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生産緑地|2022年問題は起こるのか

生産緑地については、クライアントさんに相続した生産緑地の運用方法を検討している方がいるので、私も2020年11月に横浜市の説明会に参加してきました。

そして昨日、みんなのフォトギャラリーで私の写真を使っていただいた記事で、生産緑地の2022年問題をテーマにした本があるのを知り、私も生産緑地について整理しておこうと思い、この記事を書いています。

ルース磯村さん、写真を使ってくださりありがとうございます。ルース磯村さんの投稿で紹介されていた本はこちらでした。

2022年、宅地が大量に供給される

Amazonの商品ページ内、出版社からのコメントではこう書かれています。

来る2022年、指定から30年の時を経て、都市部の大量な農地(生産緑地)が優良宅地に生まれ変わろうとしている。するとどうなるか……

上記の通り、生産緑地問題とは、2022年に農地だった土地が宅地となって大量供給されることを問題にしています。

宅地の大量供給で想定される問題

宅地が大量供給されるとどんな問題が起きるでしょうか。

空き家率の上昇
供給された宅地をこぞってディベロッパーが開発して新築分譲したら、2018年10月時点で13.6%だった空き家率(国内の住宅総数に占める空き家の割合)がさらに上昇するでしょう。

空き地が増える
これからも人口が減っていく中、宅地が出たからといって開発できるディベロッパーは少なく、空き地ばかりになるかもしれません。

固定資産税の激変
農地から宅地になった土地をディベロッパーが買ってくれないと、土地の所有者は、年間数千円だった固定資産税が100万円超えに激変する場合も考えられます。

2022年問題は大きくならない

このような問題が想定され、生産緑地の2022年問題は大変だ!2022年は宅地の仕入れどきだ!と不動産業界では騒がれていました。

騒がれていました。

と、過去形にしているのは、たしかに生産緑地の解除で土地を仕入れる予定のディベロッパーもいると思いますが、2022年にそれほどの宅地の大量供給はされないことが見えてきたからです。

特定生産緑地制度の創設

というのも、国もだまって問題を放置していたわけではありません。

生産緑地問題の解決に向けて各種の法制度が整備されています。

2016(平成28)年5月
 「都市農業振興基本計画」閣議決定
2017(平成29)年5月
 「生産緑地法の一部改正」
2018(平成30)年4月施行←2017(平成29)年5月創設、
 「特定生産緑地制度
2018(平成30)年9月施行←2018(平成30)年6月制定
 「都市農地貸借法

一番わかりやすいのは、
2018年4月に施行された「特定生産緑地制度」です。

これは、生産緑地の指定から30年経って宅地に転用できるようになるけど「土地所有者からの申出により10年毎に更新できますよ」という制度です。

これによって、土地の買い手を見つけたり、自分でアパートを建てたりせずに、もう10年更新して固定資産税の減免も受け続けることができます。もちろん生産緑地なので農地として使うことが条件になりますが。

神奈川県川崎市では、生産緑地指定から30年を迎える市内の申請対象899世帯の内、2021年2月時点で639世帯(71%)が特定生産緑地の申出をして10年間の期間延長をしています。

問題を先送りしただけか

特定生産緑地制度は、問題を先送りにしただけじゃないか、という意見も聞こえてきそうですが、時間稼ぎは必要と思います。

そして、特定生産緑地制度は、単に期間延長だけではなく農地として使いやすくする多くの制度改正もされています。

都市農地貸借法も上手く使う事業者が出てくれば、土地所有者、事業者、双方にとって利益を生むものになる可能性があります。

日本全体の土地問題として

都市農地はこう変わる」の「おわりに」では、こう書かれています。

本書では、2022年問題だけにとどまらず、さらなる問題点をも指摘させていただいた。少なくとも、この事実を認識して、自らの資産について見直しを検討していただきたいと思う。土地有効活用などについても、今後の宅地供給量を踏まえたうえで、あまり居住系に偏らない等の柔軟な考えを持っていただければ幸いである。(中略)
この2022年問題は、一部の生産緑地の農家だけの問題ではなく、先に述べた通り、日本の国土の全体に影響をもたらす問題である。現状の日本社会の二極化を、さらに加速させることにもつながる問題ととらえてほしい。

この本の出版は 2017年9月7日で、2016年5月の「都市農業振興基本計画」閣議決定の内容は見れたタイミングですが、特定生産緑地制度については詳しく触れていなかったようです。(私は読んでいなくレビューを見ました)

しかし、上記の著者が言うように、生産緑地の2022年問題は一部の農地所有者だけの問題にとどまらず、日本の国土全体の問題について、実家(自宅)の相続にもどんな影響があるかなど考えを深めるきっかけにできると思いました。

「特定生産緑地制度」「都市農地貸借法」について、引き続きnoteに投稿していきます。▼


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