The Courier / クーリエ 最高機密の運び屋
『イミテーション・ゲーム』を思い出させる、カンバーバッチ氏の素晴らしい演技と、実話に基づいた切ないストーリー展開に、最後は鼻水と涙を垂らしていた私。
日本で生活していると忘れてしまいがちだが、多くの人の犠牲の上に、今の平和があるとつくづく思う。今もなお緊迫した状況の国々もあるし、いつになったら地球人は争いを止めるのだろうか。
人間の持つ、温かさと冷酷さ。個々に守りたいと思うものと、大勢の命を秤にかけなければならない状況になったら、自分はどうするだろう。ウィンとペンコフスキーの間に芽生えた友情に心打たれる。
「平凡な人間から世界が変わるのかも」、というセリフで、ホビットシリーズのガンダルフも『大事なのは些細な事。普通の人々の日々の行い。闇を追い払うのは思いやりや愛情である。』ということをガラドリエルに言っていたのを思い出したが、ここでは些細な事ではなくて、震えが止まらなくなったり、恐怖と緊張から吐いてしまったりするレベルの仕事だったのだ。その時代にロンドンでセールスマンをしていたというだけで、いくつかの偶然が重なったにせよ、結果的には壮絶な運命の支配下に落ちるウィン。
最後には実際に本人のインタビューの様子が流れる。
みんなが「日々の行い」に少し意識を向けるだけで、色々なことが変わるだろうな、と思う。