#2:男子大学生がセクハラ?される話


セクハラとは無縁の人生だと思っていた。

#2からこんな物騒な見出しをつけることになるとは思わなかった。
あなたは、"セクハラ"という言葉にどのようなイメージがあるだろうか。
少し前の私はこう思っていた。

「セクハラは、加害者側にならないように自分の言動に気を付けておけば問題ない。男同士の場でも下ネタが苦手なくらいだし、私にはあまり関係ないだろう。」

こう書くと”やっちまったのか”と思うかもしれないが、安心してほしい。今回、私は加害者側ではない(少なくとも今は)。

私の容姿について

#1で取り上げたように、平凡な人生・平均的な人生を送ってきた私にとって、容姿の自己肯定感は、そこらへんの小学1年生に踏まれてしまいそうなくらい、脆くて小さいものだ。

幼少期から彼女という存在には縁がなく、「クリスマスに一人で”君の名は”を見に行く」といったしょうもない武勇伝を作ってくるくらいには、非リア(死語)だった。
大学生になって、「このままでは後悔する」という強い恐れから、自分から2回も告白した!!!これだけは誇れることかもしれない。
 
結果?

一人は対面での告白から一度も会わずに3日でフラれた。
次の人には、1か月でフラれた。

今でも宴会のタネなる酒のつまみにはなったが…
次の彼女とは何か月続くだろうか、等差数列か等比数列でだいぶ違いそうだが、少しずつ進歩はしていると考えよう。

まあそんなところで、容姿は下の上あたりではなかろうか。少なくとも誇れるものではない。
そんなこともあって、セクハラと、特に、セクハラの被害者側には、無縁であると、そう信じ切っていた。

これはセクハラか?

正直、ここまで”セクハラ”、”被害者”と重ねておいて難だが、これがセクハラに当たるかは怪しいラインだと思う。

アルバイトに入って1ヶ月くらいで、その人からLINEが届くようになった。
最初は、「少し話してみたい~」といった調子だったので、なにも気にせず話していた。40人くらいいるので、いちいち新人に声かけてるのか?とか思いながらも、普通の会話をしていた。

そのうち、「〇〇が似合いそう!」「かっこいいと思う!」「男らしいと思う!」といったように言われるようになった。
「珍しい物好きだな~」くらいに思っていた。別に悪いことを言っているわけじゃないし、それ以上でもそれ以下でもない。

しかし、そのうちこういう噂も届いた。
「〇〇さん(相手)が君のことかっこいいって言ってたよ!」
ここまでくると少し迷惑な気持ちになる。
私がイケメンならともかく、下の上を広めないでくれ。
これもギリギリ迷惑だけど、注意するのもお門違いだから、放っている。

このあたりで、相手のあることに気づいた。

夫がいて、子供もいるらしい。

ええ… 

飲みの誘い

それからしばらくして、急にLINEが来た。

「明日の夜、暇になったんだけど、飲みに行かない!?」

いやいやいや…笑
まだバイトでも2回くらいしかあったことがないのに。
"下の上"にはありえないチャンスなので、普通なら飛んでいくだろうが、あなたは夫子持ちである。
不倫の片棒を担ぐような真似はしたくないし、そもそも大学生に手を出すような軽い人間と懇意にしたいとも思わない。

ひとまず予定があると断っているが、この調子だと架空の予定が足りなさそうだ。
架空の彼女ができるか、辞めるか、ブロックでもして何とかする予定だ。

こんな思いだったのか。

正直、自分がハラスメントの被害者側になると思わなかった。これは一応セクハラの方に該当するっぽいが、サイトによってはパワハラの方にも当てはまるらしい。

はっきりいって、怖い。

別に、直接身の危険があるわけでもないし、今は飲みに誘われたくらいだ。でも少し、私生活が怖いなと感じる部分がある。

同じ男諸君はわかってくれるんじゃないか?
大抵のイケメンじゃない側の人間は、セクハラされるなんて思ってもないだろう。
そして、
「セクハラなんて大したことないだろう」とか、
「断ればいい」とか、
「受け取り手の問題だ」とか、思っているんじゃあないか?

昔、アルバイトで予備校のチューターをやっていたことがある。
担当生徒に、ストーカー被害の経験があり、夜遅くまでいられないという子がいた。
もちろんそのときは、真摯な対応をした。あざ笑ったりはしていない。

しかし、それでも、その怖さに共感できていなかったし、わからなかった。

こんな気持ちなのか。
少なくとも、今まで自分は過小評価していたようだ。

感じたこと。

ブルゾンちえみを信じて、35億人の中に、私のことを好きになってくれるような人が、一人はいるんじゃないだろうかと思っていた。

しかし、それが夫子持ちだとは、誰が思っただろうか。

中学生のころに、「女の子ならだれでもいいのに!!」とか言っていたバカを、タイムマシンでぶん殴ってやりたい。

そして、「夫子」という言葉が必要だ。
妻子は読めるのに、夫子が読めない。
こういうときに適切な言葉が無いようだ。
まあここらへんはフェミニスト(最近多い貶めるような使い方としてではなく、純粋に)の方々になんとか頑張っていただこう。

痴漢される男性がいるという話もあるが、社会もそうした被害を、うまく受け止める必要があるのではないだろうか。
男だから我慢しろとか、男には少ないとか、そういうことじゃない。

また、妻子持ちの社会人男性は、女子大生に手を出さないように。
こう書くと、男女逆転しただけでそうとう大事に見えるが…
こういったところを見ると、制度ではなく、意識の中の男女平等はしばらく遠いようだ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?