どうすれば教育の現場で子どもたちと学んでいく信頼関係を築けるのか
こんにちは!探究教室ESTEM代表の大垣敬寛と申します。
子どもたちの興味を引き出し、ひとりひとりの興味に伴走していき、一緒にチャレンジしていくという学びの場をつくっています。
ともに教育にとりくんでいる皆様へ、保護者の皆さまへ、少しでも参考になることがあればと思い、私達が大事にしている教育の考え方について、次のようなカテゴリでお伝えしていきます。
子どもとの接し方
子どもの成長の促し方
子どもたちが楽しく成長する教材の作り方
充実した学びの時間をつくる授業の仕方
効果的に探究学習を進めるノウハウ
子育て・教育におけるお悩みについて
様々な情報をお届けしていきますので、ぜひフォローをお願いします!
子どもの接し方第1回は、子どもたちとの学びを円滑に進めていくための「信頼関係を築く」という基礎的なところからお話します。
なぜ子どもたちと信頼を築く必要があるのか
子どもたちに同じことを言っても、伝える人によって受け取ることもあれば、受け取ってもらえないこともありますよね。興味のない人、関係のない人の話はあまり受け取ってもらえません。
いくら良い話を良い表現で伝えていても、子どもたちが「この人の話は聞こう」と思ってくれないと、効果は出ません。
あこがれられることが信頼?
あこがれのYouTuberさんが言ったことは(良いことも悪いことも)しっかり聞いて真似します。人によっては、炭治郎や五条先生の言うことを強く自分に言い聞かせている子もいるでしょう。心のなかで自分に対して「逃げるな卑怯者!」と叫んでいるかもしれませんし、「判断が遅い!」と叱咤しているかもしれませんね。あこがれられる存在になるというのも一つの信頼の形かもしれません。
「教師」という立場の功罪
しかし、「あこがれられる人になる」というのは、子どもにとって絶対的な存在になるということです。大人という存在は、子どもたちから無条件で信じられるもの。先生なんて、なおさらですよね。先生というのはもう法律みたいなもので、「先生がそう言ってたじゃん」と言われたら、ほとんどの小学生は反論できなくなってしまいます。
ダメな大人を見せていこう
でも、大人自身が迷子になっているような現代。「絶対こうしたほうがよい」と信じられるものはなくなってきました。「いいからこれをやりなさい」という教育では、社会に求められる力を育めなくなってきました。
これからは、あこがれられる大人として「絶対これが正しい」ということを伝えていくのではなく、大人のダメなところも見せつつ、それでもこの人の言うことを聞こうという「信頼」を築いていかなければなりません。
子どもたちと築くべき「信頼」とは
では、「あこがれ」ではない信頼とはなんでしょう?答えはシンプルです。愛です。この人に「大事にされているな」「愛されているな」と感じる人から言われたことを無碍にすることはしづらいです。
もちろん、愛なんて関係ないまったく知らない人からも知識は得られます。セミナーなどで良い話を聞くと「これ自分もやってみようかな」という気持ちも得られます。ですが、私たちESTEMが取り組んでいるのは、長期的に子どもたちの成長を支えていくこと。親御さんや先生方も同じかと思いますが、「ここは何度も言って直してもらわないと」ということもたくさん出てきます。そんな長期的な関わりの中では、「あの人の言うこと聞きたくなーい」という状態にしないよう、しっかり愛情を伝えていくことが大事です。
長く成長を支えていくうえで築くべき信頼とは、盲目的に従わせるのではなく「大事にしてくれるこの人の言うことはしっかり聞こう」という関係なのです。
子どもたちと信頼を築いていく方法
愛情を注ぐ?大事にする?たくさん褒めたりすればいいの?
そう、愛情を伝えるといっても、何をしたらよいか、なかなか難しいですよね。どうすれば信頼を築いていくことができるか、大事にしていることをお伝えしていきます。
あいさつ
といっても、最初の二つは当たり前のことです。何より、あいさつすること。教室に来たら必ずあいさつをしています。できれば、ドアのところまで出迎えをするようにして、あいさつと一緒に迎え入れるようにしています。知らない間に来ていた場合でも、その子のところに行って改めてあいさつするようにしています。
あいさつは、相手を大事にする第一歩ですよね。
約束を守る(筋を通す)
これも当たり前ですが、約束を守ること。言い換えれば、しっかり筋を通すということです。理不尽な嘘をつかれたり騙されたりした子どもたちは、こちらが思っている以上に蔑ろにされたと傷ついています。
もちろん、言ったことを守れない時もあるかもしれません。その時は、大人なのですから、素直に謝るという姿勢を子どもたちに見せていくことが大事です。
感性への共感を伝える
自分の中で一番大事だと思っているのは、これです。難しい言葉を使っていますが、難しいことではありません。「相手の好きなことに興味を持つ」こと、「相手が怒っている理由を知る」ことなど、相手が相手の外部の存在に対してどう思っているかを教えてもらい、共感したことを伝えるのです。
例えば、子どもがYouTubeを見ているときに
という会話を先週ぐらいにしておりました。大事なことは「かわいいから好き」ということを引き出して、具体的な共感ポイントを伝えること。
このあたりは会話の技術もあるのでまたそのうち記事にするかもしれませんが、質問攻めをするのではなく、相手がしゃべりたくなるように話していって、自然な流れで共感をすることです。(例えばですが、最初の会話では、動画は料理の動画であるものの、料理チャンネルではないだろうなと思いつつ、ズレたことを言ったら相手が正したくなるだろうと思って発言しています)
好きなことに共感してくれると嬉しくなりますし、怒っているときに共感してくれると「わかってくれる」と思ってもらえます。もちろん、共感していないことを無理やり共感しているようにふるまうことはしません。無理に言っていることは子どもたちも気づいてしまいますから、自分なりの共感ポイントを探すのが大事です。
こういうふうに、相手が感じていることを知ろうとしていくと、相手もうれしいし、自分も新しいことを知るきっかけにもなるので、一石二鳥だと思います。
存在に感謝する
最後に、必殺技です。何度も言うというより、ここぞというときにしっかり伝えることです。それは「いてくれてありがとう」ということ。
「教室に来てくれて、ありがとう」とか「みんなのことをいつも気遣ってくれてありがとう」など理由をつけるのではなく、ただただ、相手がいてくれることが嬉しい、ありがとうと伝えるのです。だから、結構タイミングが難しい。何かあって落ち込んでいる時だと「慰めているだけだ」と伝わってしまいますし、何かあって喜んでいる時も「これをやったからだ」と理由付けされてしまいます。
自分がこれを言うときは、落ち着いている時に、「いや~、ほんと、いつも、ありがとうね」としんみり伝えることが多いです。だいたい「え、何が?」ってなりますが、「○○くんがいると楽しいからさ」くらいにして、「さて、何かやりますか!」と会話は早めに切り上げています。会話が長引くと、理由をつけてしまいますからね。
優秀だからとか性格が良いからとか、そういう条件付きではなく、自分がいることを認めてくれる人がいる、ということを伝えることは、もしかしたら彼らの今後の人生の支えや自信になるかもしれない。そう思って、できる限り伝えるようにしています。
まとめ
お互いに認め合っていくことが、教育の第一歩。
あこがれられる絶対的な存在ではなく、一緒に歩んでいく仲間として、子どもたちを大事にしていくこと。その一歩目を、お伝えしていきました。
何かの参考になると嬉しいです。
その次のステップについてもまた記事でお話していこうと思いますので、ぜひフォローやスキなどしていただけると嬉しいです。
いまは山形だけなので地域が限られますが、近場の方は興味がありましたらぜひ教室にもいらっしゃってください。