我らの森に入り込むな、この森、汚されてなるものか。

ホー、ホー
森の主
ホー、ホー
闇の王

森に近づく者は、取って食おうか。
我が森に近づくな、命惜しければ。
森を穢すものは、引き裂いてしまおうか。
我が森に近づくな、命惜しければ。

     これは遠い国のとある村に伝わる童歌(わらべうた)。 誰かが言い出したのか、あの森には魔物がいるぞ。梟の王がいるぞ、と。 梟の王は人を食った。それ故に強い力を得たと。そして人の生命の味を知った。その味を覚えた梟は知恵と魔力を得たと。
    こう囁かれた梟のいる森は、いつしか入らずの森と呼ばれるようになっていきました。


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