『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』
フィンランド映画。年老いた美術商オラヴィの人生最後の賭け。最初はおじいちゃん、頑張って!と少し感情移入して思っていたけれど、疎遠になっていた娘にお金の工面の相談をしたシーンで、彼女は別れた夫の借金の返済までしていると言っているのに、「ではいくらなら貸してくれるのだ?」と言った時点で、あちゃ~、こりぁ、あかん奴や!となって冷めてしまった。おじいちゃん、ダメンズ露呈。
でもそもそも、程度の差はあれ男ってみんなそうなんだな、と受け入れる私(ステレオタイプ化するつもりは全くない)。シングルマザーで必死に働いて子育てしている娘の視点からなら、あり得ないダメ父だけれど、名声を得たい、一旗挙げたい、できる奴だと言われたい、信頼されたい・・・などの承認欲求の全くない男性には会ったことがないし、理に適っているかどうかは関係ないのだ。女性にだって承認欲求はある。先日友人とも同じテーマの話になった。ジェンダーに関する不要な価値観からはどんどん解放されるべきだけれど、宇宙がオトコとオンナを創造したのにも、何かの意味があるのだろう。
話がとっても遠くに飛んだ。そんなことより他に味わうことのある作品だ。ヘルシンキの街並みや、老舗カフェの様子、家族の在り方。悲しい終わり方ではあったけれど、ハッピーエンドな部分もあり、これも肖像画ジーザス様のお計らいだったのかも知れない。孫のオットーは立派な若者に成長していることだろう。