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「小3までに育てたい算数脳」…「見える力」 と 「詰める力」! 生きる力と本当の学力を育む2つのキーワード〜新しい時代、教育の先駆者の提言から

「算数脳」。これは科目における「学力」に特化したお話ではありません。子どもたちの「生きる力」を育むために「算数脳」を鍛えることはとても重要です!

「百マス計算」が全盛の時代から、子どもたちの「生きる力」を掲げ、新しい時代の教育の先駆者となった、花まる学習会代表の高濱正伸先生受験戦争のその先の人生を視野にいれた提言は、多くの信頼と支持を集め、これまでに見てきた親子は5万組以上に。高濱正伸先生の花まる学習会では、子どもたちが机の上だけでなく「野外体験」という外遊びでも、その能力を伸ばしています。この「外遊び」、実は「算数脳」を育てるためのキーワードでもあります。ここでは、高濱正伸先生の著作小3までに育てたい算数脳の内容をご紹介します。

◇「伸びる子」になるかならないか ― 小学校3年生までが勝負

花まる学習会の高濱正伸先生は『小3までに育てたい算数脳』で、「小3までに取得できた能力にすべてがかかっていると言っても過言ではありません。」と述べています。「9歳までに人間としての脳のソフトウェアが固まってしまう」という説もありますが、高濱先生が日々子どもたちと接している経験からもそう言えるのだそうです。6年生の1学期は、「伸びる子がぐんぐん伸び始め、伸びない子が壁にぶち当たる時期。その分かれ道を探すと、5年生になった時点にあり、「伸びる子」「苦労しそうな子」がはっきりわかるといいます。さらにその分岐点を探ると、大体が4年生の1年間に辿りつきます。この4年生、つまり9歳から10歳は、生物学的な人間の発達段階としても大きな変化をとげる時期に当たり、能力的にも「これまでに持ちえた能力を発展させていく段階」に入ります。つまり、小学校3年生(9歳)までに、いかに基礎能力の部分での発達を完了させているかが鍵となるのです。


◇算数脳とは?その構成要素がこちら!

高濱正伸先生の著作『小3までに育てたい算数脳』によると、算数脳とは、

「見える力」(空間認識能力・図形センス・試行錯誤力・発見力)
「詰める力」(論理性・要約力・精読力・意志力)

この力を総称したものです。では具体的に、どのような力のことを言うのでしょうか。

▢ 見える力(イメージ力)とは?

図形センスー補助線が見えますか?

図形問題が出題されたとき、そこには書かれていない補助線がパッと浮かんだり、必要な線だけが選択的に見えたりする力。図形センスがある子は、定理を習っただけで、見えなくてはいけない図形と補助線が選択的に浮きだって見える。

・空間認識力ー見えないサイコロを転がせますか?

紙の上に描かれた立体を、頭の中だけで自由自在にクルクルと動かしたり、好きなところで自由に切ったりして、正確な投影図や断面図を描くことができる力。つまり「イメージ力」そのもの。ドリルやペーパーではなかなか伸ばすことができず、体を使って思い切り外遊びをした子ほど、身につく。

試行錯誤力ーじぃっと考えこんでいませんか?

手を動かし、図形や絵を描くことで具体的なイメージから問題を解決しようとする力。図や絵を描いてみたり、数字を代入してみたり、表にしてみたり。作っては壊し…を繰り返す積み木遊びの延長戦上にある力でもある。

発見力ー外せない枠を外すことができますか?

イメージ力の集大成の「思いついちゃう力」。今までに習ったことや知っていることにとらわれない、独創的な考えを生み出す。入試問題でも、一番いいオリジナルの問題は、この力を試している。

▢ 詰める力とは?

※小4からこの力がより伸びるように、素地を作っておくことが大切です。

・論理性ー知らん顔してスジを違えていませんか?

解答までのアプローチを順序よく、理詰めで考えることができる力。試行錯誤力と違い、どちらかというとトレーニングによって鍛えることができる。ただし、論理が破綻していても平気という価値観を身に付てしまうと、修復ができないので注意が必要。家族で交わされる会話も大切。

・要約力ー出題者の気持ち、わかりますか?

「結局のところ、出題者や作者の言いたいことは何か」という視点をもつ力。国語のみならず、算数や数学でも大切。相手の言いたいことを理解するために、家庭でのコミュニケーションなどで「聞く力」を育てていたかどうかも問われる。

・精読力ー本を読んでいるのに文章題ができないって?

一句一句を絶対読み落とさないという集中力。本をたくさん読むことや読書が好きなことと、文章題が解けることは、ほとんど関係がなく、この「精読力があるかどうか」にかかっている。集中力は幼児期を逃すと育てることが難しいので、集中力の構えは小さいうちに身に付けさせるべきもの。

・意志力、執念

「絶対に自力で解きたい」という心の構え。こだわって、ひとつの漏れも破綻もなく、とことん追いつめていく力。思考力を伸ばすには「自分で考えて、考え抜いて、とうとう発見することって、本当に楽しい!」という実感が大切。


これらの力を鍛えるために、どのドリルを選ぶべきか…?いいえ、そうではありません。家庭での子どもへの接し方遊び方がとても重要です。また、数々の親子を見てきた高濱正伸先生だからこそ言える「伸びる子の家庭の習慣」「親が言ってはいけないNGワード」もあります。


家庭の子どもの接し方 ―「一貫して継続したお手伝い

必然性のある生活の中の作業を継続して行うと、「工夫する力」「試行錯誤力」が育ちます。子どもにとっての大きなテーマである「学年の切り替わり」を契機として始めましょう。必然性を保つために、「試験があるから」「微熱があるから」などの「やらない理由」を認めないことも重要です。例えパーフェクトでなくても、「助かるなぁ」「いつもありがとう」など肯定的な声かけをし、次のお手伝いへの意欲が膨らむようにしましょう。この工夫する力は、生活や遊びの中でしか伸ばせないものです。


遊び方 ― 「本当の知力を伸ばす外遊び」

イメージ力を測る教材は作れても、伸ばす教材を作ることはできません。何故なら、遊びを通した「実体験」からしか得ることができないものだからです。森でかくれんぼをする場合、子どもたちは、どこに誰がいるのかを把握するために、その空間を三次元的に見ています。また、四方に伸ばされた枝を掴んでは体を引き寄せ…を繰り返す木登りも、子どもの体に三次元が刻みこまれています。つまり、「イメージ力」が育つのです。また、自然の中では五感が刺激され、葉っぱ一つの色や手触りなどの多様性が人工のものとは比べものにならないほどの刺激となって「知性」を養います。

その他、「異学年同士」で遊ぶことで、「相手の理解度に合わせて表現する」という学びの最高段階「教える」力を育てたり、外遊びでは危険を察知する必要があることから「集中力」という知能面も育成されていきます。


◆NGワード ― 「何回いったら分かるの?」


高濱先生が、「NGワード」のトップバッターに挙げた言葉です。これは、「何回言ってもまた失敗する」「忘れる」という幼児の特性・本質を見ない乱暴な言葉なのです。これを理解しないで「何回いったら分かるの?」と発言すると、「何とかやろう」という子どものチャレンジ精神を損なうことになってしまいます。その代わりに何回でも「ああ、忘れちゃったね」と言ってあげるのがベストです。

[本書の構成]
第1章 十歳で将来が決まってしまう!?
(伸びる子と伸びない子/「百ます」だけでは子どもは伸びない/十歳で将来が決まってしまう?)
第2章 小3までに育てたい「算数脳」
(「算数脳」が必要な、これだけの理由/小3までに育てたい「算数脳」/見える力(イメージ力)とは ほか)
第3章 すべてを決める!小3までの育て方・遊び方
(すべての答えは「外遊び」にあった/子どもを伸ばす親・潰す親/親たちのNGワード・NG行動 ほか)

―高濱正伸( Takahama Masanobu )

高濱先生 250

1959年熊本県人吉市生まれ。
県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。
東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。
算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。

1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。

障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。

公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。

「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。

高濱正伸先生のロングセラー!

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◇算数脳を鍛える   高濱正伸先生の監修書籍◇

スゴイ!三角定規つき 三角パズル ~手を動かして伸ばす算数脳・図形センス編』梅﨑 隆義(著)高濱正伸(監修)

「正方形は45度の三角定規2枚分」。付属の三角定規16枚を組み合わせて、図形の成り立ちを知り、角度を探し当てたり、補助線を引いたりしましょう。ワークぺージは何枚でもダウンロード可能です。もともとない場所に「補助線が浮かび上がって見える」ようになるための練習は、まさに「見える力」を鍛えることです。書名にある通りの「手を動かして鍛える算数脳」です。「先生に言われたから大事とわかる」のではなく、もっと本質的なところで「三角形は大事」と分かっているかどうか。本書で、計算問題とはまた違う能力を身につけていただければと思います。ご家族で遊ぶのもおすすめです。

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こどモン ~子どもたちが作った問題集 解いて! 作って! 思考力を伸ばそう』花まる学習会 (著), 高濱正伸 (監修)

問題を「解く」と「作る」の醍醐味を味わいながら、算数脳を育てるための一冊です。収録されているのが、子どもたちが作った問題であることから「諦めず・夢中になって・集中して」問題に取り組むことができます。(=意志力)。収録されている問題からは、「試行錯誤・発見・平面図形・論理・国語/漢字」の力をつけることができます。

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