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花村えい子展で知る、花村ワールドの魅力

ご覧いただきありがとうございます。
名作「霧のなかの少女」に誘われて、漫画家・花村えい子さんの展覧会に行ってきました。花村ワールドにすっかり魅せられて心も瞳もキラッキラになれたような気がします。




閉館30分前に滑り込み!

 花村えい子展の会場は、やなせたかし記念館の斜め後ろにある、詩とメルヘン絵本館に向かう。時刻は閉館30分前。

 高校生くらいの娘さんを連れた50代くらいのご夫婦と40代くらいの女性と一緒に滑り込んだ。この方たちは花村さんのファンなのだろうか?思い出話があれば聞いてみたい。

 展示はかなりコンパクトにまとまっていた。よかった。これならすべて観られる。ずらりと並ぶ原画はWeb上で見るよりずっと色鮮やかで可愛い。本当に生き生きと輝いて見える。

花村えい子の赤


 花村さんの特徴のひとつに、赤色があるという。通称「花村えい子の赤」。印刷に使える色が白・黒・赤の3色に限定されていた時代、彼女は赤色にある工夫を施した。それは他の漫画家から印刷所に「ここは花村さんと同じ赤色にしてね」と指定が入るほど魅力的な色だったという。

キラキラしたいの

 花村さんのヒロイン達がみんな生き生きしているのは、あの瞳のきらめきに秘密があるんじゃないだろうか。

 どうにかしてあの瞳のキラキラ、私の目にも移植できないものか。理不尽なときも不条理なときも、どんな状況でも彼女たちのようにキラキラ輝く瞳で応じられたらいいのに。

セリフのチカラ


 作品紹介コーナーでは、各作品の名場面を巨大パネルで楽しめる。花村さんがキャラクターに語らせるセリフもすごい。

 詩のように繊細で美しく、哲学のように重くて力強い。ドシンと心にぶつかって、感情を揺さぶられ、声に出して読みたくなるセリフたち。どうしたらこんな言葉を紡げるようになるのだろう。漫画の命は画だけれど、もしなんらかの事情で画が消えてしまっても花村作品はセリフだけで物語が成立しそうだ。

 おそらく花村さんは、たくさん本を読む人だったのではないだろうか。芸術や歴史、日常生活のいろんなものから物語の要素を吸収して、心を揺さぶりながら大人になった人でははないだろうか。そうでないと人の心を揺さぶる作品をあんなにいくつも描けないと思う。


憧れの「霧のなかの少女」を読んでみる


 会場内では「霧のなかの少女」の復刻版が自由に読めるようになっていた。ありがたい。椅子に腰かけてページをめくる。

 想像していた以上にドキドキハラハラの展開に心がギューッと締め付けられる。これが昭和の少女漫画...。思い知りました。

 限られた時間でドタバタと読むのはもったいない作品だ。地元のケーキ屋さんで茶菓子を用意して、紅茶を淹れて、心を落ち着けてじっくり味わいたい。重くて、深くて、面白い作品だった。

 最後にもう一つ「私の八月十五日」を読んで、私の花村えい子展は終わった。これもすばらしくいい本だった。できることなら、設置された作品をすべて読みたかった。


さいごに

 花村さんの展示を見て、心を揺さぶられるのっていいもんだなと思いました。健康のために運動するように、きっと心にも運動が必要で、だからこそ「心を揺さぶられる」感覚を求めて本を読んだり映画を見に行くのでしょう。揺さぶられた心が行動につながるはずなので、なにで心を揺さぶるか、揺さぶられた後どうするかが大切になります。
 その点について花村さんの作品は、当時の読者をだいぶ背伸びさせる内容だったかもしれません。大人になってからじわじわ効いてきて、人生のここぞというときに役に立ったのではないかなと期待しています。
 丁寧に誠実に漫画に向き合い、たくさんの世界を作り出した花村さんをみて、世界は作っていいし、心は揺さぶってもいいし揺さぶられてもいいと言われた気がしました。私もここnoteで、揺さぶり揺さぶられる人になりたいです。


最後までお読みいただきありがとうございました。
機会があれば、ぜひ読んでみてください。ゾクゾクワクワクしますよ!


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