ずっと使える!丈夫な風通織風呂敷(干支)2023年Ver.
前回の記事でお伝えした、貴重な国産の綿生地を制作している「上羽機業」さん。
こちらの工房がメインで制作しているのが「風通織風呂敷」(ふうつうおりふろしき)です。
こちらの生地がまたとても丈夫!
長年使ってもやぶれたりヨレヨレになったりしません。
今回は「風通織風呂敷」がどんな生地なのかご紹介したいと思います。
ちょっと長い記事なので、5:まとめを先に読んでいただいてもいいかもしれません。
1:風通織風呂敷ってどんな風呂敷?
こんな↓です。
風呂敷としては珍しい「織物」の風呂敷です。そして大きめ。
着物のたとう紙を折らずに包める大きさです。
風呂敷の主流は染物(そめもの)。真っ白な生地に上から染めて柄を描いたりするものです。
風通織風呂敷は名前にもあるように織物の風呂敷です。糸の段階で染めてしまって、そこから織る工程で柄を出します。
「・・・つまり何が違うの?」
それは加工のしやすさと雰囲気、だと思います。
①加工のしやすさ。
白生地を用意して柄を染める、またはプリントするということは融通が利きやすいのです。いろんな柄を作れるし、新たな柄をつくるのも、売れない柄を廃盤にするのも簡単です。今は技術が発展して、コンピューターで柄を入力すれば自動的にプリントしてくれる機械があります。風呂敷の多くがこういったプリントものです。
でも織物に関しては新たに柄を作るのに手間がかかります。
どのような柄にするか決めたら、織るための設計図を作る必要があります。その設計図を織機にインプットし織り始めるのですが、色の数だけ色糸を用意しなければなりません。柄が簡単なものでも複雑なものでも、工程は同じです。
織り始めれば作業は流れるように進みますが、それまでの準備段階に手間がかかります。
現代では昭和の時代ほどは風呂敷は売れません。ですので手間は同じようにかかるのに売れる数が多くない織物の風呂敷は、メーカーにとってはあまりやりたい商品ではないのです。
ですが上羽機業さんは違います。もう30年近く織物の風呂敷だけを作り続けておられるのです。社長のこだわりはとても強く、「いい品物を」作り続けることに信念を持っておられます。
②雰囲気。
風呂敷は着物を着る方にまだまだ需要があります。お茶やお花といった伝統文化に関わる方々に重宝されています。着物は基本的にフォーマル=柔らかもの(絹の染物)、カジュアル=織物というのが一般的です。
そういった流れからでしょう、風呂敷も進物を持っていく場合は染物、普段使いは織物といった区別があるように思います。
織物はどちらかといえば毎日ガンガンつかう実用的なものです。
ですのでまずは丈夫さが必須です。
そして使いやすさ。結んだりほどいたりしやすく、品物を包んだ時のシルエットが美しく、シワになりにくい。
その為には程よく柔らかく、ハリがないといけません。
そのため、毎日使うものほど品質が重要になってきます。
糸の質、織り方、出来上がった生地の整理の仕方。専門的な話にはなりますが、そういった各工程に妥協せず、きちんとしたものを作る。そこをこだわっています。
2:デザインについて
素材へのこだわりはもちろん、デザインも妥協しません。
正倉院の宝物などに使われる伝統的で格式の高い柄を中心に、現代でも使いやすく、またちょっと和む柄を取り入れ、どんなシーンで使っていただいても恥ずかしくないものに仕上げています。
今回の「葡萄唐草に跳ね兎」は、たわわに実りどこまでも伸びる蔓から”子孫繁栄”を意味する葡萄唐草を中心に、2023年の干支である兎を配した格調高い柄になっています。兎が跳ねていることでかわいさもあり、カタすぎない、普段使いにピッタリの柄になっています。
3:大きさについて
風通風呂敷の大きさは約120㎝角。
通常の風呂敷は大体50㎝角~100㎝角が多いです。
進物を包む程度の大きさなら50㎝程度、エコバッグのように使うなら大き目の100㎝程度が使いやすい大きさと言えるでしょう。
なぜこんなに大きいサイズなのか?
一番の理由はやはり「きもののたとう紙がそのまま包めること」でしょう。
100㎝であっても、たとう紙はなかなか包めません。
着物はシワをとても気にします。シワの出ないように縫い目はまっすぐ、長方形の布をつなぎ合わせた、畳むのに最適な衣服です。
畳んでタンスに入れたり持ち運んだりするのが前提の衣服。シワにならないようにできるだけ畳む回数を少なくしたいもの。
ですのでたとう紙の大きさは約88cm×37cmと両手でもたないといけない大きさ。その大きさを包める織物の風呂敷はなかなかありません。
大きい風呂敷の良さは着物を包めるだけじゃありません。着物はもちろん、座布団や子供の布団、ダウンコートを収納したり。サブバッグとして使うにも、大き目のバッグになるので使いやすい!
大は小を兼ねるもの。様々な使い方が可能です。
で、広げた大きさはこんな感じ↓
4:素材について
素材には特にこだわっておられます。
こちらの製品は30年間ほとんど値上げをしていません。
ほとんど値上げすることなく、高い品質を保ち続けています。
そこにはこんなこだわりがあります。
①値切らない
糸は常に国内の一流製糸会社に発注しています。30年以上ずっと同じ品質の糸を一定量発注し続けているので、発注するときは「また頼むわ」の一言。そうすることで、製糸会社側は用意するのが簡単だし、手間がかかりません。また値切らず買い続けているという信用があるので、品質を落とすことなく、安心してずっと提供し続けられます。
②半端が出ても何も言わず全て買い取る
そして製糸で出た半端分も全て買い取ります。
融通効かず半端は買い取らないということをすると、そういったロス分を見込んで値付けをする必要が出てくるので、割高になります。
半端まですべて同じ金額で買い取ってくれるなら、無駄がでないし、逐一発注通りに合わせる算段をせずに済むので作る側からすればとても安心だし、手間がかかりません。
値切らず、半端もすべて買い取ってくれる顧客は意外と少ないもの。こういった優良顧客には値段を抑えて納品しても買い続けてくれるという信用もあるので安心です。
高品質で低価格の商品を作り続けるということには、このような事情があるのです。
裏を返せば、そうして同じ商品を作り続けているのに売れ続けている、ということは、やはりこの商品が”完成された商品である”ということに他ならないということだと思います。
5:まとめ
いかがでしたでしょうか。
様々な工夫を長年変えることなく続けていくことこそが最大のこだわりであり、特徴ということかもしれません。
商品を見ただけではわからない、様々な工夫や努力があり、また変わらず続けることで、本当に良い長年使える製品を生み出しているのです。
製品を使う側もまた、どんな工夫が込められているかを知ることで愛着もわきますし、サステナブルで後世につながる製品を見分けることができます。
ぜひ一度使用してみてください。
きっと、ある日ふと「そういえばこの風呂敷、長年使っているのに変質していないな…」と気づくことでしょう。そしてお子さんやお孫さんが「えっ、この風呂敷、先代からずっと使ってるの?しっかりしてるなぁ~」と感心するに違いありません。
核家族化が進み、”家”や”家系”という繋がりが薄れてきた現代、孤独なお年寄りも増えています。
ひとつのものを大事に使い受け継いでいくことで、思い出や家族のつながりを思い出すことができ、子供や孫世代とずっとつながっていくことができます。
少しでもこういった製品が多く出回ることを願っています。
前回の記事でも書かせていただきましたが、この製品はまだ出来立てほやほや。まだ販売ページができておりません。
10月末~11月初旬を目途にご案内させていただきますので、楽しみにしていてくださいね!
6:販売ページはこちら
販売ページができました!
ご興味を持っていただいた方はこちらをご覧ください♪↓↓↓
2022/10/8新規
2022/10/10追加