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22『投資ロマンス詐欺』に引っかかり、約500万借金した四十路の末路@現在進行形-カード会社からの無情な通告、法テラスの予約を取るまで-

 (承前)
 まさか弁護士事務所にまで心配されるとは、正直なところ、予測していなかった。こちらからお断りすることは何度も頭の中でシミュレーションしていたが、断られることは、実はぼくの頭の中にはない流れであった。

 ちなみに電話をしていた場所は、動物に気を遣い、いつものトイレである。
 トイレで茫然自失のぼく、はたから見たら不気味なんだろうな。

 もうこうなれば、次に進むしかない。
 しかしこのとき、まだカード会社二社から、支払いを止める抗告文書に関する返事は来ていなかった。

 ぼくの抗告が受け容れられる可能性は、おそらく低い。
 皆無かもしれない。
 しかし認められれば、二社200万の減額に成功するわけである。
 認められる、認められないでは、ぼくのその後の人生が変わるといっても過言ではないだろう。

 ……そういうわけで、ぼくはこの二社からの返事を待ってから動こうと決めた。
 不確定要素が多い中、相談に行ったとしても、そのあと事態が進展したとすれば、限られた相談回数を一気に消費してしまう。それは避けたい。

 そして実際のところ、うつ持ち休職中のぼくには、この数週間にわたる出来事があまりにも重すぎたし、ハードであった。
 だから休みたいというのも本音としてはあった。急がねばならないのは事実だが、被害届も現状としては出せておらず、お金も回収が難しいとなると、もういまさらジタバタしても変わらないと考えたのも事実だった。

 ジタバタして500万が消えるなら、いくらでもジタバタするよ。息切れするまでジタバタする。しかし500万が消えないのであれば、もう一緒じゃんと、半ば投げやりな境地に到達していた。

 故に、カード会社から連絡があるまで四日くらいだろうか。
 この週は祝日も挟んでいたので、そのくらい、もうほとんど何もせずに過ごしていた。寝るか、食べるか、排泄するか、動物の相手をするか……。もはや廃人生活だった。セルフネグレクトなら任せてくれ。このうつ病期間中に痛感していることのひとつである。

 しかし週末が近づくと、さすがに二週間、法テラスに電話するのが延びるのはまずいのではないかと、不意に不安に苛まれるようになった。予約の電話はいつでもできるが、それがそのまま予約が取れるとは限らないからだ。

 セルフネグレクトをしつつ、小心者のぼく。結局、カード会社からの連絡待ちは今週いっぱいと決めることにした。

 そして木曜日。カード会社Bから電話があった。
 確かここについてはどこかの回で書いたような気がするので、詳細は割愛するが、告げられたのは以下の通りだった。

1️⃣海外の会社と売買契約を締結したのはお客様(🟰ぼく)だから、その段階で支払いは完了していること。

2️⃣暗号資産の購入は、クレジットカードの現金化と同等の意味があり、規約違反をしていること。

3️⃣詐欺にあっているかどうかは弊社では判断ができないため、こちらとしてはできることが何もないこと。

 対応が良かったところだけに、告げられた無情な事実は、呆然とさせるには十分すぎるくらいに破壊力に溢れていた。一発、強烈なパンチを喰らったような気分だ。

 しかし暗号資産購入が、クレジットカードの現金化に相当する行為というのは、ぼくは知らなかった。ほんとうに。質入れとか、買ったものを売って現金化はダメだと知っていたけど。

 これを読んでいる皆さんはどうなんでしょう?
 ……あ、ご存知……。
 知らぬ存ぜぬはこれを書いている世間知らずのバカ一名のみですか。 
 そうですか、そうですか……。

 もともと対応が良かったB社でこの返答だった。
 ということは、まだ返事が来ないA社もおそらくそうなのだろう。
 もしかしたら、A社は「あなた規約違反しましたね。だから知りません」とか言われてしまいそうな勢い。……もう怖くて、電話なんか出られない。

 正直、ほんとうに人生詰みが確定した。
 よって、ぼくは法テラスに電話をすることにした。

 その前にホームページを見ていたが、法テラス、いくつか電話すると場所があるようだ。ホームページからだとたしか050で始まる番号が記載されていたが、消費者センターでいただいた書類の番号とは違う。
 そしてホームページでは土曜の相談はしていないような記載があった記憶がある。しかし消費者センターからいただいた書類には土曜日対応可とある。

 どちらを信じていいか、いざこの段になって逡巡したが、ぼくは消費者センターの書類を信じることにした。

 トイレに引きこもり電話をすると、親切そうな男性が対応してくれた。
 聞かれたことは、所得、貯蓄額、現状である。
 法テラスは一定の所得要件と貯蓄額(180万)を超えると受付不可である。ぼくは家を買ったとこで貯金はそこまでなく、また休職中のため、受け容れてもらえた。

 そして翌週の火曜日にひと枠だけ空いているから、そこで予約をしましょうかと尋ねられ、そこで相談に伺うことになった。

 また同じ話をしないといけないのだろうか。
 傷口を疼かせながら、セルフネグレクトしつつ、ぼくは火曜まで待つことになった。

 余談だが、休職してから一時は10kg痩せて、その後、20kg太って、人生初の70kgに突入した。

 ほんとうにろくなことのない我が人生。
 ほんとうに生きているだけで丸儲けなのかしら?
 結局、買った家を手放さないといけないのか。
 奨学金はどうなるのか。

 そんなこと、詐欺師には関係ないんだろうね。

 以下、生きていたら続きます。

 


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