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100~500名規模のSIer/SESが、求人市場ではレッドオーシャン

以前、100名以下の企業は社長がすべて、という記事を書きました。求人広告において、100名以下の企業は社長のキャラを押し出せば、採用する可能性が上がる、という内容です。

一方で、1,000名を超えるような企業だと、企業規模(知名度)や充実した福利厚生などがあるので、一定の応募を獲得しやすい状況にあります。

実は、もっとも採用に苦労するのが、100~500名規模のSIer/SESです。業界によって異なりますが、IT業界の場合、この規模感の企業が採用に苦労しているように感じています。

なぜか。

組織化がされるが、企業の人格化が不十分

100名以下の企業の話でも出しましたが、100名を超える集団は組織化やルール化が起こります。そのため、社長のキャラ=会社の雰囲気とは言えなくなります。

一方で、組織化が不十分であったり、部署によってカラーが違うなど、一つの会社のイメージが形成されていないことが多くあります。

また、それなりの規模になっているので、「うちの会社は」というイメージをそれぞれが持っています。ですが、そのイメージが共有されていないうえに、求職者からすると、「お前の規模感で、そんなイメージ、しらんがな」となります。

社内のイメージもバラバラなら、社外とのギャップが大きいのが、この規模の企業なのです。

■福利厚生や待遇などの差別化が難しい

この規模感のSIer/SESは、3次請け・4次請けの商流にいることが多く、売上的にも似たりよったりです。そうなると、給与や福利厚生にフィードバックする売上(利益)は十分ではありません。

結果、同じような給与帯になってしまいます。

給与や福利厚生で、ITエンジニアは転職するわけではありませんが、自分にとって要件を満たした給与や福利厚生でなければ、転職先の候補になりえません。給与・福利厚生は魅力的な要素ではなく、足切りラインなのです。

同じような給与・福利厚生だけが並び、それ以外の魅力を訴求できない企業は応募対象にはならないのです。

プロジェクト(仕事内容)が同じ

同じような理由にプロジェクト(仕事内容)が挙げられます。3次請け・4次請けなので、大規模プロジェクトの下請けの立ち位置です。すると、金融系や官公庁のプロジェクトが多くなり、枯れた技術のプロジェクトが多くなります。

給与・福利厚生もプロジェクトも同じでは、もはや社名が違うだけで、どこを選んでも変わりません。

若いエンジニアほど、新しい技術・今後成長が見込まれる技術を身につけたいと考えています。そのため、上記のようなプロジェクトには魅力を感じないのです。

「うちは金融とか官公庁とか、大きな仕事を請け負っているからね」と豪語する企業は少なくありませんが、求職者の志向性を理解していないのは明確でしょう。これでは応募を増やすことはできません。

一方で、同じ規模でも数百のプロジェクトの中から自分の好きなプロジェクトを選べる、と訴求するSESは、比較的に応募を集めています。

これは新しい技術を身につけられるプロジェクト、そうでなければ自分にとって都合の良い働き方ができるプロジェクトに参画したい、という求職者の現れです。

■では、この規模の企業の成功パターンとは

はっきり言います。共通する成功パターンはありません。だから、レッドオーシャンなのです。

一つ言えるのは、自ら魅力を作り出していかないと、他社に採用競争――いえ、採用戦争に負けてしまうということ。

しかも、その魅力は給与ではなく、プロジェクトや働き方など、他社が手を入れていない要素でなければなりません。給与や福利厚生は大手企業に勝てるはずもなく、インフレ化が激しいからです。

例えば、単純なリモートワークではなくワーケーションができる、さきほど挙げた数百・数千のプロジェクトの中から、自分の好きなプロジェクトを選べるなどです。

企業のフェーズとして成長段階に入っているからこそ、次の成長に向けたエンジニアの採用のために、地盤を固める必要があります。それを怠る会社は、その先の成長はないでしょう。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。