04.分かることに意味がない・・・ある?
分かる、というときにものすごくよく目にするのは、「納得したいから」という理由です。
「納得したい」という理由の後ろには、
があって、そういう不安があるので「情報を蓄積しなければダメな気がする」という理由もあったりします。
「納得したい」は深みを分かりたい。
「情報を蓄積したい」は広がりを分かりたい、ということです。
人には知識欲があるから、どちらも全然悪いことではないのだけど、
出所が不安というネガティブ感情の解消から出ているので
よく突き詰めてみるとなんだか感じ悪いのです。
納得したいときは「理由や根拠を説明して」という感じで相手にプレッシャーをかけたり、時間を取ったりするし
それは「あなたの納得したい欲求を満たすために、努力するのですか?」ということでちょっと感じ悪いですね。
特に相手に言語化できる力が弱いとか、直感的に分かっているので
うまく説明できないとき
攻撃された感覚を持つということがよくあります。
ちょっと救われないのは、
そうやって「納得したい」不安欲求を正当化できる場面で、
そういう人同士が仲良く納得しあいたい依存関係に陥っているときや(周囲からはいい関係に見える)、
自分が納得できたことをセミナーやコラムなどで証明して満足を得ようとするときです。
実に人畜有害だと僕は思います。
そういった情報や知識があるということは、つまり、
不安を解決する動機ではあったとしても「分かった」ということ自体は
人に影響を与える武器になります。
武器と人格はいつも一致せず、
と思います。
「情報を蓄積したい」というのは、広がり的分かるのことで、
たとえば毎日新聞や雑誌をくまなく読んで時事に精通しているとか
専門分野の情報を限りなく勉強して、知識が整理されてストックしまくっているとか
そしてその情報の蓄積は、
ことがよくあるわけです。
分かったことを広いまま使おうとすると、飲み屋などで雑学や政治に対して思うところある!的トークができ、
分かったことを集めてひとつの課題に集中すると、「どうやー!」と使うことができます。
どちらもアウトプットなんだけど、どちらも自分を守るためのアウトプットです。
「新聞も読んでいないの?」とか「そんなことも知らないの?」を効果的に避けることができるようになります。
情報蓄積タイプの「分かる」が発動するときの特徴として、
身の丈にあっていない話題が前面にむくむく出てくるということがよくあります。
雑学や政治は、ただ知っているだけで自分とは何の関係もないし、
自己証明は知識の自己証明であって、だから何をしたわけでもない。
単純に
しているだけです。
分かったこと乱用事件は、小難しい話を抜きにしてもよく起こっていて、
ここではわかりやすく極端なことを書くけども、
たとえば、前世が分かるとか未来が分かるとか、
分かること自体はすごいことなんだけど、同時にその時点では
前世(つまり何かの理由)がわかろうがわかるまいが、そういうものを持って生きていること自体は変わらないし、
未来が分かっても分からなくても、どの道それが起こるのなら結果は同じです。
というと、気持ちや捉え方が変わるし、それが変わると物事が変わるという考え方があると思います。
僕もそれは賛成。
実際に気持ちや捉え方が変化するといろいろと流れが変わったりします。
ブロック取っただけで売上げが上がるという、関係性がないようなところまで変化があります。
なのだけど、
じゃあ「分かる」をそこで、その人に(または自分に)、使っていいのか?というと別問題です。
分かりたい欲求を満たすことで変わった気持ちや捉え方は、
というところには決して目を向けさせないし、
結局は不安の解消や、安心するために・・・・
気持ちを切り替え、楽になりたいだけの話だったりするわけです。
気持ちや捉え方は、変化させないままの方が良い・・・ということもあるということで、
分かる人に共通しているのは、
ということが分からないことです。
これが分かることの弊害かな。
分かっている人は、分かったことを軸にして物事を進めます。
だから、自分が分かっていないことに目を向けないし、
分かっていないことのほうがはるかに多くて、自分がちっぽけだということをすごい勢いで忘れます。
忘却の力を大発揮します。
分かったところで状態は変わらない。
分かることで、長い目で見ると弊害になることはちゃんとある。
分かることが過信させることも多い。
分かることはすごい力なんだけども、それ自体がうまい成果を生み出すということはなくて
だから限界とか効用とかもきっちりとある・・・ということを心に留めておくことです。
少なくとも、自分の不安の解消や自己証明に使ったり、
真摯さの欠けた使い方は個人的にだけどしてほしくないな、と思うわけです。
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