#4:現代人は天動説を笑うが、天動説者よりも科学を知らないとしか思えない

TwitterのようなSNSが狭いインターネットコミュニティから大衆に向けになり、
所謂”陰謀論者”と呼ばれるような人たちがより気軽に見ることができるようになった。
特に、コロナショック以後の陰謀論の拡大感はとてつもないものがある。

拡大”感”と表現したのは、この拡大があくまで私の個人的な感覚によるもので、それが科学的な・計数的な把握ができていないからである。
(こう考えてみると、「陰謀論者が増えた!」と言うこと、それ自体についても、陰謀論的であるというループにハマっているような気がするが、そこは今回は置いておこう。)

特に陰謀論者と同列に語られるものの中に、”反ワク”と呼ばれるような界隈がある。
こういった反ワクの主張の内容について、議論したいわけではない。

少なくとも、そのアプローチについて、科学的要件を満たしているべきではないかという話しだ。

陰謀論はバカにできない

正直、生きていくのにも苦労する世の中で、何かしらを政府の裏の巨大な力のせいにしたり、秘密結社のせいにしたりすることは、構わないと思う。
それが荒唐無稽であろうと、人々は簡単に笑うべきではない。
人の信条は、簡単に否定されるべきではないからだ。
この、人の信条といった月並みな言葉以上に、私は本気で陰謀論のことを悪いと思っていない。

だってよくよく考えてみれば、「何十億年後に仏様が助けてくれる」といったような宗教の主張も、ある意味で、陰謀論者的な側面があるととらえることができるのではないだろうか。

この宗教と陰謀論を分け隔てるものが何かといわれたら、私は答えに窮する。


科学的アプローチ

だかしかし、こと科学については、科学的なルールに基づいて考えられるべきだ。
科学は、人の信条を超えて、巨大な利害を生み出し、社会に大きな影響を与える。

反ワクの方々が、しばしば、ただのTwitterの投稿を”論文”と評したり、権威の無い謎のジャーナルを引用したりすることは、科学のアプローチに則っているとはいいがたい。

もし、ワクチンが悪というなら、あるいはそのほかの現代医療や現代技術になにか悪いものがあるというなら、しっかりと論文を作成し、学術的に認められるべきだ。
それはまさしく、21世紀のコペルニクスである。

彼があまりにも巨大な宗教の壁を越えて、地動説という答えにたどり着いたことは、科学の力をありありと示している。

正しい理論は、時間はかかるかもしれないが、間違いなく正しい社会へと導くのではないだろうか。

これは、反ワクの人たちを貶めたり、戒めたりするのではなく、
”本気で”、ワクチンが悪であるということを証明してほしい。
とそう思っている。
(別にワクチン賛成派だって、痛くないのに越したことはないのだし…)

その証明が、もし科学的でないのであれば、それは永遠に受け入れられない。

現代人は地動説に気づけるか。

今の人間は、もちろん素晴らしい技術を持っている。先日のノーベル物理学賞はニューラルネットワークは、その代表例となるだろう。
こんな人間に近いコンピュータ技術が生まれるとは、16世紀の人間には想像できなかっただろう。

しかし、これは、16世紀、いやそれ以前の人類史の積み重ねでしかない。

現代の日本人が、教科書なしで16世紀に戻ったら、地動説に気づけるだろうか。
現代の日本人は、科学技術に対する意欲・知識を失ってしまったのではないだろうか。

少なくとも私は、「大部分の日本人から、”科学的アプローチ”に関する思考力は無くなってしまった」と思う。
誰もAIの技術の裏で何が動いているかを考えていないし、ノーベル物理学賞で情報科学が取り上げられたという、それほどありえないレベルの技術を、日本人は理解できたのだろうか。
普段の生活でも、科学的な論理思考に基づいた考え方をしている人は少ない。

いつか、自身でメディアを立ち上げ、科学人に向けた真の公平公正なメディアというものを作ってみたいが、
それができた暁には、”あれは宗教だ。”といわれることだろう。

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