その歳出項目は将来世代の利益になるか?
12月22日付の日経新聞に来年度予算案についての記事がありました。歳出と税収の差額が拡大することが報じられています。額の大きさに目がいきがちですが、自戒を込めて、一つの歳出項目の捉え方について書き留めておきたいと思います。
そもそも、歳出項目に含まれる施策を実施するには資金が必要です。それを調達する方法は大きく分けて2つあります。一つは、いま生きている人々から租税として徴収する方法です。もう一つは国債を発行し、一旦いま生きている人々には負担を求めずに調達する方法です。その代わり、発行された国債は将来世代の納税か更なる国債発行によって返済されます。
後者の国債発行で調達したお金によって、ある経済政策が実施されたとします。その経済政策による利益が将来世代の人々に及ぶならば、その財源調達手段としての国債発行は理解を得られるでしょう。しかし、将来世代にとって何の利益にもならない政策の場合、彼らはただ負担を強いられるだけになります。
例を挙げて考えてみます。
交通インフラの建設
例えば、東海道新幹線は1964年に開通し、現在もなお私たちにとって有力な交通手段であり続けています。このことから新幹線の建設は将来世代にも利益が及ぶ政策と言えるでしょう。
家計への給付金
例えば、1999年に15歳未満の子どもや住民税が非課税かつ65歳以上の高齢者などに、地域振興券が配られました。地域振興券が使用できる期間は、地方公共団体が券を配布した日から半年に限られたと記憶しています。家計の可処分所得を底上げはすると思いますが、将来世代にまでその利益が及ぶとは考えづらいでしょう。
記事中には今回の予算案で注目に値する支出項目が抜粋されています。それぞれについて、その施策による利益が将来世代に及ぶか否か、そして及ぶとするならば将来世代が納得するような説明ができるかを考えなければいけないと思います。