アスリートが怪我をした場合の食事を考える① エネルギーと食事計画
こんにちは、管理栄養士の月岡美由紀です。
日々、目標に向かって努力してきたアスリートが怪我をしてしまうのを目にすると、目を覆いたくなるような、やるせない気持ちになります。
アスリートと怪我が切っても切れない関係にある以上、スポーツ栄養の分野でも、アスリートが怪我をしてしまった場合にどんな栄養サポートができるのかというのは、重要なテーマの一つです。
怪我で入院した選手が、入院中に〇〇kgも体重が落ちた…といった情報を目にすると、その分の筋肉を取り戻すにはどれだけの努力が必要だろうと思うと同時に、これほど体重が落ちてしまうのはどうしてだったのだろうか、アスリートの競技復帰を目指した栄養管理として、もっとできることはなかったのだろうかという疑問が沸きます。
疑問は持ちつつも、「怪我をした場合は、活動量が落ちるので体脂肪が増えないように栄養量を制限する」という”定説”以上の情報が得られないまま過ごしていた私にとって、国際陸上競技連盟(International Association of Athletic Federation, 現在はWorld Athleticsへ名称変更)の栄養に関する声明(*1)の一部として発表された、陸上競技選手における怪我の予防と治療のための栄養に関するレビュー文献(*2)の、
It is... crucial that athletes do not reduce nutrition, that is, under fuel at the recovery stage through being too focused upon not gaining body fat; (意訳: アスリートが栄養摂取を減らさないこと、つまり体脂肪を増やさないことに集中しすぎて回復期に低エネルギー状態にならないようにすることが重要である)
という言葉はとても新鮮で、考えさせられるものでした。
今回の記事では、そのレビュー文献を中心に、アスリートは怪我をしてしまった場合の栄養管理において、
1.やっぱり、エネルギーは大事
2.炭水化物はどれくらい必要か?
3.たんぱく質の摂取を計画する
という3点について紹介します。
ここでは、自宅での栄養管理よりも制限要因の多いと考えられる、入院時の場合を中心に検討してみます。
次回の記事では、怪我をした場合のサプリメント使用について紹介する予定です。
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