パリでのエピソード
先日パリの写真を久し振りに見ていて、思い出したことがあったから記録。
今まですっかり忘れていた!私が初めてパリを訪ねたのは、25歳くらい?ドイツにはまだ住んでいなかったから、イギリスからバックパックを背負って欧州一人旅した時だった。今思えばかなり無鉄砲(汗)。ユースホステルの部屋は当たり前のように男女混合だったし、真夏のパリの暑さも半端じゃない。歩き疲れた私は、見ず知らずの男性が同じ二段ベッドで寝ているところで、自分もガーガー昼寝した。きっとその青年も疲れていたに違いないし、もちろん何も起こっていない。若かったなぁ。赤いカーテンだったから、部屋の暑さが倍に感じられた。冷房はもちろんない。あのホステルの住所はどこだったか・・・もう覚えていない。同じようにバックパックを背負った若者同士で、友達になることはよくあるけれど、その青年とは会話しなかった。
初めてのパリ、だからお決まりで、ルーブル美術館にも入った。モナリザがあまりに小さかった記憶がある。その前にごった返すツーリスト。なんだかバカバカしく思えてすぐその場を離れた。
もうこの先、またバックパッカーになる予定はないけれど(たぶん・・・)、訪ねた国と経路をマーカーで記した当時の地図は、今でも私の宝物。
2回目のパリはメトロにこんな広告があった時 ↑
同じ欧州在住の女友達と、街の真ん中の、安くてちょっと可愛い内装のホテルで合流した。
二人で街の散策中、メトロに降りてエスカレーターに乗っていると、逆方向から来るエスカレーターに乗っている男性がじーっとこちらを見ている。目つきは、鋭い。でも方向が違うからそれっきりになるはずだった。そして我々の乗りたい電車のホームに着いて地下鉄を待っていると、先ほど目が合った男性が同じホームにいる。私は え?? と不審に思って一緒にいた友人に「さっき別方向に行ったはずの人が、横にいる。変だから、電車が来たら走って別の車両に乗ろう。」と提案した。彼女も頷いて、電車に乗る直前に全速力でその男性のいない方向に走ってなるべく遠い車両に乗り込んだ。電車はかなり混んでいた。そいつ(呼び方変わる)が追いかけてきて乗っていないことを祈り、固まっていた。電車が発車すると、その男性は乗車しておらずホームで「ちくしょう!」という目をして我々の乗った車両が通り過ぎるのを見ていた。そしてしっかり私とまた目が合った。
あの長いエスカレーターから降りてわざわざ後をつけてくる奴がいるとは。日本人を狙うスリだったのかなと思う。でも私に気付かれるくらいだから、プロじゃないね。
パリのメトロは大きいし深いし、慣れないツーリストには危険もある(ロンドンのアンダーグラウンドもしかり・・・)。その経験のあとは、またパリに行きたいとはしばらく思えなかった。今でもちょっとトラウマになっていて、パリのメトロはできれば避けたい。
・・・のに、ドイツ生活である程度免疫がついた私は、いつの間にかパリ大好き人間になっていて、ドイツからひとりで何度もパリにふらっと出かけるまでになった。ある時は、子供が修学旅行で数日いないということで、直前に思い立って休みを取り、誰にも言わずにパリに飛んで好きなだけリラックスして帰ってきたこともあった。もちろん、ドイツであろうがフランスであろうが、ある種の緊張感とアンテナを張っていて、「安全圏」の日本にいるような力の抜き方は、絶対にしない。
とにもかくにも、日本は驚くほど安全な国なのだ。口の開きっぱなしのトートバッグで電車に乗っても平気なのだから。