転職サイトを作っている人が、あえて転職するなと言ってみる
転職を支援している仕事なので、転職を否定するってどういうことよ?と思う人もいるでしょう。
個人的な意見と前置きをしたうえで、何でもかんでも転職すればいい、とは思いません。なぜなら、転職は職務経歴書という履歴が残るからです。
たとえば、動画のサブスクをいくら乗り換えたところで、誰にも知られないし、知られたところで「なんで、こんなにコロコロ変えているの?」とも言われません。NETFLIX→Amazonプライム→ディズニープラスに乗り換えても、誰もが「なんで、この順番なの?」とは思わないでしょう。
しかし、転職だとどうでしょう。飲食店スタッフ→電気工事士→介護士という職務経歴だったら、「なんで、この順番で転職したの?」と聞かれるはずです。
そこに明確な、納得できる理由があればいいですが、「給与が低かった」「休みがなかった」など、入社前にある程度、予想できた理由だと、「ああ、この人は考え無しで転職するんだな」とマイナス評価になります。
そして職務経歴は消すことができません。悪い言い方をすれば、一生残るデジタルタトゥーのようなもの。考えて転職すべきです。
(経歴を詐称する方もいるようですが、内定取り消しや入社後に訴訟を起こされる可能性があるので、絶対やめましょう)
短期間で異業種・別職種に転職を繰り返す人を、企業は好みません。そのような人を歓迎する会社は人手の足りない会社がほとんどです。みなさんが言う「ブラック企業」の可能性が高い。
(私がいうブラック企業は違法企業、世の中がいうブラック企業は労働環境の悪い企業です)
むやみやたらに転職するのは自らブラック企業を引き寄せる行為なのです。だからこそ、転職は慎重になるべきです。
ただ、だからといって転職理由のわかりやすそうな同職種・同業種で転職しろとは言っていません。
さきほどの飲食店スタッフ→電気工事士→介護士でも、新卒で入った飲食店は労働環境が悪く、長く働くイメージがありませんでした。転職するなら手に職だと思い、興味のあった建築の世界で電気工事士の資格を取得しました。仕事は楽しく充実していましたが、バリアフリーの住宅に関わることが増え、高齢化に関心を持ち、そこから介護に興味を持つように。30歳で挑戦しやすい年齢だと思い、介護の世界に飛び込みました。
といわれれば、まるっきり違う仕事ですが、本人なりの理屈と興味で転職したと納得はできます。コロコロ職を変えるジョブホッパーではないことは判断できるでしょう。
とはいえ、理由さえあれば職種・業種がバラバラでも転職しやすいわけではありませんが…。
結論を言えば、「安易な転職をしてはいけない」ということです。転職はその場のノリと勢いでするものではありません。いくら転職が当たり前の時代になったからとはいえ、企業側の視点に立てば(軸のない)転職を繰り返す人を積極的に採用する理由がないのは明らかです。
ただ、1回くらいの失敗ーー特に新卒時の会社を短期間で辞めることには寛容な会社が多いようです。また転職回数も「年齢/20」くらいまでなら気にされない会社も多いように感じます。
例)23歳/20=1.15≒1回 30歳/20=1.5≒2回
これらはあくまで目安です。相手(企業側)が納得できる軸や理由があることが大切です。
そのためには転職・就職する際の情報収集が大切ですし、面接で自分にあうかどうかの判断が重要です。入社後も「ちょっと違う」が譲れないことなのか、自分が合わせればいいのか、きちんと見極めたうえで転職を考えるべきでしょう。
軸のない転職は、将来のあなたの首を絞めることになるのですから。