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エッセンシャルワーカーは地位向上するのか

生成AIによってホワイトカラーが崩壊するとの論調とセットで、エッセンシャルワーカーが稼げるようになると語られます。

これは本当なのか。

人材サービス業にいる身としては「これはあり得ない」と回答します。

その理由は簡単で、エッセンシャルワーカーの業界のビジネスモデルの多くが、高収入を得られる仕組みではないからです。

これまでも、高収入を得るためには高い利益を上げられるビジネスモデルの業界・企業に行くべきと語ってきました。それは利益率が低いと給与に還元されないからです。

エッセンシャルワーカーの仕事の多くは「エッセンシャル(必要不可欠)」の名のとおり、多くの人が必要とするサービスです。となると、ユーザーから得る料金は必然、安くなりがちです。高いとサービスを受けられる人が限られるからです。

例外は医療機関などの国が補助している業界です。ご存知のとおり、医療費は7〜9割を国が負担しています。だから、利用者は安い金額でサービスを受けられる一方、医者は高い給与を得られています。

しかし、そんな仕事はごくわずかです。だから、多くのエッセンシャルワーカーの給与は低く抑えられています。

ビジネスモデルの変革が起こらないかぎり、エッセンシャルワーカーが他の仕事より高い給与を得られることはないでしょう。

ただしプレゼンスーー地位の向上は起こると考えられます。AIに置き換えられづらい、かつ日本の人材不足は解消されないという前提が必要ですが、人力を必要とし続けるかぎり、企業側も辞められては困る、ユーザー側もサービスが受けられないのは困るわけです。

そうなると上辺だけでも大切にせざるをえません。辞められては企業の存続に関わるので、労働者の要望をある程度、受け入れなくてはなりません。

その意味では、社会や会社から求められるという尊厳は得られると思います。ただ、繰り返しですが、高い給与を得るためには高収益のビジネスモデルが必要です。エッセンシャルワーカーに限らず、給与軸で転職を考えるさいは必ず確認してください。

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似非教授
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