弱かったあの頃の僕のトリックアート

あの頃、僕は無力だった。

弱かった。そして若かった。

バカだった。ダサかった。逆らった。分からなかった。変わらなかった。叶わなかった。でも語らった。のは戦った…からだった。宝だった。

話を戻していいですか？

とにかく僕はダメだったんだ。

僕には力がなくて、どうすることもできなかった。

あの時、僕はトリックアート展で、

でっかいカニさんを前に、

「はい、写真撮るから行ってきなよ」と言われ、

何もできずに…

ただただ1000円札を置いて謝って逃げたんだ…

僕はバカだ。

何度も自分を責めた。

トリックアート展を飛び出してとにかく北へ走った。

途中、肩がぶつかってチンピラとモメた。

僕はでっかいカニさんのトリックアートに何もできずに1000円札を置いて謝って逃げてきた自分が恥ずかしく、その怒りを他人にぶつけた。

全て僕が悪いのに八つ当たりしたんだ。

思い出したくもない。

僕はでっかいカニさんのトリックアートに何もできずに1000円札を置いて謝って逃げた過去を克服する。

もう、あの頃の僕とは違う。

今僕には家族がいる、仲間がいる。

そして自分自身も強くなった。

だから今度トリックアート展に行って、成長した僕をみせつけて、でっかいカニさんにこう言ってやるんだ。

「今度は5000円札だぜ」ってね。

はぁ？