転職において、学歴は重要なのか
答えは「(新卒・第二新卒採用では)重要」です。確かに、法律によって学歴差別、学校歴差別はできません。しかし、新卒・第二新卒採用では学歴以外に公平に評価できる基準がないため、企業は学歴を重視する傾向にあります。
「おいおい!学歴で人を差別するのか!」といきどおる人もいるでしょう。ですが、書類審査・適性検査・面接(グループ面接・個人面接)くらいしか判断方法がないなか、一番かんたんに新卒・第二新卒を判断する要素は学歴です。(いいか悪いかは別にして)
差別する意図というより、事務的に判断する要素がない、というのが正確でしょう。
新卒採用では学歴が重要
特に20代は人口の約半分が大卒・短大卒です。家庭の事情、美容師になりたいなど専門学校しか選択肢がない状況をのぞけば、大卒の方が優秀であろうというのは想像にかたくありません。
また、国立や早慶上智、MARCH、関関同立は大卒の上位20~30%ほど。日東駒専クラスを含めると、大卒の約50%です。なぜ新卒時に、MARCH以上か未満かで差別が起こるのかがおわかりでしょう。
学歴だけで機械的に書類選考を進められるからです。
「いやいや。日東駒専以下でも優秀な学生はいる」というのは、正しいと思います。しかし、人気企業になると10万人規模の応募があります。(いいか悪いかは別として)学歴で振り分けなければ短期間で選考を進められません。
また、推薦入試よりも一般入試を経た学生の方が優秀、3科目より7科目(8科目)を勉強した学生の方が優秀、と機械的に判断されます。ゆえに国立が新卒採用において最強カードというのは、当然の帰結でしょう。
このように説明すると「学歴がすべて」と思われますが、そうでもありません。新卒採用は学歴がものをいいますが、書類審査・適性検査までです。面接では学歴の優位性は下がります。迷ったときの判断軸くらいです。
なぜなら、三流大学のAさんと、慶應義塾大学のBさんで迷ったとき、Aさんを通してなにか問題があった場合、担当人事は上司からこう言われるからです。「なぜ、Aなんかを通したんだ!」と。
しかし、Bさんを通した場合、上司から詰められても「いや、受け答えもしっかりしていましたし、慶応出身で間違いないと思ったもので」といえば、上司も「確かに。まさか慶応出身で、あれとは思わないな」と納得するからです。(けっして慶応をバカにしているわけではありません。念のため)
ハロー効果にすぎず不条理なのですが、これが現実です。
以上のように、学歴・学校歴は新卒採用では大きな力を持っています。新卒で、学歴を覆すのは大手企業では、ほぼ不可能です。
第二新卒での学歴はケースバイケース
では、中途採用では学歴が重要なのか。第二新卒採用(若手採用)では新卒と同じように重要です。一方、経験者採用ではケースによって異なります。
まず第二新卒採用は基本的に新卒と同じ、と思ったほうがよいでしょう。新卒よりも学歴は求められませんが、多くの大手企業で「大卒以上」が求められます。
特に日系の大手企業は新卒と同じように考えているので、学歴を覆すような実績がないかぎり(営業で言えば、全国No1の売上実績など)、逆転は難しいでしょう。
また「大卒以上」を求められないまでも、「地頭」が求められるケースがほとんどです。
ただ本当に学歴を見ない、というわけではありません。地頭のよい社会人は高学歴であることが多く、「地頭がよい=高学歴で、かつ頭の回転が速い、発想力、応用力がある」と同義です。特に外資系企業に多く見られます。
第二新卒でも学歴を重視しない企業は多くあります。中小企業やベンチャー企業はもちろん、大手企業のなかにも存在します。ただ、求人広告では見分けることは難しく、「大卒以上」くらいでしか判断できません。
中途採用で学歴は関係ない
即戦力の中途採用では、学力はほとんど関係ありません。「ほとんど」とただし書きをしたのは、やはり日系の伝統企業は学歴を重視するからです。即戦力なのに学歴を重視するため、うまく採用できていないというのが私の印象です。
しかし、多くの企業――特に中小企業は、本当に学歴不問です。学歴にこだわっていても採用できないからです。
それだけでなく、学歴にバイアスがかかっているケースも。中小企業に応募する高学歴は社会人で問題を起こしている人も少なく、中小企業では「高学歴=使えない」と考えている人事・経営陣は少なくありません。
学歴を重視しない企業が重視する項目は、たった2つ。
・スキルマッチ
・カルチャーフィット
中小企業は育てる余裕がないので、スキル・経験を重視しがちです。あるいは、長く働いてほしいから経験よりも会社に合うかどうかを重視します。学歴にこだわる企業は、ほぼ見かけません。
大手企業の場合(一部をのぞく)、専門職は同じ傾向にあります。学歴よりもスキル・経験を重視する傾向です。
就職活動・転職活動における学歴とは
まとめると、以下のとおりです。
・新卒=学歴が圧倒的なアドバンテージ
・第二新卒=(大手企業)新卒に準拠/圧倒的な実績が必要
・中途採用=一部をのぞき、学歴は関係ない
新卒・第二新卒採用では、学歴はシード権のようなものです。学歴のアドバンテージを覆すのは、相当な苦労が必要です。
もし、第二新卒で逆転したいという場合、大手企業はあきらめ、人手を求めている成長企業をオススメします。
というのも、伝統的な大手企業は定年まで働くことを前提としたキャリア形成が多く、新卒から3~5年は研修期間と考えているからです。短期間で成長したい、大きな仕事がしたい人には合わない可能性があります。
それよりも、人手不足の成長企業に転職することで、短期間で大きな仕事を任されたり、いろんな仕事ができる可能性があります。特に20代でリーダー・マネージャー経験ができると、大きなアドバンテージです。その経験と実績があれば、大手企業でもメガベンチャーでも転職できるはずです。
「学歴がすべてではない」、と言いたい
学歴がすべてではない。
これは私の考えです。しかし、現実には学歴が幅を利かせています。2000年代の就職氷河期に新卒だったので、三流大学出身の私も学歴で苦労しました。30代の転職活動でも、「ウチは新卒だとMARCH未満は採用しないんだけどね」と、学歴について言われるとは思わなかったですがw
中小企業やベンチャー企業でも、素晴らしい会社は多く存在します。今後、ステキな中小企業の見分け方や転職のポイントなどを紹介していきます。学歴だけで判断されない転職で、よりよい人生を送っていただきたいと考えています。
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