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mother’s history No.40 狭いながらも楽しい我が家。食べ物があるから。

何か彼か、
美味しい食べ物がある。
だから、わが家は楽しい。
空腹で、不満が生ずることはなさそう。
いつも、お腹が満たされていたのだね。
いい事だけど、怠け心の種にもなっているようだね。
メリハリが、はっきりしていれば、
後悔はしないと思うけどね。

11月8日

父が、朝からいもじのおじいさんの八十八のお祝いに出かけて行った。

兄は、学校へ野球をしに行き、私は一日中何か食べていたので、お腹がいつも張っていて、苦しかった。一日そうしていたら、少し太ったような気がしてならない。では、食べ物を合計してみようか、反省のために‥‥。

まず、朝飯にとろろ飯二杯、味噌汁一杯、つけ物。朝飯から昼飯にかけて間食に、文化豆13個、食パン二枚、

昼飯にいためご飯二杯、おかず、漬物。昼食と夕食の間の間食にりんご一個、サツマイモ一個、三十円の豆菓子一袋。

夕食にごはん山盛り一杯、”じゃがいも、コンニャク、だいこん、あぶら揚げ”のおかずを、たくさん。つけもの、父のおみやげのフライ一つ、水ようかん少々なり。

偉大なお腹だと、笑いたもうな。なぜか、今苦しくて仕事が出来ぬ。今週は、胃拡張を直すのに全力をそそぐ予定である。

さて、一日の終わりは何と早く来るのであろうか。さむいさむいと炬燵にかじり込んだり、お腹がパンクするほど食べたおかげで、勉強は上がったり。

全く、お母上に申し訳がない。

父が、六時半に帰宅し、八十八のめでたいおもちは、近所にわけた。父は、母の作った綿入れをお祝いに持って行った。

大へん、喜ばれたとのこと。私も、母のように裁縫が出来るようになると、どんなにすばらしいだろうと、つくづく思った。だって、人に温かい贈り物が出来るんだもの。

父音治郎はなんて若いんだろう。顔もつやつやしているし、何を食べているのか、これも八十八行くぞと、言われたそうだ。だかから、父はニコニコと大変うるわしき機嫌だ。

私が、もらった饅頭をたべよ?と言ったら、兄が「そら、何でも食べるで尻がいこうなるの」と、言う。

気にすること言うなってことよ。


11月9日

4時間目の家庭の時間に、調理室を整頓した後紅茶を飲んだ。生まれて初めて飲んだのだが、わりと、おいしいものだねと、思った。五、六時間目は、中学校男子のバレーボールを見ていた。

朝、伸ちゃんと郵便局へ寄ったり、本屋さんに寄ったりして、遠まわりして学校に行ったら、遅刻してしまった。遅刻した時、先生は大変厳しいのでびくびくしていた。これで、遅刻三回したかな‥‥‥。

今日は、秋代ちゃんはバレーの試合で大分活躍したらしい。サーブで大分点数をとったそうである。

中一コースを買ってきてあげた。秋代に!

雨が降っているので、秋代と父を迎えに行った。


11月12日

いつもの通りに、朝ギリギリに走って駅に向かい、滑り込みで電車に乗った。西田中で降りた後、すぐ母のネットを買い、呉服店でズロースを買った。

私が、「わーっ、大きいの」と言ったら、店の人は「これで、大きくない」と言うので、これを買った。定価は130円だったのに、私は勘違いして120円しか出さなかった。だのに、シールのかわりと言って、10円まけてくれたので20円もとくをしたことになった。

学校に着いたら、伸ちゃんが「芳美ちゃん、遅刻するんかと思ったや」と言った。なんで遅くなったんかしつこく聞くので、電車に乗り遅れてバイクの後ろに乗せてもらって来たと、誤魔化しておいた。

まさか、パンツ買いに行ったなんて、言えないから………。

ああ、三時間目に何と嫌な事があったことだろう。

これもみんな、私がいけなかったことだけど、宿題がまたしてなくて五点を減点された。普通のテストが悪いのに、そんなことでは到底いけないと思う。今日の宿題こそ、して行こうと思う。

地学の時間、望遠鏡で太陽を見、金づちを持って石をこずいて歩いた。ずい分楽しい時をすごした。

家には、たくさんのおはぎが待っていた。みんなよその家からもらったものだ。

今、八時三十分、今から真面目に勉強しようと思っている。

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