Special No.9 無駄使いが多い、大人の世界は、私はどうだろう。
8月29日
せめ口のお寺の法事で、母は手伝いに行った。なんでも、すばらしく偉い坊さんがいらっしゃるので、その坊さんを招く家は御殿のように飾り付け一万円ほどもする座布団を作ったそうである。
私は、一人の人を迎えるのに、そんなこと無駄だと思う。一万円もする座布団なんか作っても、
もうしょっちゅうその座布団を使うわけではあるまいし、家を飾り付けるのかって、そんなにしなくてもよい。
余分に沢山の料理を取り寄せたり、料理といえば私の口にも思わぬおいしいものが、はいったが……。
その他、無駄な事がたくさんある。たとえば、歌手に上げる花束など……、歌手が歌っていると、キャーキャー言いながら、花束を持って行く。あれ一ついくらぐらいだろう。
そういう私も、無駄をしていないだろうか。ノートがみんなつまらないうちに、捨てたり、食いしん坊してお腹こわしたり。
それらの、無駄を皆が注意して施設を良くしたり、世界を花いっぱいにしたり、子供達のために素晴らしい遊園地を作ったならば、なおなお世の中がすばらしくなってくる。
わたしが大きくなって、庭のある家を持ったら、その家の回りを花いっぱいにするつもりだ。そして、咲き乱れた花をみんなに分けて、少しでも世の中を花だらけにしたい。そして、花を見て、みんなの心が和みかつ、優しくなっていくし、どんなに素晴らしいだろう。
私が、将来家は小さくても、大きな庭のある家に住んで、この目的を果たすことができるように、がんばることを今ここで誓う。
まず、その目的に一歩でも近づけるように、今することは、ただ勉強すること、そして、怠け心を起こさず、人に好かれる人間になることである。
「私の希望」、それは大きな庭を持つ、こじんまりした家に住むこと。庭にはバラ園を作り、季節の花がいつも咲いている。
冬のために、温室も作るのだ。そして、花の苗を人にあげたりして、少しでも世界が花いっぱいになるように心がけたい。
何事も、骨おしみしないで、人から好かれるのだ!
秋代ちゃんは、私に「ねえちゃん、将来の希望聞いて」と、言うので、私は「又か」と思った。秋代は、いろいろな希望を出しては、すぐ変えるからだ。ところで、その希望というのは、東南アジア一周の旅だったのだ。
世界中で、いちばん嫌いな男性は?と聞かれたら、即座に父と答え。
世界中で、一番嫌いな女性は?と聞かれたら河合信江と答える。
なにしろ、父は大嫌いなのだ ! 最近、毎日顔を合わせていと、なお父のあらが目立っていやになり、父のそばにいるのがいやでならない。
もし私が、父のような人と結婚するぐらいなら、一人でやもめ暮らしをした方がどれだけ楽しいか知れない。
よく母は、長い間父と付き合って来たと思うと、感心してしまう。そう私が考えるのは、私が気まま者だからかも知れない。父も、最近特に私をよく思っていないのは、確かである。
父を、いくら私がきらいだと言っても、それは父が意地が悪いからでない。だって、父は意地悪なところがみじんもなく、人が良く正直かつ真面目であるから、酒飲みで乱暴な父より良いかも知れない。父のいやな所、それは①小心であること②小心だからか、小言ばかり言っている③ちっとも、男らしさがない(煙草も酒も飲まない。甘好きでもったいないと言って、なべざらいばかりして、ブツブツ言いながら部屋の掃除、茶碗洗いとおおらかなところや、ピリリとした所がちっともないし、引っ込み思案である)④趣味(熱中すること)がない(だから、ブラブラしている。だから小言が出てくる)⑤朗らかでない(冗談も言わないし、余り笑わない。父と一緒にいる陰気になる)
さて、父の悪口ばかり書いてもいけないと思う。私が人から嫌われないようにするのが、先決問題なのである。おおらかな気持ちを忘れないで、芳美!
もう、二日で学校である。明日と、明後日は宿題を命がけで片付けなければ。
芳美、もっとおおらかな気持ちで前進するのだ!
【コメント】
子供の目には、無駄遣いが多く見える大人の世界。
旧弊なしきたりに、縛りつけられているのが現実だ。
もっと、簡素化した生活はないのだろうか。ふと、そんな事を考えさせられる。何となく、不思議に映る大人のせかいだ。
私だったら、そうはしないなぁ・・・としみじみ思うのである。
もっと、有意義に、もっと簡潔にという気持ちが強くなってくる。
腹いっぱい、満腹に物を食べるのと、矛盾している所があるようで、反論できないこの悔しさ!!