『Supernova / スーパーノヴァ』
(ネタバレ)長年寄り添ってきた作家とピアニストのゲイのカップル、タスカーとサムが迫られる選択。タスカーは認知症と診断された自分の残りの人生を、自らの意思でコントロールできるうちに終えたいとひそかに願っていた。
周囲の温かい愛情に包まれて、二人はどんな決断をしていくのか。
タスカーの意思を知ったサムが取り乱し、衝突が起こるのだけれど、そもそも結婚の誓いの「Yes」は、どんなことがあっても最後まで寄り添うという合意ではなかったのか。いずれどちらかがそういった状態になるかも知れない可能性を、長年の間に二人で話し合ったりしたことがなかったのだろうか、と私は思ってしまった。実際に、このような事態になった場合にもちろん人は、色々思い悩むのだとしても。
作家とピアニストとしてのこれまでの経緯の描写があまりにも少なかったのがちょっと残念だった。制作側は不要な飾りを極力減らし、観る人のことを信頼して多くを預けているのかも知れない。
英国湖水地方の風景や、家や調度品がとても美しくて私好みだったため、それを観るだけでも価値ある作品だ。名優たちの演技も素晴らしい。