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就職活動する学生が、メンタルヘルスを保つ方法

普段、私は中途採用向けの転職サイトに従事しており、新卒領域に携わりません。ですが、私が知る限りで、就活時に学生が心に留めておくことを説明したいと思います。

選考結果に落ち込む理由は、一つとしてない

伝えたいことはたった一つ。採用は「あなた個人を判断するものではない」ということです。書類選考でお祈りメールを送られたり、面接で落とされたり、ひどい場合は圧迫面接を受けたり、と自分を否定するようなシーンに遭遇することが多くあります。

しかし、採用選考で何が分かるというのか。分かるのはせいぜい会社とマッチしているか、求めるポテンシャルを持っていそうか。その程度の判断にすぎません。あなたの個性や人格、パーソナリティが評価されたわけでも、否定されたわけでもありません。

選考に落ちたとしても、「あーあ、私の良さをわからない会社なんだな」と思うくらいがちょうどよいでしょう。

dodaを展開するパーソルグループで発せられた「ごめん。このままだと落とすけど、どうする?」などという面接官のセリフには、「クソみたいな会社を落としていただき、ありがとうございます」くらいの返答でいいのです。

企業側の判断は適当で、合理的ではないことが多く、首をかしげる企業は少なくありません。

学校歴にもとづく選考は、新卒一括採用による弊害

例えば、少し前にマイナビの学歴フィルターで話題になった学校歴。学歴は高卒や専門卒、大卒といったものを指します。それに対して、学校歴は早稲田卒、慶應卒、東大卒など、どの大学を卒業したかを指すのが「学校歴」です。

就活では、つねに取り沙汰される問題です。しかし、大手企業で「まったくない」というには無理があります。程度の問題はあるものの、書類選考の判断材料として利用されています。なぜならば、大手企業は毎年、数万人から数十万人がエントリーしており、短期間で判断できる材料が限られるからです。

一部企業のように、A4用紙数枚に課題を書かせる形式では、学校歴以外を判断しています。ですが、一般的な履歴書の場合、学校歴以外に判断できる項目がありません。一般的な履歴書だけを使っている大手企業は学校歴で書類を判断していると考えてよいでしょう。

なぜかというと、確率の問題です。一般的に、高学校歴と言われるのは、MARCH・関関同立以上です。偏差値でいえば60オーバーで、上位約16%ほどにあたります。今の20代の約半数が大卒のため、全体の約8%ほどしかいません。何も考えなくても「優秀だろう」と判断できるわけです。

日東駒専・産近甲龍あたりが学校歴で見られる下限で、偏差値50――大卒の50%、全体の25%にあたります。

何も考えないのであれば、数万人以上いる候補者を選別にするのには、学校歴は楽な方法なのです(正しいかは別問題として)。公には学校歴で判断するのが否定されながら、新卒採用でいまだ残っているのは、こんな理由があります。

そのため、上記のレベルにない大学出身者が大手企業に挑戦するなら、学校名を書かせない、複数の課題を問われるエントリーシートを課している企業をオススメします。すくなくとも、実力で書類選考を通過する可能性があるからです。

学生は訴えるべきポイントを間違えがち

しかしながら、中途採用もそうですが、聞かれている内容に答えていないエントリーシートを多くみかけます。

たとえば、ガクチカ(学校時代に力を入れたことの略)を聞かれているのに対し、「〇〇大会で、1位を取りました」「副サークル長をやりました」と結果だけ書くことです。

ここで聞かれているのは、頑張った過程やそれによって何を得たのか(どんな発見・気づきがあったのか)。あるいは、壁にぶつかったときに、どのように乗り越えたのかです。結果だけ知りたいのであれば、受賞歴など1行欄で十分です。

プロセスから、その人がどんなふうに頑張れるのか、そこからどういう成長が得られるのか=入社して活躍できそうなのか、を企業は知ろうとしています。

新卒採用は基本的にポテンシャル採用です。学生時代に起業したなどの驚くべき結果でもない限り、結果そのものに興味はありません。その意味でいえば、80~90%の就活生は対等です。ゼミ長をやって優秀な成績を残した学生も、バイトに明け暮れていた学生も、その差はほとんどないのですから。

新卒採用でも、学力がついて回るのは事実

ただし、SPIなどの適性検査・試験は別です。内容は各社異なりますが、問われる問題のレベルは高1までの内容です。純粋な学力試験といえるでしょう。学力試験を勝ち抜いてきた高学校歴の学生に分があります。しかし、内容は高1までのレベルなので、努力すれば得点することは容易です。

ここまで見てきたとおり、就活の書類選考やSPI試験は、あなたの過去の結果(=学校歴)や学力を問うものであり、あなたの個性や人格を選考するものではありません。今まで学業を頑張ってきたかを問われていると言い換えても良いでしょう。そう聞かれると、「いや、頑張ってこなかったです…」と返答される方が多いと思います。

とはいえ、過去の事実にすぎないので、それを否定されても「いまさら!?」と考えるはずです。就活の前半戦はそんなものです。逆に言えば、中高大と頑張ってきた学生がシード権を得ていると思ったらいいでしょう。

多くの場合、面接官にロジックはない

さて、後半戦の面接。これこそ不条理の塊です。なぜなら、確固たるルールや判断軸がないからです。1次面接・2次面接では印象で決められている可能性が高いかもしれません。

大手企業、中小企業ともに、最初の面接は現場の社員や人事が面接官を担当することが多いからです。明確な基準のもと、面接をしている企業は少なく、印象や自社に合いそうかの判断になってしまいます(もちろん、明確な基準で面接している企業もあります)。

私自身、求人制作で30分~60分のインタビューをしていますが、取材者の能力を判断しろと言われても無理です。わかるのは、せいぜい「こんなキャラだな」「頭の回る人だな」くらいです。面接で、あなた個人をほんとうの意味で判断することはできません。

そのため、明確な基準を設けていない企業の面接に当たった場合は、「あー、面接官との相性が悪かったんだな」くらいの気持ちで大丈夫です。運ゲーでしかありません、残念ですが。

採用選考でわかることは、ごくわずか

以上のように、採用選考はあなたの一部しか判断されていないのです。いったい就活であなたの何が分かるというのでしょう。だから、就活で落とされても、気に病む必要はありません。

もし、気に病むことがあるとすれば、SPIなどの筆記試験だけです。就活のなかで、もっとも公平で、努力で点数が取れる試験だからです。ほぼ受験と同じと考えてよいでしょう。一般的な書類選考、面接は努力が結果に結びつくとは限らず、理不尽なことも多いので、気にすることはありません。

いちばん大事なことは、あなたがその企業に入社して幸せになれるかです。もちろん、大企業に入ったほうが福利厚生も給与もよいでしょう。しかし、それとあなたの幸せがイコールとは限りません。
なぜなら、転職する人のほとんどが、「給与」「仕事内容」「人間関係」で辞めているからです。これは大企業・中小企業ともに同じです。特に「人間関係」で退職する人は多くいます。

また、20代に限定すると「仕事内容がつまらない/成長を感じない」と辞めていく率は高い傾向にあります。仕事の面白さほど企業規模に関係ありません。伝統的な業界の大手企業ほど仕事のやり方が確立され、若手に裁量がない可能性が高いからです。仕事の面白さという点では、(何でもかんでもやらされますが)ベンチャーやスタートアップのほうが面白いことが多い傾向にあります。

給与や福利厚生だけを見ていると、いざ入社したら「ちがった!」となりかねません。思わぬ落とし穴に落ちないように気をつけてください。

<まとめ>
・採用選考で、あなたの個性・人間性は測れない
・採用選考は、(多くの企業で)ロジックがない
・自分なりの「仕事での幸せ」を定義する

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