頭痛になったことがなくて、ごめんなさい
悪気はないのだが、生まれてから32年、頭痛というものにかかったことがない。
これは本当だ。頭痛薬も飲んだことがない。
他の痛みはそれなりに経験した。
頭痛だけは前世に置いてきた。
「俺は絶対に頭が痛くならねぇ」と少年ジャンプの主人公みたいなセリフが言える。
とにかく頭痛という概念がない。
人間はどんなに鍛えてもアキレス腱だけは鍛えられないと言い、それはギリシャ神話の一説によると、トロイア戦争の勇士アキレウスが子供の頃、海の神テティスが彼を不死身にするために不死身になる川に浸したが、その時にアキレス腱の部分だけが浸されなかったためだと言われている。
それの逆頭バージョンが僕だと考えてもらっていい。
多分僕は前世では「アタマテトス」みたいな名前で、頭だけが不死身の川に浸かったのだ。
そうしてズツウナサスとして今に至る。
いやギリシャ神話のまま現世に戻んな。
さておき、このことにより、僕にはある問題が発生する。
「頭痛で苦しんでいる人の気持ちを分かってあげられない」
という問題だ。
本当にこれは申し訳ないと思っている。
優しくできているつもりではある。
例えば奥さんが「今日頭が痛くて…」と辛そうにしていたら、できるかぎりの対応はするし、僕にできることは、なんだってする。
だけど気持ちを100%分かってあげられることはない。
これはトリコで言う初期のモンスター、ガララワニみたいなもんだ。
ガララワニはトリコに会うまで、バロン諸島の圧倒的捕食者として島の生物を食い荒らしていた。 300年間、最強生物として君臨していたゆえに、命の危機を味わったことがなく、トリコというさらに圧倒的捕食者を前にして、「自分より強い者がいる」ということを知らなかった。
そして捕食された。
刃牙でもそうだ。バキがチャンピオンになった後、各国の極悪犯罪者が脱獄して日本に向かった。シンクロニシティという現象だ。全員が「敗北を知りたいため」に行ったことだ。つまり彼らはその人生で敗北を経験したことがないため、日本のチャンピオンだったらそれを教えてくれるのでは、というクレイジーな発想だ。
生物にとって1番おそろしいことは「無知」と「未経験」だ。
まさに僕にとっての頭痛がそれだ。
分からない。なったことがないのだから。
頭痛で悩んでいる人、頭痛薬を常備している人に申し訳ないし失礼だけど、痛みが分からない。
本当にごめんなさい。
優しくしようとは思ってます。全然代わりに何かやります。
だけど、そんな時僕は、全然痛みが分かってないですよと、そういう話だ。
こんなことを言うとブチ切れられるかもしれないが、痛みが分からないことが痛い。
僕だって心苦しい。
他の痛みは2倍理解できるようにした。
頭痛だけは本当にごめんなさい。
だから「低気圧」を気にしたこともない。Wi-Fiが一般化される前、低気圧=Wi-Fiみたいなものだと本気で思っていた。
だけど今後頭痛にならないという保証はどこにもないので、40代とかになって急に頭痛が来たら、僕はその痛みに耐えられるのかという不安もある。
知らない痛みすぎて震えあがるんじゃないか?
今から備えておきます。
ゴリラJAPANに関するイラストを描いてくれている仲間のモソシ君ことアッターマーティーも、頭痛に悩まされている人のうちの1人です。
こいつの頭痛薬あるあるの漫画めちゃくちゃ面白いけど、
僕には全部「ないない」でした。
倍面白くなります。僕をサポートで支配してください。よろしくお願いします。