追伸を付けるとこんな効果が!
実はあらゆる文章の中で、人が最も読み、心に残るのは追伸部分。
定型文のコピペのような業務メールの最後に、「例の件、お疲れ様でした」「折居ってお願いがあるのだけど、お茶でもどう?」といった一文が入っていると、それだけで文章全体に温かみが生じる。
その秘密は、ある効果に隠されている。
唐突だが、ツァイガルニク効果を知っているだろうか?
旧ソ連の心理学者で、人間の記憶に関してある実験を行い、実証したことで歴史に名を残した人物。
何を実証したかと言うと、人間は達した課題よりも、達成されなかったことや中断されていることをよく覚えているという記憶の仕組みだった。
平たくいえば、まだ続きがあることの方が、強く記憶に残るという現象。
中途半端なままにしている仕事や宿題、途中で切り上げて家を出てしまった家事、これから核心へというところで次巻に続いてしまった単行本など、あれやらなきゃといった状態の物事の方が忘れられない。
心理学では、こうした現象、記憶の仕組みをツァイガルニク効果と呼んでいる。
追伸の効能は、これを使っている。
例えば、テレビの連続ドラマの次回予告や、映画の予告編には、1分にも満たない時間の中に登場人物の魅力的なシーンや次なるストーリー展開を感じさせる情報が、ギュッと凝縮されている。
突然予告だけで、ドラマの映画のすべてが分かる訳ではない。
しかし、きちんと作られた予告にはワクワクさせる期待感があり、時には本編よりも印象に強く残ることもある。
私達は未完の断片である予告に触れているからこそ、想像を掻き立てられ、本編そのものの記憶が強化される。
こうした効果を文章術に応用したのが、追伸である。