腸脛靭帯っていつ働いて、何に役立つのか?
こんにちは。ライターの冨山です!
前々回のコラムでは腸脛靭帯(Iiotibial band:ITB)の基礎知識となる組成について解説し、前回は起始・停止を含めた解剖学についてまとめました。まだまだ基礎知識の内容で申し訳ございません。
今回は今までの内容を基に、では実際にITBにはどういった役割があり、何に役立ち、それはいつ働いているのか?について詳しく説明させていただきます。運動学的な観点からITBという組織をみてみます。
【受動的な支持組織としてのITB】
初回のコラムで、ITBは腱膜様組織であるという事を説明しました。腱膜に似た組織というのはその組成だけでなく、特性も関係してきます。アキレス腱などは自ら収縮する働きは有していませんが、伸ばされた状態から縮む能力(弾性)を有しています。この弾性機能はITBも有しており、そのため関節運動の制動の働きを持つことになります。 ITBは股関節や膝関節の安定機構として働くと言われており、その走行から、①股関節の内転・膝関節の内反に抗する1)、②立位で股関節の伸展を保持する2)、③膝関節の外側の安定性を保持する3)、④膝伸展時に膝関節外旋を補助する4)などが報告されています。 股関節の動きを制動する組織は腸骨大腿靭帯や恥骨大腿靭帯などがあり、膝関節の動きを制動する組織は前十字靭帯などがあります。これらの組織は大きな関節の近くに付着し、単関節を制動しています。一方、ITBは腸骨稜から脛骨前外側のガーディ結節まで走行しているため、股関節と膝関節という二関節を跨いでいます。このITBの特性がその働きにどのように影響するのでしょうか?
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