企業が採用で考えるべきは、まず「誰を」採用したいのか
求人をいろんな転職サイトやハローワークに出しているのに、人材紹介会社に依頼しているのに、採用できない…という企業が、まず見直すべきは「どんな人を採用したいか」です。
意外と当たり前のように思えて、実はちゃんと考えていない企業は少なくありません。「誰を」を見直さなければならない理由は2つあります。
(1)採用要件が、自社のスペックと比べて高すぎる
(2)誰を採用したいかが明確ではないから、提供すべき情報が出ていない
(1)はIT業界に多く見られます。優秀なエンジニア1名採用できれば、売上が上がるので分からないでもないですが、そのエンジニアがもっと条件の良い会社に普通に入れることを考慮に入れないのでしょうか。
私はこの現象を「平均的な男性が新垣結衣と付き合える確率」と言っています。多くの男性は「ワンチャンある」と思っていますが、実際のところ、西から昇ったおひさまが東へ沈むよりも確率は低いです。
(追記)その理由は、需要(採用)に対して供給(ITエンジニア)がまったく釣り合っていないからです。2018年の段階で22万人も不足しており、2030年には最大79万人が不足する見込みです。もしかしたら、中国の結婚事情のほうが正しいたとえかもしれません。中国は一人っ子政策で男性が極端に多く、今、適齢期の男性が結婚できないという問題が起こっています。
少なくなりましたが、市場で年収600万円クラスのエンジニアを、年収350万円で採用と考えている(市場を知らない)企業も存在するのです。
(2)は地場の企業や不人気業界の企業に多いような気がします。そもそも応募が来ないから、とにかく若手なら誰でもいいと思っている企業です。しかし、その実、そんな人物から応募が来ると「やっぱり…」となるパターンが多く、ほしい人物像が定まっていません。
特に(2)の企業はどんな人物を採用したらいいのかわからず、とりあえず転職サイトに求人を掲載しては、ほとんど応募が来ずに、別の転職サイトへ掲載する、というパターンを繰り返しています。
完全な負のスパイラルです。どんな人物がほしいかが決まるから、「何を訴求する」のかが決まるのです。「誰を」採用したいのかが決まらないから、「何を」訴求するのかが決まらず、「とりあえず情報を載せた」幕の内型の求人になってしまいます。
そうすると、誰に向けた情報か分からないので、誰も応募しない、応募するのは求人を読んでいない人だけ。
では、どんな人を採用すればいいのか。
上記の記事でも少し書きましたが、スペックは最低限を満たしていれば、いったんOKにしたほうがよいです。それよりも「カルチャーフィット」するかどうか。
会社の文化や雰囲気に合う方であれば、心理的安全性が確保されやすいので、本人は仕事に集中することができます。あるいは、周囲の仲間のために頑張ろうとします。そう、スキルはあとからでもついてくるのです。
そのうえで、その人が興味を持ってもらえる「何を」訴求するのかを考えればよいのです。
もし、転職サイトを渡り歩いても、採用がうまくいかないのであれば、一度、どんな人を採用したいのか、改めて考えてみるのはいかがでしょうか。
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