給与を上げれば応募が来る、は幻想です
求人を出す企業(というか、経営陣や人事)の中には、「給与が高くなければ応募が来ない」と考えている企業が少なからず存在します。
しかし、あえていいます。それ、給与だけの問題ではありません、と。
上記の「HRhacker」の記事でもあるとおり、応募を増やしたいがゆえに、給与を誤魔化して(あるいは、少しでも高い給与で)書きたがる企業も少なくありません。
求職者が、なぜ高い給与を求めるのかを考える
確かに、低すぎる給与では応募は来ません。経験者の場合、求職者は現在の給与よりも上げたいという気持ちがあります。ただ、給与が高くても、他の魅力がないと応募は来ません。つまり、給与は必要な条件ではあるものの、それだけで応募される条件ではないのです。
なぜなら、高い給与を求める求職者は給与が目的ではないからです。
(1)生活や家族のために、高い給与が必要
(2)評価の対価として、高い給与がほしい
借金なのか子供の養育費のためか、なんらかの理由で高い給与を求めるパターンと、「自分はもっと評価されるべきだ」という理由から今よりも高い給与の会社に転職するパターンが多いように思います。
しかし、どちらにしろ、高い給与そのものを求めている方はいません。
企業側は「高い給与を出せば来るだろう」としか考えないので、「これだけの給与を出しているのだから、高いレベル/難易度の高い仕事をしてもらわないと困る」と考える方が少なくありません。
しかし、求職者側からすると、「給与はほしいが、無制限に働きたいわけではない」という意識です。給与と仕事内容のバランスが崩れてしまい、応募どころか閲覧数すら増えないことがほとんどです。
情報は出しすぎるほうがよい
では、どうしたら応募が来るのでしょうか。給与に関していえば、以下のとおりです。
(1)不安を払拭するために、情報を開示する
(2)対象となる方がもらえる給与を予測できるようにする
給与を誤魔化したがる企業は、情報を出せば逃げられると思っているので、できる限り情報を制限しようとします。しかし、その行動は逆効果です。大手企業は別ですが、ほとんどの企業は情報を隠すと、求職者に対して不信感しか与えません。
大手企業はネームバリューがあり、大手企業=福利厚生やボーナスが良い、というイメージがあるので、「月給21万円※大卒新卒時の給与です」という記載でも応募が来ます。ですが、中小企業が大手企業と同じことをしても失敗します。
(1-A)給与は下限と上限を記載する
(1-B)固定残業代は明記する
(1-C)固定残業代以外の一律手当も明記する
(1-D)試用期間中の条件が異なる場合は明記
上記は最低限の内容です。一番やってはいけないのは、選考途中で求職者に「話が違う!」と思われることです。「人事のミカタ」の調査でも、条件や希望が異なるという理由で選考辞退されることが明らかになっています。
情報をできる限り開示することは大切です。とはいえ、それだけで応募が増えるわけではありません。
(2-A)スキル別の給与例を記載する
(2-B)年齢による給与例を記載する
(2-C)諸手当の内訳を記載する
特に経験者は現在の給与よりも高い給与を望んでいます。そのため、求職者がいくらもらえそうか予測できるように、給与例や諸手当の内訳を記載する必要があります。
例1)
PG:年収350万円~500万円
SE:年収400万円~600万円
PM:年収600万円~800万円
例2)
28歳/年収480万円(月給30万円+賞与+諸手当)※残業20時間の場合
例3)
家族手当(配偶者:月1万円、子一人につき:月5,000円)
通勤手当(月5万円まで支給)
企業がお金に対してシビアになるように、求職者もお金に対してシビアです。少しでも求人情報が事実と異なると辞退につながりますし、最悪の場合、クレームが発生し、労基署が動くことも。
企業の魅力を探すことが大切
ここまでやっても、人気のない(応募が来ない)企業はプラスマイナスゼロです。ようやく他の企業と同じ土台に立ったといえます。応募を獲得するためには、魅力が必要です。
正しい情報を開示することは前提です。情報開示だけで応募が来るわけではありません。それが求人の難しいところです。
不安を払拭し、いかに魅力的な仕事・環境・仲間がいるのかを説明することが応募を獲得するための王道です。給与を上げれば応募が来るという幻想を捨て、社内の魅力探しに力を入れてください。