福音館書店のこと 2O24.O6.O7 study for the librarian
ゆうべは7時間くらい寝た。いつもはもう少し寝ているので短いかなと思いつつも頭はシャキッとしている。いまだに自分がロングスリーパーなのかショートスリーパーなのか、はたまたその中間なのかわからない。23歳だし、自分にぴったりな睡眠時間というのをもうそろそろわかっていたいなあと思う。
今日は絵本がたくさん刊行されている出版社「福音館」について調べてみる。
というのも書店で働き始めてから、世の中にはこんなに数多の出版社が存在しているんだということに驚く日々。しかもそれぞれに出版社コードというのがあり、創立が早い出版社ほど小さい番号を獲得しているというのもおもしろい。
少しだけコードについての余談をすると…。
堂々たる"00"を獲得しているのは「岩波少年文庫」「広辞苑」でお馴染みの岩波書店(1913年創業、まだ100年ちょっとの歴史)。
"01"は国語辞典や学習教材が豊富な旺文社、"02"は『はらぺこあおむし』や『ノンタン』シリーズなどの有名な児童書がたくさん出ている偕成社。これに続いてKADOKAWAや集英社などが上位に入っている。
特に00〜02の上位3つの出版社には「子どもに向けた本」という共通が感じられる。これはわたしの勝手な憶測だけれど、戦争が終わって、まずは子どものために本を、子どもへ良い教育を、というような時代背景があったんじゃないかな、と思ってる。
これだけコードのことを書いておいて、福音館のコードがわからなかった……。
福音館書店について
・ はじまり キリスト教書店から児童書出版社へ
1916年に石川県金沢市に創設された書店「福音館」が起源。カナダの宣教師によって作られた書店で、キリスト教関連の本(聖書や讃美歌)が取り揃えられていた。
その後日本人が経営をバトンタッチ、1950年に小冊子を出版したのを皮切りに1952年、児童書の出版社として歩みはじめる。
• 松居直という人物
福音館の出版において大きく貢献に関わった人物、松居直(まついただし)さん。みずからも『ももたろう』『だいくとおにろく』など作品を手がけた一方で、『ぐりとぐら』『エルマーのぼうけん』を世に送り出すなど、編集者としても大きな功績を果たした人。絵本作家の育成にも力を入れ、彼に見出された作家には安野光雅、長新太、中川李枝子、など今でも愛される絵本を生み出した人らがそろう。
・ 母の友 こどものとも
1950年代に松居さんが生み出した月刊絵本、月刊雑誌。
「これからは女性や子ども向けの本の需要が高まる」と予想し、まずは「母の友」を創刊。お母さんと子どもがもっと楽しく一緒に過ごせられるために、お母さんの心をもっと軽やかで自由にするために、という目的で現在も毎月刊行されている。
「こどものとも」は1956年創刊。毎月子どもに新作の絵本を届けようという当時では斬新な試みからはじまった。最初は悩ましかった売れ行きも産経児童出版文化賞を取ったのをきっかけに好調へ。現在は「こどものとも」と「かがくのとも」の2種類があり、子どもの年齢に応じたものを選べるようになっている。また小学3年生以上向けの「たくさんのふしぎ」という科学雑誌も作られている。
• 岩波と福音館
すぐれた児童書を世に送る出版社同士として、岩波書店と福音館書店は1977年に合同図書館目録を作成。岩波の絵本も福音館の絵本も一緒くたに探すことができますよ、というもの。
両者の交流は1955年にすでに始まっており、"ISUMI会"という集まりで児童書についての議論が月に一回行われていた。福音館からは松居さん、岩波からは当時の編集者いぬいとみこさん、松居さんも尊敬する石井桃子さんらが同志として集まっていたのだそう。
• 枠にとらわれず、あたらしく
松居さんは児童書を作る中で、縦型の本棚には収まりにくい横型の絵本も生み出した。書店や図書館は困ったけれど、松居さんは本棚の都合に合わせるのではなくこどもの読みやすさを優先した。そんなふうに新しい発想はどんどんと取り入れてゆく人だった。
新しい才能を見出すにしても、絵本作家という枠には収まらない。例えば、長新太さんはもともと漫画家だったし、中川李枝子さんは保育士だったし、*堀内誠一さんはグラフィックデザイナーだった。そういった他ジャンルの人の起用によって、当時パターン化してしまっていた絵本業界に新しい風を吹かすこととなったのである。
福音館の本や雑誌は、深い歴史と同時にいまだに新鮮な雰囲気が感じられる。それは、松居さんが枠にとらわれない自由さを大切にしながら福音館を育ててきたからなのかなと思う。
※堀内誠一さんは、
"anan"、"BRUTUS"、”POPYE”などのロゴを手がけたグラフィックデザイナー。
福音館について調べてわかったのは、福音館を知ることはまさに松居直を知ることだということと、福音館と岩波が似ているのは一緒に歩んできたからなのだということ。
母の友は実際にお母さんをしている作家さんが文章を寄せていたりもするようだし、どんな感じの中身なのか興味ある。こういうふうにお母さんを支える本が出てるというのもあったかくていいなと思う。にしても、本当にいろんな人から尊敬の念を寄せられてる石井桃子さん。彼女についてもまた調べてみよう。
お ま け