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Les Misérables レ・ミゼラブル

ミュージカルはあまり好きではない私が、観てしまった。そして感動してしまった。この一本は原作とは多少違った色付けがしてあるそうだが、2時間そこそこの映画に仕上げて観た者の心に残るようまとめるには仕方ないのかも知れない。

やはりヒュー・ジャックマンはすごい。歌っても素晴らしいし、Wolverineのような役も演じられる。氏は西オーストラリア、パースにあるエディス・コーワン大学で演劇を学んでおり、1994年に卒業とある。なんと!私も1993年にパースに住んでいた身である。ニアミスだ(笑)。どこかですれ違っていたかも知れぬ。そんなことはどうでもいいけれど、やはりミュージカル映画ということで、当たり前だが歌える役者さんが選んである。警官ジャベール役はもともとはポール・ベタニー(アイアンマンのJ.A.R.V.I.S.つまりアベンジャーズのヴィジョン役)が候補に挙がっていたそうだが、なぜラッセル・クロウになったのだろうか。他のキャストも濃かった。そして誰でも経験したことのある、切ない感情やみじめな想いが、観るものの心をつかむ。

この作品に感情移入してしまったのは、ヒプノで何度も体感した同じ人生がこの時代のフランス人だったということもある。変な表現だけれど、私はあの石畳の砂埃の匂いとか湿った感じとかを・・・覚えているのだ。それとも私は何度も集合無意識から同じ記憶だけを引っぱってくるのだろうか。私がパリが大好きな理由は、モードの先端だとか、きらびやかな感じなどとは全く関係なく、あの建物や石畳から感じる故郷感、そして人間なのだった。

感動した、それでも、ミュージカルを冷めた目で見てしまう自分がいるのは否めない。きっと歌で感情をひたすら表現し続けるという、現実離れしたところが、「所詮作り事」という視点を私に持たせてしまうからだと思う。感情を音楽にすることは素敵だし、役者大好き、映画大好き、なんだけど、そこだけは馴染まない。

パリ在住の友達が言っていた。「フランス人は、あそこまでして得た自由と民主主義をそう簡単には手放さない」と。


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